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「お断りだバカヤロー!」
声を荒げながらNoを押す私に驚いたのか、ディナダンさんの口が開いたまま塞がらない。
「はぁ!? ちょ、なんで!?」
「今回はパーティ戦じゃなくてレイド戦ですよ! それなら変なところに戦力を割かず、強い人は動きやすくしておくのが妥当じゃないですか! ディナダンさんはソロでワールドファーストを取るような廃人なのに、初心者のお世話をしてる場合じゃないですよ!」
こんなに声を荒げたのはいつ以来だろうか。
無意識の内に大きくなった声が、ワラワラと周りに人を集める。
恥ずかしい。
『ディナダンよりパーティ申請が届きました。承認しますか?』
「って、何を聞いてやがったんですか!」
打ちひしがれる私の気持ちを他所に、ディナダンさんは再びパーティ申請を送ってくる。
これだからイケメンはたちが悪い。
自分のやることに何の疑いも持たないんだもの。
送られたパーティ申請に再びNoを叩きつけようとしたその時だった。
まるで私をなだめる様に、後ろから肩を叩かれる。
「まぁ、ユンちゃん。そこは考え方の違いだよ」
「に"ゃひっ!?」
慌てて後ろを振り返ると、そこにはシヴァさんが立っていた。
良かった、普通に話せる人が二人も居る。
じゃなくて。
「し、シヴァさんは後ろから話しかけなきゃ死んじゃう呪いでも掛けられてるんですか……!」
「あはは、ごめんごめん。驚かしてからかいたくなるのは、アンデッドの性なのかもしれないね」
謝ってはくれているけれど、きっと反省はしてない。
シヴァさんはまた後ろから話しかけてくるに違いない。
クソ、イケメンお姉さんめ。
「ディナダンはワールドファーストを取るようなソロプレイヤーで、一方ユンちゃんはつい先週始めたばかりの初心者ソロプレイヤーだろう? その二人が組むのは妥当じゃないのかい?」
う、うるせーやい。
好きでソロやってるんじゃないやい。
ソロしか知らないからやってるんだい。
シヴァさんの話す正論に、私は言葉を飲み込む。
何も言い返せない。
「戦力を均等にするっていうディナダンの判断は、決して間違っている物じゃないと私は思うけれど」
ぐ、ぐぬぬ……。
ちらりとディナダンさんを見ると、ポカンとした顔でシヴァさんを見ていた。
この人は絶対にそんな事を考えて申請した訳じゃない。
ただ単に思いついたからしただけだ。
けれど、シヴァさんに断る理由を消されてしまった。
私はシズシズとYesのボタンに触れる。
「ふふっ、聡い子だ。けれど、君たち二人では手が足りないだろうね。何せ今回はPvP。PvE戦とは勝手が違う。ユンちゃんが人見知りせず話せて、尚且つ腕の良いデバッファーが居れば、戦闘にも幅が出ると思うんだけどなぁ」
まるで劇の独白を聞いているような仰々しさ。
シヴァさんとはイベント準備期間に一度だけ、一緒に狩りへ出かけた事がある。
タンクが居なかった私達は、一体ずつモンスターを狩るしかなかった。
それを可能にしてくれたのが、シヴァさんだった。
眠りや恐慌、拘束のバッドステータスを与えて、一度に襲ってくるモンスターの数を文字通り制御してくれていた。
圧倒的なまでに計算されつくした戦場制御がシヴァさんの強みなのだ。
『シヴァからパーティ加入の申請が届いています。承認しますか?』
シヴァさんは私を見てニコリと微笑む。
とてつもなく白々しい。
けれど、シヴァさんが言う事ももっともだ。
ディナダンさんはタンクとしてもアタッカーとしても非常に優秀。
けれど、大勢の敵から一気に攻められれば、きっとHPがもたない。
私がポーションで回復すればいいけれど、それでも数は限られている。
クラウドコントローラーは、このパーティと非常に相性が良い。
観念しよう。
私はため息を吐きながら、Yesのボタンに触れた。
……っていうか。
「な、なんで私がパーティリーダーになってるんですか……!? ディナダンさん!?」
そっぽを向いて口笛を吹くディナダンさん。
その口笛から音は鳴ってない。
シヴァさんを見れば、相変わらずニコニコと笑っているだけ。
この、ベテラン二人め。
いつかギャフンと言わせてやる……。
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