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『まもなくイベントを開始いたします。プレイヤーの皆様は、最終準備に取り掛かってください。なお、このイベントは今後の運営の為に録画させていただきます』



会場全体に流れるシステムメッセージさんの声。

それを聞いた白組のみんなから歓声が上がる。

白組総大将、ミレニオンのギルドマスター レオノーラさん。

凛とした佇まいで戦場の先を見つめるその姿は、戦乙女の様で格好良かった。


対する私は、現在進行形で抱いているセンセーに手の指を齧られている。

気持ち良く寝てたのに、起こしやがって。

気安く触るな、この小娘が。

大体このバックパックも私は認めてないぞ。

まるでそう訴えるかのように、割と本気で指を齧られている。

痛い。



「さぁ、行こうか! みんなで勝利を掴み取ろう!」



更に歓声が巻き起こる。

無理もない。

レオノーラさんはこういう風に白組の皆を盛り上げるのが凄く上手だ。

私も、柄にもなく熱い気持ちがこみ上げてくる。


ゾワゾワと奮え立つ心の内側。

それを冷やしてくれる、センセーのガチ噛み。

大丈夫、冷静だ。

初手でやる事も決まっている。


ポーション、良し。

細剣、良し。

短杖、良し。

シャルトスの瞳、良し。



「シャルトス、今日の天気は?」


『イベントエリア周辺は、まもなく大雨が降るでしょう』



ドキドキする胸を落ち着けようと、冗談で聞いただけだった。

けど、これは重要な情報かもしれない。

言われてみれば確かに、西の方の空が少し重たい色をしている。



「ふ、二人とも、待っててください」



ディナダンさんとシヴァさんに言い残して、私はレオノーラさんの元へと向かった。







『3、2、1、イベントスタート』



システムメッセージさんの合図で、プレイヤー達が一斉に動き出す。

けれど、その動きに浮足立った様子はない。

隊列を組んだまま、足並みを揃えて行軍していく。

聞いてた通り、レオノーラさんは凄い人だ。

お陰でレオノーラさんが遠くへ行く前に、捕まえることが出来た。



「あ、あのっ」


「んっ?君は、ディナダンの所の……。どうした?」


「に、西の雲が、真っ黒、です。雨が降りそうで、だから」



震える声を振り絞って、伝えなきゃいけない事だけを必死に伝える。

ええい、私は伝令もまともに出来んのか。

失礼な事だけど、レオノーラさんの顔をまともに見たら、間違いなく泣く。

その自信が、私にはある。


俯いたままそう話す私の頭を、レオノーラさんは帽子の上から撫でてくれる。

まるで、お父さんがいつもしてくれる様に。

思わず顔を上げると、レオノーラさんは優しく笑っていた。



「直ぐに伝令を回せ! 突然の対応を迫られるのと、事前に知っているのは大きな差が出るぞ!」



レオノーラさんの近くに居た身軽そうな男の人が走っていく。

男の人から別の人達へ、さらにそこからもっと大勢の人達へ。

どんどんと広まる情報は、直ぐに全体へ広まるだろう。


レオノーラさんは改めて私の顔を見る。

不思議と視線が逸らせなかった。

まるで惹き付けられるかの様に、見つめ続けてしまった。

レオノーラさんは私と目を合わせて、もう一度頭を撫でてくれる。



「ありがとう。よく気が付いたな」



そう言って、再び行軍を開始する。

か、格好良い……!

出来る女上司の人だ……!



「ユンちゃーん、俺らもそろそろ行くぞー!」



後ろからディナダンさんに声を掛けられる。

そうだ、感動している場合ではない。

あんな格好良い人の役に、私も立ちたい。

踵を返して、二人の元へ戻ろう。

まずは作戦を話さなければ。


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