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武器屋にて

【16】

 それから一週間ほどは金稼ぎと魔法の上達に励んだ。

 周りで情報も集めてみたが、元の世界に帰る方法を知る者はいなかった。そして中心から離れたこの街ではあまり実感することはできないが、この国はもう敵国の侵略により陥落寸前らしい。

 彩奈を探すのにもそんなに時間をかけられないようだ。


 一週間、俺とセフィアで稼いだことによってある程度の金額を得ることができた。魔法の方の上達はというと‥‥‥教えてくれるセフィアが魔法は苦手であるため、そこまで劇的に上達はしなかった。ただ、強力な攻撃魔法こそ覚えてはいないが、攻撃、敏捷、防御の強化といった補助的な魔法は習得できた。


 そしてクエストで雑魚ではあるがモンスターを倒したことによってステータスも上がった。


 Level. 3

HP  150

力   155

敏捷 160

防御 145  


魔素量  7250


これが今の俺のステータスだ。

 レベルこそまだ低いがステータスの数値は軒並み150前後まで上がった。これは普通の人ならばレベル10程度に相当するステータスらしいい。ちなみにセフィアは白竜族であるためか、レベルは12にもかかわらずステータスは全て300を超えている。

 さすがドラゴンと言うべきか。

 だがセフィア曰く、俺の魔素量は一流冒険者でも滅多にいないような化け物じみた数値らしい。俺が魔素量の数値をセフィアに伝えた時、からかっていると思ったほどらしい。そして魔素量が異常に多いため、その他のステータスが伸びるのも異常に早いんだとか‥‥‥

 とにかく急いでいる俺にとって、成長速度が速いことはすごくありがたいことだ。レベル10といえば一般的な冒険者レベルらしいし、これなら冒険を始められる。


 そして冒険を始めるにあたり、俺たちは今武器を買いに来ている。


「爽真さんはどんな武器にしたいんですか?」


「ん〜、そうだな。長剣とかにしても使い勝手がわからないからな〜。片手で簡単に扱える短剣の方がいいかな」


「それだったら、このシエロ・ダガーなんてどうだい? にいちゃん」


 そういって店主のガタイのいい男がオーソドックスな短剣を勧めてくれた。


「ボーデンのこと助けてくれたんだ。全部半額以下で売らせてくれ」


 そう、ボーデンというのは盗賊に襲われた時に一緒にいたあのガタイのいい男のことだ。

 あの後会う機会があり、武器が欲しいと相談したところ、ボーデンの弟が武器屋を営んでいるということだったので紹介してもらったのだ。


「シエロ・ダガーか‥‥‥どんな武器なんだ?」


「この武器とにかく軽い、そして軽いのにびっくりするくらい頑丈なんだ。なんでも有名な魔道鍛治師が作ったらしくて魔法の効果で鎧も貫いちまうらしい」


「へぇ〜、いくらするんだ?」


「本来なら金貨15枚だ」


「金貨15⁈ 超高級品じゃないか!」


「だが! 今回は特別に銀貨5枚で売ってやる!」


「銀貨5枚⁈ 金貨じゃなくて?」


「おう! 出血大サービスってやつだ! がはははは!」


 ──‥‥‥逆にこの店の経営が心配になるな。


「それじゃあ、この短剣もらっていいか?」


「おう! まいどあり!」


「セフィアは何か買うのか?」


「そうですね、私は人の姿でいるときは接近戦はあまり得意ではないので、これなんかどうかと思いまして」


 そう言ってセフィアが手に取ったのはクロスボウだった。


「多分人の姿でいるときは私は前線に出るよりサポートをしたほうがいいと思うのでこれにしようと思います」


「ったく、そんな事言って俺よりもステータス高いじゃないか」


「爽真さんの成長速度はすごいです。すぐに私なんか及ばないくらいになりますよ」


「そうなるといいな。んじゃオヤジ、このクロスボウも売ってくれ」


「まいど! にいちゃんたち防具もここで見てくかい?」


「ここ防具も売っているのか?」


「お得意様にしか売らないんだけどな。お前たちになら売ってもいい」


「少し見せてもらってもいいか?」


「ああ、いいぜ」


 そう言われると俺たちは店の裏部屋のようなところに連れてこられた。

 そこには数は少ないが見事な鎧が並んでいた。


「ここは本来一般の客は入れないところなんだ。だがお前さんたちは特別だ」


「すごい。どれも魔法の力を感じます」


 そう言って目を丸くしたのはセフィアだ。


「へぇ〜、嬢ちゃん魔法の力を感じ取れるのか。大したもんだ! ここにあるのはどれも一流の魔道鍛治師が作ったもんだ。そこらじゃ手に入らないようなものばかりだぜ」


「すごいものばかりってわけか」


 そう言って見回してみると一つ気になるものがあった。

 それは鎧の中に一つだけ混じっている透明感のある水色の布の服だった。濃い青色のマントとセットになっているようだ。


「これはどういうものだ?」


 俺が店主に尋ねると店主は少し驚いた表情になった。

「へぇ、いろいろある鎧じゃなくてこの服に目をつけやがったか。これはディアマンテジャッカというものだ。布でできている分、鎧に比べりゃかなり動きやすい。だがこいつは他のどの鎧よりも高い防御力を誇ってやがるんだ。なんでも世界でも指折りの織物職人が作ったらしい。

 こいつは誰にも売るつもりはなかったんだが気が変わった。にいちゃんに譲ってやる」


「いいのか?」


「ああ! この織物もこんな薄汚え倉庫みたいなとこで眠ってるよりも、にいちゃんに使ってもらったほうが幸せなはずだ!」


「ありがとう」


「いいってことよ! ガハハハ!」


「セフィアも何か買うか?」


 そう言ってセフィアに問いかけると、セフィアは首を横に振った。


「私にはサムおじさんにもらったこの服とローブがあるので。

 しかもこの服とローブ、結構防御力も高いんです」


「そうか。せっかく預けてくれた大切なものだもんな」


「はい、なので私はいあらないです」


「わかった。んじゃオヤジ、防具は俺の分だけで頼む」


「あいよ!」


 そうして俺たちは新しい武器と防具を手に入れた。

 そして次の日、ついに俺は最初の街を旅立つ──

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