少女12中
ランチパックにハマってます。
「随分と香ばしいのだわー」
姫海棠 はたてがそう言いながらバーベキュー場にやって来たので、文は帰る仕草を止めて呼びかけた。
「はたてじゃないか。珍しいな、引きこもり天狗の癖に」
鴉天狗で、二つ名は「今どきの念写記者」・「初々しいスポイラー記者」といったふうだ。
能力は〈念写をする程度の能力〉。
姫海棠はたては、妖怪の山に住む鴉天狗で、射命丸文と同じく新聞を発行している。
新聞の名前は「花果子念報」。
新聞記者ではあるが能力の関係であまり出歩かないため、文に比べて妖怪の山の中では顔は広くない。
とある異変では互いに解決に向け主役となり戦ったが、それでも同じ写真に対しての価値観など根本的な思想からして違っていることが多い。
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ちなみに苗字の「姫海棠」とは、バラ科リンゴ属の植物である「桷」の別名である。
桷の花言葉は「追憶」だ。
正邪が起こした異変では彼女に取材というていで追跡を行った他、かつては当時流行していた宗教家たちの決闘やそのブームに乗った賑わいを観戦している。
犬走椛らしき天狗の姿と共にあることがあるが、詳細は知られていない。
一方で花果子念報は文に、人間社会にある週刊誌を模した「文々春新報」を作らせるほどの影響を与えた他、文による「文々春新報」創刊号誌面中の袋とじ対談にて本人たちであるとの明記はないもののはたてや文、椛らしき天狗女子たちが昨今の天狗社会を主なテーマとして「ノーサイドの精神」で対談している。
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はたては癖の強い茶髪のロングヘア―を、紫のリボンで結んでツインテールにしている。
また、頭には紫色の天狗帽子――文や椛と同じデザインで色だけが異なるもの――を被っている。
服装は襟に紫のフリルが付いた薄ピンクのブラウスに黒のネクタイをつけ、同じく黒のハイソックスを着用。
ミニスカートは黒と紫の市松模様が描かれたもので、紫色の部分には上記の姫海棠、つまり桷の花と思われる模様が描かれている。
靴は天狗らしく一本足の下駄で、それをハイソックスの部分から紫の長いバンドのようなもので縛って履いている。
腰には、カメラを入れるものと思われる茶色のポーチをつけている。
写真を撮るためカメラを持っているが、そのカメラはどう見ても折り畳み式の携帯電話、あるいはそれらしきものだ。
携帯電話は黄色っぽい全体像で、多少明るさの異なる二種類の黄色による、スカートのような市松模様。
ピンク色のハートマークのデコらしい装飾が付いている。
筆を模したストラップがついているがタッチペンだろうか。
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性格は「~だわー」「~ねー」「~なのよねー」などとギャルっぽいやや間延びした口調。
気に入ったものや感心したものには非常に素直な賞賛を送り、羨ましいものは素直に羨み、見習うべきは素直に受け入れる。
しかし、嫌いなものや気に入らないものは遠慮なく貶したり、「キモーい!」などと嫌悪したり、見下したりもする。良くも悪くも非常に素直。
全体的に明るく軽めの性格。「心に遊びを持たせる」事を大事にしている節が伺える。
上司である大天狗に対してもお祭りなどで無礼講となると頭をド突きに行ったり、大天狗に「接触を控えめに」と言われた鬼に会ってもネタ欲しさに取材を敢行するなど、上下関係にもあまり縛られたがらない。まさに今どき。
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はたては食べ物にこだわりがあるようで、写真に関するコメントでは食べ物の話が頻繁に出てくる。
秋 穣子の取材では焼き芋を欲しがったり、龍宮の使いを見て「どんな味がするのかな」などと考えたり、要石を見て漬け物石を連想するなど、そのこだわりは相当のもの。
爆発する嫉妬心を見て「怨恨殺人燃えるわー」などと発言したり、僧侶の退屈な話に「あーあ、殺人まだー? 犯人はー?」などと殺人事件の話を求めるなど不謹慎を厭わない面もある。
また、全く心に裏表がなくて読まれるのが怖くないと言う事なのか、サトリ妖怪に会っても、その能力と彼女らが地底に隠れた経緯を知っていながら「楽しい事を思い浮かべて読ませて喜んでもらおうとする」「自分の新聞の宣伝を相手の読心を利用して行おうとする」など、他の大体の人妖が避け忌み嫌うサトリ妖怪をまるで嫌悪しない。
これらの素直で軽い言動からはかなり若く思えるが、「海」を知っていると思しき発言、及びサトリ妖怪が昔妖怪の山に居た頃の事を知っているらしきことから、かなりの古参妖怪と思われる。
ただ、文と比べてどちらが年上かは不明。ちなみに、幻想郷が外の世界と隔離されてから百三十年近く経つ。
その素直さは比較的新しいものにも開かれている一面にも垣間見られ、近年の外の世界の技術あるいは人間の流入を、警戒はしつつも概ね肯定している。
文もまた全く同じテーマで意見を主張しているが、文は外部のものに強い警戒感と拒否感を示しており、開かれることに寛容でそこから得られる実益も見つめるはたてと対照的である。
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新聞については「文々。新聞」を発行している文と、天狗の新聞大会で発行部数を競い合うライバル関係。
はたては文の新聞を最低の記事と評し、片や文ははたての新聞を妄想新聞、弱小新聞と揶揄するなど、顔をあわせればキツい言葉が飛び醜い争いが繰り広げられる。
しかしこれもライバルとしてお互いに向上するための修行の一環であるため、決して仲が悪いわけではない。
はたての作る新聞は念写の能力を用いて作っていた為、その写真はどこかで見たものしかなく、それ故ネタの新鮮さに欠けるので余り人気が出なかった。その為、自身「不思議な魅力がある」と言う文の新聞の秘密を探るべく行動を開始する。
文とはたてのメディア対決は以後も描かれており、例えば文による「週刊誌」である文々春新報・創刊号では花果子念報の記事二本について取り上げられている。
内容への評価は否定的であるが、別の場面では花果子念報のスタイルが文に与えた影響の大きさや刺激など、文個人がはたての花果子念報やそのスタイルから得たものも語られている。
誌面中には、はたて本人の写真も掲載されている。
また先述の文々春新報創刊号の袋とじ対談などでみられた「鴉天狗A」と「鴉天狗B」の、ネタの奪い合いにしてそれでも仲の良さも窺わせる様は『ダブルスポイラー』そのものでもある。
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スペルカードでさえ取材「姫海棠はたての練習取材」、連写「ラピッドショット」、遠眼「天狗サイコグラフィ」など新聞やカメラにちなんだものが多いのは、記者としてのプライドなのだろう。
能力である〈念写をする程度の能力〉は「持っているカメラにキーワードを入れるとそれにちなんだ写真が見つかる」というもの。
彼女の「遠距離を写し、そこに弾幕を発生させる」というスペルカード・遠眼「天狗サイコグラフィ」も文に「念写」と言われている。
また、正体不明の種で正体を偽っていた封獣ぬえの真の姿をも「念写」で撮影する事に成功している。
この為、念写は現在のカメラを用いた念写の応用の一つである可能性もある。
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カメラは先に述べたように、どう見てもケータイ、しかも、いわゆるガラケーの形をしたカメラ。
河童製で完全防水らしい。
文のカメラの範囲よりも撮影範囲が縦に長く、デフォルトの撮影範囲も、横長の文のカメラに対して縦向き。写メだからだろうか。
文のカメラに比べてフィルムを巻く速度が格段に速く、文も内心羨んでいたほど。
その代わり、望遠能力が文のカメラに比べてかなり低い、という欠点もある。
また、軽くて持ち回しやすい為か被写体への振り向きも早い。
とある異変では、巨大な雲山の撮影時に「パノラマ機能があるって河童が言ってたっけ、どうやって使うのかな」などとまだ使い方が解っていない様子が見られたが、いつからかスペカ・写真「フルパノラマショット」を使っているので、パノラマ機能の使い方も習得した様子。
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人里の人間たちが持つはたての二次的なイメージには、「念写に頼りきりで出歩かなかった」という事実から連想された引きこもり・ぼっちと、その延長としての対人恐怖症があり、しばしばそれをネタにされる。
それとは別に、制服っぽい服装や携帯電話らしきもの、「今どき」という言葉のイメージなどからギャルっぽい女子高生的な存在と見なされる事も多い。
文の新聞を最低の記事と評すと知られてからはしばしば、「パパラッチや盗撮を繰り返す文を咎める役」、あるいは逆に「文と一緒になってパパラッチや盗撮をして二人一緒に咎められる役」などを空想されている。
本来の素直さと裏腹に、容姿の一つであるツインテールから連想されるキャラ性の印象のせいかツンデレ扱いされる事も多い。
名前が「ほたて」に似ている事からホタテ呼ばわりされることも。
そんなはたてではあるが、異変の当事者かもしれない屠自古にはあまり興味がなさそうだ。性格からして、もっとスリルのある事件を追いたいのだろう。




