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金稼ぎ

【9】

 商業組合の建物に入るとそこはだいぶ活気にあふれていた。


 ──そういえば今は商人は忙しい時期だって最初に会ったおばさんが言ってたっけ。


「ここに仕事やクエストの募集が貼ってあります」


 セフィアがそう言ってを指し示してくれた。

 そこには学校の黒板くらいの大きさの掲示板に所狭しと依頼の紙が貼ってある。


 北の関所までの道に出るオオトカゲの討伐  報酬 金貨1枚

 東のシュヴァルツ山に生えている赤い薬草求む  報酬 銀貨4枚

 馬小屋の掃除  報酬 銀貨1枚と銅貨5枚

 私の猫を探して!  報酬銅貨3枚


 俺は字が読めないのでセフィアに説明をしてもらいながら依頼を見ていく。


 ──しかし、ちゃんとしたクエストのようなものから子供の小遣い稼ぎみたいなものまでいろいろあるんだな。


 昨日、セフィアにこの世界での通過について説明してもらったが、金貨1枚で銀貨10枚と同等、銀貨1枚で銅貨10枚と同等らしい。そして昨日の食事や宿代から推測するに銅貨1枚が、俺のいた世界での千円くらいに相当するようだ。昨日泊まった宿が銀貨1枚だったからできれば生活費と合わせてプラス収支になるくらいは稼ぎたい。

 なんてことを思ってセフィアの説明を聞いているとちょうど良さそうなものがあった。


「これなんかいいんじゃないか?」 


 隣町まで荷物を届けて欲しい  報酬 銀貨2枚


「これですか。でも定員三人のうち二人が埋まっていて一人分しか空きがありません」


「いいよ。これは俺が一人でやる。お金がないのは俺だけなんだしセフィアは街で休んでいてくれ」


「そんな、悪いですよ、爽真さんにだけ働かせるなんて」


「悪いのはこっちだよ。お金も貸してもらって魔法も教えてもらって。少しは俺にも頼られることをさせてくれ」


「‥‥‥わかりました。でもくれぐれも無理はしないでくださいね」


「おう、わかった」


 そう言って俺は紙を持って受付に向かった。



 具体的な仕事内容としてはこの街での荷物の積み込みと隣町での荷下ろしというものだった。隣町までは馬車で往復約四時間とのことだったので夜の七時ごろまでには帰れるだろうというものだった。


 ──セフィアも心配してくれてるからさっさと終わらせて帰るか。


 なんてことを思いながら指定された場所に向かうとそこには依頼主らしき商人二人と三、四十代くらいの男が二人いた。


「揃いましたね。それでは今からこの荷物を二台の荷馬車に積んでもらいます。そして積み終わったらすぐに出発しますのでよろしくお願いします」


 そう言って商人の一人が大量の木箱を指し示した。ちょっと嫌気がさすような量ではあったが生活費のためだと自分に言い聞かせる。


「にいちゃんが今日の仕事仲間か?」


 そう言ってガタイのいい男が話しかけて来た。


「ああ、よろしく」


「見ての通り結構量もあるが、まぁ男三人でやれば一時間くらいで積み込めるだろ。期待してるぜぇ」


 そう言って男は俺の背中をバシバシと叩いた後、もう一人の大人しそうな男の方に同じように挨拶をしに行った。



 荷物の積み込みは想像以上にハードだったがそれでもガタイのいい男の見立て通り一時間ほどで木箱全てが二台あった荷馬車へと収められた。木箱の中からはガシャガシャと音がしたので鉄製の商品なのだろう。


「お疲れ様です。それでは隣町へ向かいます。皆さんは馬車に乗り込んで隣町に到着するまで休憩していてくださいね」


 商人はそういうと出発の準備を始めた。


「ふぅ〜、いい汗かいたぜ。それじゃあ隣町まで充電期間とするか」


 そう行ってガタイのいい男はまた俺の肩をバシバシと叩いた。


 ──悪い人ではないと思うんだが‥‥‥‥‥‥痛い。


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