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なろう系コント・漫才 for ゲラゲラコンテスト

コント『将来の夢は小説家?』(原案)

作者: 藤屋順一

ゲラゲラコンテストの募集を見て書き始めたのですが、脚本形式でコントを執筆したらこの量になりました。

それにしても、上限2000文字がどういう基準で設定されたのかは知りませんが、ある程度の質を保った作品を脚本形式で書くには厳しすぎるんじゃないでしょうか?

桁が間違ってるんじゃないかと確認したくらいです。


結局、骨格だけを残して美味しい部分を削りに削った作品を応募作にすることになってしまって、ちょっと残念に思っています。

学生服姿の二人、HRが終わり帰る準備をしているAにBが話しかける


B:なぁなぁ、Aは将来の夢とかある?

A:なに? 急に

B:いや、あれよ、もうすぐ進路相談があるしょ? Aはどうしよう思とるのか知りとうて

A:あ〜、進路相談か。う〜ん、なんだろ。普通にそこそこの大学出て、公務員になるのが良いかな

B:はぁ!? 夢のないやっちゃなぁ〜!

A:悪かったね。夢がなくて。じゃ、帰るよ


帰ろうとするAにBが心外そう立ちふさがる


B:夢のないやっちゃなぁ〜!(来いよ来いよのアピール)

A:(嫌そうな顔で観客席をちら見して)うわぁ、聞きたくないなぁ……


BがそわそわしながらAからの言葉を待つ


A:(面倒くさそうに)え〜と、Bはなにか夢とかあるの?

B:(ニヤニヤしながら)え〜、そんなに俺の野望が聞きたいん?

A:(間をおかず)いや、いい。それじゃ、帰るわ

B:ちょ! ちょ!


帰ろうとするAを押しとどめながら頭を下げ、人差し指を立てて『もう一回』のアピール


A:(嫌そうに)え〜と、Bはなにか夢とかあるの?

B:よう聞いてくれました! 俺、将来小説家になろうと思てんねん(ドヤ顔)

A:(怪訝そうに)小説家ぁ? え〜……

B:なんや文句あるん? シャンプーで全身洗っちゃう人を見るような顔して見やんといてくれるか

A:大体Bって日本語使えんの?

B:今使ことるやないかい!

A:(更に怪訝そうに)え〜……

B:だからその顔やめい!

A:(『本当に?』のニュアンスで)タッカラプト?

B:(『ああ、ホンマにや』のニュアンスで)ポッポルンガ…… って、普通にナメック語で返してもうたやんけ!

A:(Bを無視して)でも、小説家ってからには小説書くんでしょ? 難しくない?

B:そう! そこなんよ。さすが我が相方

A:勝手に相方呼ばわりしないでもらえるかな?

B:頭の中にイメージはあるんやけど、なかなか話に纏められんくて、一緒に考えてくれるか?

A:はぁ? まぁ、乗りかかった船だし、ちょっとくらいなら付き合ってあげるけど…… で、どんな話?


間 両者たたずまいを直す


B:(得意気に話し始める)まず、主人公は自分のしょうもない人生に嫌気が差してるブラック企業の社畜で、くっそ安い給料のキツイ仕事ををこなしながら始発で出社して終電で帰る生活を送ってるわけや

A:ふんふん

B:それで、ある日の朝、駅に向かう途中で道路を渡ってる野良猫を見かけて……

A:(食い気味に)あ〜、それを助けようとしたら車に轢かれて死んでしまって、神様からチート能力をもらって〜って奴でしょ?

B:(ムッとして)はぁ? そんなんとちゃうわ

A:じゃあ、どんなの?

B:(小声でボソボソと)車やのうてトラックに轢かれて……

A:えっ、なんて?

B:(ぶっきらぼうに)トラックに轢かれて死んで、神様にチート能力を与えられて、中世ヨーロッパ風の魔法の世界に転送されて、美少女たちと一緒にその世界を冒険する話や

A:それって、いわゆる『なろうけ……

B:(Aの言葉を遮って)ええい! 皆まで言うな! 俺がこれから書く作品は俺だけが書ける俺だけの物語や! 一緒にせんといてくれるか!

A:はいはい、わかったわかった

B:じゃぁ、まずは神様からチート能力をもらうところからな

A:神様にも色々あるけど、どんな神様?

B:どんなて? そんなん決めてなかったなぁ

A:それなら僕神話とか詳しいから、作品のイメージを教えてくれたらそれに合う神様を選んであげるよ

B:えーと、そうやなぁ、沢山の美少女に出会って

A:ボーイ・ミーツ・ガールで……

B:(上機嫌に頷き)読んでるうちに、わ〜っと幸せな気分になって

A:幸せの予感がして……

B:(不思議そうに頷き)それで多分、人探ししたり、ダンジョンを探索したりで異世界を満喫するイベントを入れると思う

A:きっと誰かを探してるっと……

B:(訝しげに頷き)後はバトルとか恋愛とか友情とか、熱い展開がてんこ盛りにする予定や

A:ゲレンデが溶けるほど熱い展開っと。ふんふん……

B:おい、ちょっと待て!

A:(ハッとした顔で)ロマンスの神さ……

B:(食い気味に)知ってた! 途中から全部お見通しやったわ! 大体何やねん、最後のゲレンデて、それ違うとこから持ってきた奴やろ

A:♪この(ヒト)でしょうか〜?(ドヤ顔)

B:『うまいこと言うたった』みたいな顔すんな! あ~、神様はもうええ、次のシーン行こう

A:次はどんなシーン?


間 両者たたずまいを直す


B:神様からチート能力を与えられて異世界に転送されたら、そこは見晴らしのええ山の上で、遠くに見える大きなお城から煙が上がっとる。それを千里眼のスキルで見てみると(望遠鏡を覗くジェスチャー)

A:見てみると?

B:お城は魔物に襲われ火の手が上がり、あたりを探ってみると城門を抜けて猛スピードで逃げる馬車、それを追いかける魔物の群れ! 馬は焼かれ、御者は殺され、馬車から美少女が飛び出して懸命に逃げるもすぐに追い詰められる!

A:大ピンチじゃん

B:そこで俺が空を舞う術的なスキルでピャーッ!と一直線に飛んで行く!(ピャーッと飛ぶジェスチャー)

A:ああ、もう、俺って言っちゃったよ

B:そして、魔物の群れに向かって手をかざすとなんかめっちゃすごい魔法が出て雑魚どもを一掃する! シュゥンシュウンシュウン……カッ!デュゥン!ビシャァッ!ビシビシビシッ!バババドゥーン!(チートスキルで敵を殲滅するジェスチャー) 敵が全滅したのを確認した後、この国の王女様である美少女の前に降り立ち、いい感じに見つめ合う……

A:へ〜、なかなか良く纏まってるんじゃない? Bにしては

B:(ムッとして)なんや気になる言い方やな。でも、この後やねんな〜 主人公のライバルになる敵が現れてお姫様を奪いに来んねんけど…… そや、A、その敵の役やってくれる? セリフとかは好きにやってくれたらええから

A:えぇ…… まぁ、良いけど

B:じゃあ、俺が雑魚を一掃して王女様の前に降り立ったところで、王女様をさらうためにAが現れるシーンな


両者演技のできる立ち位置に下がって向かい合う


A:(Bの隣にいるていの王女に向かって)これはこれは王女様、お初にお目にかかります。王族である貴女が国を捨ててお逃げになるとは、なんとも嘆かわしいことだ。この魔剣士ディートフリート・クラインシュミットにご同行願いましょう

B:(Aの突然の演技に困惑)ちょっ! なにそれ!?

A:(Bの困惑を無視して)ほう…… 貴様か、我が配下たちを悉く亡きものにしてくれたのは。ここで屠るには少々惜しい実力ではあるが、邪魔建てするのであれば致し方あるまい(剣を構えるジェスチャー)

B:タイムタイム! めっちゃかっこええやん。なんなんそれ?


Bが手でTを作りながら中央の立ち位置に戻り、合わせてAも中央に戻る


A:ああ、魔剣士ディートフリート・クラインシュミットは裏切り者の烙印を押されて魔王に殺された魔族の父親と元聖女の母親とのハーフの生まれで、魔王の元で人質となってる母親を助けるために魔王を憎みながらも命令に背く事ができない悲しい運命を背負って生きる、聖と闇の両方の属性を持ち合わせた魔剣士。っていう設定


説明を聞いてる間にBの表情がだんだん曇っていく


B:(がっくりと肩を落とし悔しそうに)なんなん、それ…… めっちゃずっこいわ…… 敵のくせに主人公よりかっこええ設定とか、俺の話やのに絶対おかしいやん!

A:(半笑いで)え〜、Bは安月給でこき使われるブラック企業の社畜で猫を助けて死んでロマンスの神様にチート能力を与えられて転移してきたんでしょ?

B:いや、そうやけど…… (悶絶しながらAのまわりをウロウロしてアピール)あ〜、くっそ! ホンマ、なんで自分で思いつかんかったんやろ? 絶対あっちの方が女の子の読者に人気でるやつやん。 あぁ、くっそ〜! 何とかならんかなぁ。 大体、元々俺の話やし、俺がおらんかったらあのディート何とかってのも生まれんかったわけやし、実質俺が考えたようなもんやんなぁ あいつ別に小説家目指してるわけでもないし……

A:うわぁ、すごい悔しそう…… (面倒くさそうに)それじゃあ、死んだ後神様にチート能力をもらって、ディートフリート・クラインシュミットに生まれ変わったってことにしたら? 成長とともに前世の記憶を思い出す感じで……

B:えぇっ!? ホンマに俺がディート何とかやってええの? Aのネタやのに?(ワザとらしく)

A:(ため息)良いよ。元々Bの話で実質Bが考えたようなもんだし、別に小説家になろうとも思ってないし……

B:よしっ!(ガッツポーズ)

A:じゃあ、チート能力をもらって生まれ変わったBは魔剣士ディートとなって魔王からの命令で王女をさらいに行く、そこで王女を護衛している敵役でライバルの勇者と出会い王女を賭けて決闘をする。って感じでいい?

B:ええやん! ええやん! それで行こ!

A:まぁ、よくある奴だけど

B:(ムッとして)はぁ? 他の有象無象と一緒にせんといてくれるか! 俺の作品は俺だけが書ける俺だけの物語なんやからな!

A:いや、もう半分以上僕のアイデアだよね

B:(食い気味に)あーっ! あーっ! 何も聞こえませーん!(耳をふさいで大声で)

A:(呆れ気味に)はいはい、良いからもう始めよ? 魔剣士ディートが姫様をさらおうとするところからね


両者演技のできる立ち位置に下がって向かい合う


B:(Aの隣にいるていの王女に向かって)これはこれは王女様、お初にお目にかかります。王族である貴女が国を捨ててお逃げになるとは、なんとも嘆かわしいことだ。この魔剣士ディートフリート・クラインシュミットにご同行願いましょう

A:(王女をかばいながら)王女様、お下がり下さい。(わたくし)ギュンターが命を賭して王女様をお護りし、必ずや聖地へお連れいたします故ご安心を!

B:(Aの演技を訝しがりながら)ほう…… 貴様か、我が配下たちを悉く亡きものにしてくれたのは。ここで屠るには少々惜しい実力ではあるが、邪魔建てするのであれば致し方あるまい(剣を構えるジェスチャー)

A:来い! 魔剣士ディートフリート! 勇者ギュンター・カールハインツと剣を交える事を後悔させてやる!(剣を構えるジェスチャー)

B:ターイム! 何? 何なん? その勇者


Bが手でTを作りながら中央の立ち位置に戻り、合わせてAも中央に戻る


A:え? ギュンター・カールハインツは十年前に世界を救った勇者で、『平和な時代に英雄は必要ない』と言って表舞台から姿を消した後、身分を隠し気ままな冒険者として人助けの旅をしている。って設定

B:ふ〜ん、なるほどね(ぶつぶつ言いながら数字を数えるように指を折り、どっちがかっこいいか比較して納得する)……よし、続行!


両者演技のできる立ち位置に下がって向かい合う


B:ふっ…… 身の程もわきまえられぬとは、勇者でなく愚者を名乗った方が良いのではないか?

A:問答無用っ! 人の痛みを知らない魔族め、正義なき力が如何に空虚か、その身で味わえっ!

B:キンキンキンキン……!


しばらくキンキン言いながら剣を打ち合わせ続け、鍔迫り合いで向かい合う


B:ふふふ……! さすがは勇者と言ったところか!

A:お前こそ、まだこの程度じゃないだろう!?


お互いに押し返して間合いを取り、再び打ち合う


B:キンキンキンキン……!

A:……ちょっとタイムしていい?


キンキンと打ち合ってるうちにAが段々怪訝な表情になり、打ち合いをやめて手でTを作って両者中央に戻る


B:なんや? 折角ええところやのに

A:表現力よ

B:(心外そうに)実力が拮抗しててずっと打ち合い続けてるシーンやがな

A:いや、わかるけどさ…… まぁ良いか(首を傾げ納得していない様子で)

B:で、次はどうなるん?

A:お互いに渾身の奥義を打ち合って二人共深手を負うんだけど、ディートは残る力を振り絞って王女様を連れ去る。そして、力尽きて身を隠した森の中で王女様の回復魔法で逆に助けられ、そこから二人の愛の逃避行が始まる。その後何度かギュンターと剣を交えるうちに友情が芽生えて、力を合わせて魔王を倒す決意をする。こんな感じかな


説明を聞いてる間にBの表情がだんだん明るくなっていく


B:おーっ! すっげぇ、俺の作品! マジ熱い! コレ絶対売れるわ!

A:いや、もうほとんど僕が考えてるんだけど……

B:(食い気味に)あーっ! あーっ! 何も聞こえませーん!(耳をふさいで大声で)

A:(呆れて)はいはい、もうBのでいいから、自由に書いてくれていいよ

B:よーし! じゃあ俺、早速ブラック企業で安月給でこき使われる社畜になりたいって先生に言ってくるわ!


舞台から走り去るBを説得するようにAが呼びかける


A:いやいや、小説家になろうよ!?


最後までお読み頂きありがとうございました。

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