その少女、過激につき。
私、山口 結芽の朝は早い。
季節によっては日が出る前に目を覚まし庭に出て、まず行うのは花壇への水やり。
この花壇は母親の趣味で作られてる物で、一部はちょっとした家庭菜園にもなっている。
お花の手入れをして、生っているなら野菜を収穫して、新聞を取ってからおうちへ戻る。
そこから家族が起きてきた時の為にコーヒーメイカーのスイッチを入れる。
ちょっと前まではお昼頃までベッドの中に居たけど、アルカナオンラインを買うためにお手伝いをしていたら、いつの間にかそれが習慣になってしまった。
……え、話し方が変だ?
少しくらい気取っても良いじゃないか。
「おはよう、結芽。いつもありがとうね」
いつも最初に起きてくるのはお母さん。
優しくて綺麗で、ご飯を作るのも上手。
自慢のお母さんだ。
「お母さん、おはよ」
「じゃぁ、パパが起きてくる前にご飯作っちゃいましょうか」
お母さんが起きてきたら、一緒に朝ご飯を作る。
トーストを焼いて、スクランブルエッグとベーコンを焼いて、その間にお母さんが簡単なスープを作ってくれる。
今朝は私の好きなコーンスープだった。
市販の物を温める奴だけど。
「おはよー……」
朝ごはんの良い匂いが漂ってくると、ようやくお父さんが起きてくる。
いつも定位置に座るのでそこに新聞を置いておくと、お父さんはいつもそれを寝ぼけながら読む。
出来上がったコーヒーをお父さんの前に置くと、いつも頭を撫でられる。
まるで子供扱いされているみたいで嫌だった時も有ったけど、お母さんに文句を言ったら笑われてしまった。
パパやママにとっては、いつまでも結芽は子供なのよ、と。
朝は割とそんな感じ。
お父さん、お母さん、私の三人家族で、ごく普通の一般家庭。
他のおうちに比べれば、両親との仲は良い方かもしれない。
みんなで朝ご飯を食べてから、学校の制服に着替える。
学校は退屈でつまらない。
友達も居ないし、勉強のためだけに行ってる感じ。
中学校までは幼馴染と登校してたけど、別の高校へ行っちゃったし。
仲が悪くなったわけじゃないけれど、何となく距離を感じてしまう。
私立の学校なんて、行くんじゃなかった。
お金持ちの子たちが考えてる事はさっぱりわからない。
ただ一つだけ嬉しいのは、学校の図書室がすごく広いって所。
公立の学校よりずっと広いらしい。
学校から帰ってくれば、家には誰も居ない。
お父さんもお母さんも働いてて、帰ってくるのも遅い。
ここからが、私の時間。
自室にこもり、ゲーム三昧だ。
日付が変わったくらいにはお母さんが様子を見に来るので、そんなに遅くまでは出来ないけれど。
ご飯やお風呂等、色々な事を済ませるのが大体19時過ぎだ。
フィルポーターを頭に乗せて、ベッドに横になる。
さぁ、冒険へ出かけよう。
昨日ログアウトしたのは、ネザーにある廃墟の中。
昨日と同じように、まずはやる事を決めてから動くのが良いかもしれない。
1.剣を買う。
2.一人で行ける採集ポイントを探す。
3.ポーションを作る。
スマホから生産職チャンネルには顔を出したし、昨日考えた物の中では剣を買うことと採集ポイントを探す事の二つが大きな目標になりそうか。
紅白戦って事になれば、きっと大量のポーションが必要になる。
一週間でどれくらいのポーションを用意できるかが、私がどれだけ貢献できるかに関わってくる。
後は図書館に行って、シャルトスについて調べてみるのもありかもしれない。
寵愛をくれてる神様を知らないとか、失礼にも程があるし。
ちなみに、ディナダンさんにこのスキルの事は話してない。
仕方ないね、他にも色々お話したい事があったから。
ともあれ早速、本日も遊んでいきましょう。
2020.05.13
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これからも精進していきます。
がんばるぞ、おーっ。
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asn。




