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剣と剣がぶつかり合う乾いた音が洞窟の中に響き続ける。
予測線が見えなければ、きっと私はとっくにやられていただろう。
HPのゲージは半分を切った。
けれど、一発逆転の目はまだある。
集中力を切らすな。
いずれ来るチャンスを掴み取るために。
不意に、背中に感じる硬い壁。
リビングソードはそれが見えているのか、ここぞとばかりに鋭い突きを繰り出した。
けれど、それが私の狙いだった。
斬撃の様な線の攻撃は慣れるまでに時間がかかる。
けれど、刺突の様な点の攻撃は来る場所とタイミングが分かれば避けやすい物だ。
喉を狙って繰り出される、リビングソードの鋭い刺突。
予め来る場所が分かっていれば、避けてくれと言っている様な物だ。
右手に持った細剣を引きつつ、左足を軸に身体を右に回す。
目標を見失ったリビングソード。
かといって、勢いを急に殺す事は出来ない。
ブレーキをかけそこなったリビングソードは、そのまま洞窟の壁に突き刺さった。
決して深くはない。
けれど直ぐに抜ける程浅くも無い。
すぐに態勢を立て直す事は出来ないだろう。
そして、私には攻撃予測線の他にもシャルトスの瞳によって見えている物が有る。
豪華な飾りの付けられた柄の中心。
綺麗な宝石の様な赤い石に、青いターゲットマーカーが表示されている。
悪鬼の時も、ゾンビたちの時も、それが何を意味しているのかは変わらなかった。
戦闘を有利に運ぶための、敵の弱点だ。
本当なら、きっと狙うのすら難しい小さな石。
少しでもズレれば、柄にそれを阻まれてしまう。
けれど私のステータスは、そもそもDEXに特化させた物。
器用さを求められるものであれば、私の得意分野だ。
集中を続けろ。
狙いを定めろ。
引いた右手の細剣を鋭く突き出す。
洞窟の壁に刺さったままのリビングソードに、それを避ける手段は残されていなかった。
細剣は容赦なくターゲットマーカーを貫き、その瞬間、壁に刺さったリビングソードはパキリと折れて地面へと落ちる。
『Lv.20に達しました。種族の進化が可能です』
頭の中に流れるアナウンス。
かなり大事な事を言われた気がする。
けれど、それどころじゃなかった。
強敵と戦って、初めて一人で勝つことが出来た。
その喜びが胸の奥から沸々と湧きあがる。
「……うおーーーー!」
気付けば、無意味に叫び声を上げながら両手を真上に突き出していた。
この達成感、たまらん……!
2020.05.15
に、日間ランキング32位・・・・!?
恐れ多い・・・・。
今回の投稿が短めになっちゃったの、凄く申し訳なく感じてしまう・・・・!
次からは、もっと精進します・・・・!
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asn。




