少女9中
クッキークリッカーに、はまってます。
人間でありながら〈魔法を使う程度の能力〉の持ち主を名乗る魔理沙。
「また私たちを退治しに来たのですか?」
「なんでい、私は〈妖怪とあらば絶対に倒す程度の能力〉の持ち主じゃないんだぜ?」
かつて魔理沙は、今バーベキュー場にいる面々のほとんどと一度は異変絡みの壮絶な弾幕ごっこを繰り広げている。
不安げに何か尋ねてきた雛でさえ、妖怪の山に入らせまいと霊夢や魔理沙と戦ったのだ。
そうした点では魔理沙は霊夢に負けず劣らずの、異変解決の勇者と言えなくもない。
「魔理沙は戦闘狂だから……」
霊夢にそう指摘されると、魔理沙はふんと鼻を鳴らし「魔法使いだからな」とよく分からないご託を述べた。
そんな魔理沙は時々、妖怪退治に喜び勇んで出かけているのだ。
霊夢の依頼をかっさらうのは当たり前。それは霊夢が友人であるのとは無関係の、魔理沙が持つ性格ゆえなのだろう。
また幻想郷で唯一、箒を使って飛ぶのが魔理沙だ。実は箒どころか道具もなしで飛べるのだが、「箒は魔法使いに必須」となぜか思い込みがあるらしい。
☆
「ふんふん、これは私のマスタースパークを盗用したのだな。つまり私の物だぜ」
「渡さん。渡さんぞー!」
にとりは魔理沙の「盗用した」などという嘘に激怒した。
そもそも魔理沙のスペル、恋符「マスタースパーク」は雷属性でもなんでもない、幻想郷でも最強に近い威力の単なる極太レーザーだ。
このように息を吐くように嘘をつく魔理沙だが、実際は他の住民と比べて良識が無いだけで比較的常識人だ。
雑学にも詳しく、それがおそらくは魔法の研究にも生かされている。
基本「お前のものは私のもの」なので何処へ行っても迷惑がられ、実際に迷惑な行動を起こすことも多い。
たとえばよく人の物を奪う事でも有名な魔理沙だが、相手が大抵、人ならざる存在だからか本人は「自分が死ぬまで借りるだけ」としている。
いずれ強壮キノコジュースを作ってやるなどの言い訳はしてるのだが、ただただ返すつもりがないだけなのかもしれない。
だが人間の里では普通に買い物をしたりするので、いたずらに一般人には盗みを働いたりはしないのだろう。
「じゃあ、里で何か買ってやるからしばらく貸してくれよ」
「ダメだ。お前との貸し借りほど信用出来ないモノはない」
心優しいにとりに、そこまで言われるのが魔理沙なのだ。
☆
ある時になど、稗田 阿礼の子孫である稗田 阿求の家で何か盗もうとした魔理沙は、自らの実家と付き合いがあると知って悔しがりながら諦めた。
つまり人里でやると実家と関わる事態になるならば避けるのだろう。
他にも、他人の魔法やスペカ、つまりスペルカードも「死ぬまで借りるだけ」を理由に参考にしたりする。
たとえば恋符「ノンディレクショナルレーザー」ならパチュリーの通常弾幕、スペカではないがコールドインフェルノならレミリア・スカーレットのショットといった具合だ。
持論として「派手じゃなければ魔法じゃない」「弾幕はパワー」と常々より豪語していて、その言葉通り、威力重視の魔法を習熟している。
特に彼女と言えばのボムのスペカ、恋符「マスタースパーク」は幻想郷で知らぬ者がいないほどだ。
幻想郷の全スペル中最高のパワーにして豪華、それは彼女の持論の象徴と言える。
☆
そんな派手な魔法を重用する魔理沙だが、そこに至るまでの過程には意外にも派手さの片鱗もない。
魔法の森でキノコを採り、家に持ち帰って実験を行い、使えそうな結果なら自分の魔法に生かす。
使えなくてもその反応や変化などを子細に渡り記録に残し、後の実験に生かせることは生かし、魔法の森からキノコを……という、非常に地味な作業の繰り返しなのだ。
これは、実は見えないところで相当の努力を積み重ねているということの裏返しでもあり、それこそが魔理沙が努力家と言われる由縁である。
キノコ以外にも、森で珍しい素材、魔術的な品、噂に聞いた品、珍品などを収集し、それらを変化や調合、つまりやっぱり実験する事で魔法の素材を作成し、そこから様々な魔法を生み出す。
その過程にも魔理沙の地道な研究や試行錯誤の数々が詰まっている。
また魔法研究の一環として様々な弾幕スタイルを魔理沙の視点で書き留めた「グリモワールオブマリサ」があり、この執筆を通して彼女は「魔法のヒント」を得ようともしている。
☆
霊夢とは友人であり、異変が解決すると博麗神社へ遊びに行く事も多い。
神社で宴会をする際には幹事役を担ったりもするらしい。
他には紅魔館や香霖堂へ足を運ぶ。
あるいは永遠亭や地底の旧都へ遊びに行くなど、異変が終わる度に行動範囲を広げている節があるようだ。
「そのうち、神霊廟にもお邪魔するつもりだぜ」
「やれやれ。何も盗まないでくださいよ?」
「雲の中も中々居心地が良いぞ、魔理沙。ただし集めた物を大量に置きに来るのだけは、やめてくれ」
魔理沙には蒐集癖があり、物が捨てられない性格な魔理沙の家は、部屋中が散らかっているらしい。
同じ蒐集家であるアリス・マーガトロイドとは犬猿の仲だったらしいが、今ではそれほどでもなさそうだ。
実家は人間の里の大手道具屋「霧雨店」で、魔理沙はそこの一人娘である。
しかし魔法の道具を使わないことで何か起きたとかで、魔理沙は実家から離縁された身の上らしい。
魔理沙自身もまた実家には関わらないようにしているため、事実上の絶縁状態にあるという。
ちなみに香霖堂の霖之助は魔理沙が生まれるよりも昔に霧雨店で修行していた時期がある。
魔理沙が幼い頃には彼は既に独立して香霖堂を開いていたが、その頃から何度も実家に訪ねに来ていたほどに二人は知り合いである。
ところで魔理沙は香霖堂で物を盗んだことがないとよく言われるが、実際には普通かのように店の商品を勝手に持って行ったりしている。
これは霖之助が「ツケ」というていにしているので、建前としては泥棒ではないというだけの話である。
☆
暇な時には桜の花びらを帽子に乗せて可愛く飾ったり、料理をしたり、家庭的で女の子らしい一面もある。
意外なことに料理は結構得意でレパートリーが豊富。
「スタミナ料理なら任せろ」
博麗神社では平時でもたまに食事当番にされている。
「ただ、たまにはあなたと弾幕ごっこも悪くないわね。魔理沙」
「ったく、どっちが戦闘狂だ。だが受けて立つぜ、三回勝負だ!」
幻想郷における「魔法使い」とは、阿求によれば先天性と後天性の二種類があり、さらに職業としての「魔法使い」がある。
幻想郷ではパチュリーが先天的な魔法使いでありアリスと聖 白蓮が後天的な魔法使い、魔理沙が職業的な魔法使いに当たる。
ただし地蔵が変化を遂げた矢田寺 成美などのように、どのような位置づけとなるか分からない存在もいる。
「撃つ時は精神を集中させ、優しくミニ八卦炉に呪文をかける。にっくきターゲットを狙い、放つは恋の魔砲!」
☆
魔法には使い手が決める方向性があり、魔理沙の場合には光と熱の魔法を主とする。
代表的なものとしては魔理沙の「宝物」であるミニ八卦炉を用いた一直線の大光線、恋符「マスタースパーク」がある。またきらきら光る星型弾幕となる魔符「スターダストレヴァリエ」などのスペカも様々生み出している。
その魔法は「物を破壊する程度にしか」効果が無いものの弱点が少なく、人間や妖怪問わず多くの対象に効果が発揮できる。
魔理沙が愛用するマジックアイテムはミニ八卦炉の他、帚や魔導書など。
さらに小物が帽子の中やスカートの中にしまいこまれているという。
人間でありながら魔理沙ほどに魔法を行使出来るものも珍しいようで、阿求は魔理沙の将来について「(妖怪の)魔法使いになるのかも知れない」としている。
「誰でも同じよ、気付けば勝手に負けている。幻想郷では無意識の夢想で勝つのが何よりの醍醐味なの」