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"シャルトスと水龍"。

図書館のフカフカソファに座りながら、私が読んでいた本のタイトルだ。

進化するにあたってシャルトスの事を知ろうと思ってきた訳だけれど、読み進んで分かった事は、どうやらシャルトスは元々魔女だったらしい。

それも、悪い魔女ではなく良い魔女。

森の中で暮らしていて、人々を助ける優しい魔女。


ハッキリ言って、凄く良い。

控えめに言っても、凄く良い。

そんな彼女の寵愛を受けているなんて、私は幸せ者なのかもしれない。

デレデレと頬が緩んでしまう。


けど、一つ分からない事があった。

それは私自身の進化の系譜。

進化先として示されている物は二つだった。


一つは"幽世の住人"。

文字通り、幽世に棲む一般人の事。

この進化先は、正直選ばない。

なんだか勿体ないし。


もう一つは、"シャルトスの神子"。

知恵の女神 シャルトスの祝福を受けた神子だという説明しか書かれていない。

この進化先を選ぼうかとも思ったけれど、その前に知れる事があればと思って図書館に来たわけだ。


寵愛を受けている私だからこそ選べる進化先ではあるのだけれど、果たして本当にそれで良いのだろうか。

シャルトスは女神になりたくてなった訳ではない。

きっと女神として持て囃されるよりも、皆と仲良く暮らしたかったに違いない。

もし本当にそうなら、きっと神子を選んだらガッカリしてしまう気がする。

私がシャルトスだったらそう思うから。


でも、進化の系譜が他に出ていない。

シャルトスは元々が魔女だというのであれば、その系譜が私に継がれていてもおかしくはないのに。




「またお困りかい?」



後ろから声を掛けられて、ビクリと大きく身体が跳ねる。

恐る恐る後ろを振り返ると、一人の女性が経っていた。

白くて長い髪と、とがった耳。

まるで死人の様に真っ白な肌。

以前に図書館で初心者用のフィールドを教えてくれたお姉さんだ。

すらりと高い身長が、正直羨ましい。



「シヴァさん!」


「やぁ、ユンちゃん。毎度毎度驚かせてごめんね」



シヴァさんは隣に腰掛けて、私の持っている本を覗き込む。

何やら難しい顔をして首を傾げると、改めて私の顔を見た。



「それ、世界観のフレーバー?」


「あ、はい。さっきようやく進化できるレベルになったんですけど―――」


「ちょ、ちょっと待って、ユンちゃんってヒト族じゃないの?」



・・・・しまった。

内緒にしてたのを、すっかり忘れていた。

ネットゲームにおいて、レア情報と言うのは皆喉から手が出るほど欲しい物。

もしもこれを知られたら、きっといろんな人に聞かれてしまいそうだから秘密にしたかったのに。

どうやって誤魔化せばいいだろう。

必死に考えようとしても、思考が止まってしまう。

その様子を察してくれたのか、シヴァさんは困ったように笑いながら私の頭に手を置いてくれる。



「……あー、ごめんごめん。こういうのはマナー違反だね。大丈夫、誰にも言わないよ。それで、進化について調べてるの?」



え、何このお姉さん優し過ぎる。

ディナダンさんと言い、イケメンばっかりかよ。

シヴァさんは女の人だけど。



「あ、はい。ありがとうございます。その、進化先ってどうやったら増えるのかなーって、気になってました」


「なるほど、確かに進化は人外種にとっての永遠のテーマだからね」


「シヴァさんはもう進化されてるんですか?」


「ゴーストから始めて、スペクターに行って、今はバンシーだよ」



もう二回も進化してるんだ。

さすがシヴァさん。



「元から進化先が出てました?」


「ゴーストからスペクターは出てたけど、バンシーは出てなかったな。出てきたのは確か、特定のスキルを取った時だったかな?」


「スキル?」


「そうそう。人外種の進化先って解放されるのにいくつか条件があって、クエストやイベントを拾ったり、特定のスキルの組み合わせで解放されたりするんだ。ユンちゃん、スキル取ってる?」



シヴァさんの言葉に、思わず表情が固まる。

言われてみれば、最初に取ったきり放置してたかも。



「ま、まぁ、気持ちは分かるよ。下手にスキルを取って失敗したくないもんね」



忘れてただけなんて、言えない。

けど、なるほど。

スキルを取ってないから進化先が出てないっていうのは頷ける。

私、マジックスキル一つも持ってないし。

それで魔女になりたいとか。



「……その様子じゃ、何とか解決出来そうなのかな?」


「あ、はい! ありがとうございます!」


「いやいや、この位どうって事ないよ。それじゃ私はそろそろ」



立ち上がろうとするシヴァさんの手を、思わず取っていた。

この間といい、今日といい、何かお礼がしたい。

そう思って私が取り出していたのは、アーフルのポーションだった。

シヴァさんはなんだかお洒落で格好良いし、きっと紅茶とかも好きだと思うから。

作った中で一番クオリティの良い物をシヴァさんの手に握らせる。



「お、お礼、です! 頑張って作ったので、飲んでみてください!」


「―――うん、ありがとう。それじゃ、またね」



シヴァさんが一瞬だけ驚いた顔をしていた。

ふっふっふ、私の成長に驚いてたんだな。

誰かを引き留めるなんて、ちょっと前までは出来なかったから。

歩いていくシヴァさんにもう一度頭を下げて、私は再びシャルトス神話とにらめっこを始める。

知恵の女神 シャルトスではなく、森の魔女 シャルトスとして必要なスキルは何だろう。


作物を育てる土壌を作るという事は、土の魔術か水の魔術だろうか。

自然を愛していたなら、土の魔術……いやでも、水龍と親しげに話せているなら、水の魔術な気もする。

となれば、土壌を作るのは知識の部分だろうか。

確か、植物知識のスキルがあった。

もしかしたら私のやりたい事と一緒で、森の中に家を建てて薬草とかを育ててたのかも?

なら、農作も取ってみよう。




-------------------


名前:ユン


種族:幽世の少女


性別:女性


レベル:20


VIT(生命力):13


MND(精神力):26


STR(筋力):6


INT (知力):42(+9)


AGI (敏捷度):27(+6)


DEX(器用度):39(+31)


LUC(幸運度):34


職業:薬師


スキル:片手剣 Lv.23、水魔術 Lv.1、調剤 Lv.27、採集 Lv.19、農作 Lv.1、植物知識 Lv.1、シャルトスの寵愛、シャルトスの瞳


スキルポイント:10


所持金:1400G


--------------------




……進化の系譜に変化は無い。

あとは、なんだろう。

動物と心を通わせる……?

それに近しいスキルと言えば調教だろうか。

ウンウンと悩みながら調教のスキルを取ってみると、そこでようやく進化の系譜に変化が現れた。


"知恵の魔女"。


やった、来た!

もひょーーーっ!


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