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そうして私がまず向かったのは、道具屋さん。

街中ですれ違った人たちもそうだけど、此処の店主さんもヒト族では無かった。

なるほど、本当にヒト族は居ないらしい。

そこで買い物を済ませ、今は街の隅にある廃墟の中で買った物たちを広げている。


まず買った物は、黒い布のケープだ。

あまり質の良いものではないけれど、肌触りが悪いわけではない。

裾の部分がほつれていて、ネザーの雰囲気に混ざっていても違和感がない。

今までの服では綺麗過ぎて、流石に違和感があったから。


次に買ったのが、初心者用調剤セット。

調剤に必要な物がセットになったもの。

これが高かった。


そして最後に、乾燥した薬草等調剤に必要な素材達。

ここまでくれば、どんな人でも私が何をしたいかが分かるだろう。

私がこのアルカナオンラインでしたい職業は、薬師である。


前情報によれば、明らかに不遇職として呼び声の高い薬師。

確かに支援性能はそこそこだけど調剤が難しすぎるし、回復魔術を使って貰った方が早い。

攻撃面も、妖術師に比べたら見劣りする半端者。

すべての性能が他ジョブの下位互換。


そんな散々な評価を与え続けられた薬師が、本当に使えないジョブなのかを検証したかった。

そんな無駄なジョブを、運営がいつまでも放置しておくとは思えない。

いつか強化が来るはずだ。


そう信じて薬師を続けたプレイヤーもそれなりに居るようだけれど、それでも数は極端に少ないらしい。

私は別にワールドファーストを狙うわけじゃないし、何よりやってみたい事がある。

それは、森の何処かに家を買って、薬草とかを栽培しながら水薬を作り、近くの村のNPCに売って生活する事。

よくあるスローライフをこのアルカナオンラインの世界でやってみたいのだ。



「その為に、まずはスキルを取らなきゃ」



こぼした独り言は、誰に聞かれるでもなく廃墟の中に消えていく。

アルカナオンラインのゲームは、多数のスキルが存在する。

レベルアップで与えられるスキルポイントを使用する方法と、ゲームで遊んでいるうちクエストで覚えられる二つの方法が有る。

私は飽くまで私がしたい事をする為のスキルしか取らないってやる前から決めていた。

そして選んだスキルが―――



--------------------


名前:ユン


種族:幽世の少女


性別:女性


レベル:1


VIT (生命力):7


MND(精神力):14


STR(筋力):6


INT (知力):13


AGI (敏捷度):15


DEX(器用度):21


LUC(幸運度):17


職業:冒険者


スキル:片手剣 Lv.1、調剤 Lv.1、採集 Lv.1、鑑定 Lv.1

スキルポイント:1


所持金:20G


--------------------


はい、こうなりました。

片手剣は簡単な戦闘をこなせるようにしておかないと、そもそもフィールドに出られないから。

調剤と採集は言わずもがな。

鑑定は、取っておかないとどれが薬草か分からないと思ったから。


……え、農耕はどうしたって?

そもそも畑が手に入るまでまだまだ時間がかかりそうだし、今取って腐らせるよりも温存しておいた方が良いに決まってる。

そんなわけで、此処からやる事をまとめてみよう。



1.手持ちの素材でポーションを作り。

2.戦闘に慣れる為に街から出る。

3.薬草の採集場所を探していく。



まぁ、こんなものでしょう。

一先ずは目の前にある素材達を全て水薬に変えて……、変えて……。



「ち、調合って、どうやるの……?」



アルカナオンラインの欠点その一、どうやってスキルを扱えばいいかが分からない。

チュートリアルも何も無く始まったゲームだ。

それが分かる人はどれくらいいるのだろうか。

他のプレイヤーたちはどうしているんだろう。


そういえば、アルカナオンラインはゲームに接続したまま運営が開いている交流サイトを見たり、書き込みする事が出来るらしい。

もしかしたら、生産職に関する意見交換とかも行われているかも。


メニューを操作して控えめな主張をしているその交流サイトへアクセスすると、そこには様々なチャンネルが用意されていた。

攻略組が意見を交換するのに使うチャンネル。

誰か特定のプレイヤーを追いかけているチャンネル。

初心者を集めて遊び方を説明するチャンネル。

その中で、やっぱりちゃんとあった。

"生産職チャンネル"。

タッチパネルを操作する様にその文字に触れると、一気にいろんな人の書き込みが現れた。




--------------------


241名前:名無しの鍛冶師

いくら剣を打っても、なかなか売れねぇなぁ。


242名前:名無しの木工師

アルカナはドロップ品が優秀だからね。

見た目だったりいろんな所に工夫をしないと、売れる物も売れないよ。


243名前:名無しの裁縫師

その点、布装備はみんな買ってくれるよ。

見た目も何もオリジナルで作れるのがすごく良いね。

剣だって、武骨な奴も良いけど、やっぱり格好良い奴をみんな持ちたいんだろうさ。

刀とかに挑戦してみたら?


244名前:名無しの鍛冶師

刀なんて、打ち方が分からねーよ。笑笑


245名前:名無しの裁縫師

東方の国はまだ実装されてないからねー。

だからこそ、やってみる価値があるんじゃないかい?

今時なら動画サイトで調べれば打ち方も分かるだろうさ。

主要都市なら図書館も有ったし、調べてみたら?


--------------------




流し読みではあったけど、知りたかった部分はざっとこんな所だろうか。

アルカナオンラインは作るものにかなり自由が持たされているみたいだ。

見た目なんかも自在にデザインする事が出来るらしい。

どういうシステムを使っているのかは分からないんだけれど。

そして、作り方が分からない時は図書館で調べられるらしい。


分からない事があれば調べるのが一番だという事をすっかり忘れていた。

となれば、目指すのは図書館だろう。

私は意気揚々と足を進める。


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