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紅の刻印  作者: 陽川大地
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 高加尾は絶望した。まあ、当たり前なのだが。

 一番手とはやはり緊張するものである。


「高加尾、おかえり。」


 母の声だ。いつもより元気がないが…


「マスミ、どうした。」


 そう、倉下真澄は、母であり、元気はつらつといった印象だが…


「最近、どう!?悩み事とかない?」

「どうして急に。」

「高加尾、知らないの、この辺で、殺人事件が起こったって言ってたでしょう?」

「しかも、見えないはずのものが見えるって。」

「あんたも最近そんな感じがするのよ。大丈夫。」


 僕は、うんとだけ言ってうなずいた。

 見えるはずのないもの…。そういえば、木星の近くにあった、あれは何だ?

 見えちゃいけないものなのか?



 僕は、カオリの仏壇の前に座って瞑想した。

 そういえば、家には代々伝わる秘術がある。記憶辿りの術だ。

 記憶辿りの術は、僕の記憶だけでなく、先祖の記憶、さらには、前世の記憶までたどることができる。で、その前世というやつが、悪徳者だったらしい。今は善術の使い手で、悪の呪文と善の術が混ざっている、というわけだ。で、前世の記憶をたどってみると、不思議なことが起こっているのだ。見てはいけないものが見えてしまったのだ。

 すぐ瞑想を止めた。


「母はよく分かってんなぁ」


 図星をつかれたように独り言を言った。



夜になった。見えちゃいけないもの、たしか紫外線に似て、見えないはずのもの、見える…若干大きくなっているようにも思える。裸眼でとらえられる大きさになっていた。


TV「テレビは、とらえました。あの、事件の真相となる星を。いや、今現在、速報が入ったのことです。あの星は、星ではなく、惑星だということです。惑星Mと命名される星は、4月14日現在、直径182,4㎞だと推測されます。この惑星Mは地球を通過する軌道で、4月22日に最接近とみられるもようです。」



今日は、久しぶりに、早く出たため、秘密のルートをたどっていくことにした。秘密のルートの入り口は、うちの家の地下1階のガレージの仕掛け扉を開いたその先の廊下の引き出しの下である。

そこには、広い空間ができていて、人はいないがパラレルワールドになっている。そこの学校に行って、屋上に行けば地上へと戻ることができる。ただ、地下世界の学校の図書室には封印されし書物がおいてある。前にも一度訪れたことはあるが、狂気の末、逃げ帰ってしまった。再び訪れてみたが、前よりもまがまがしくなっている。その中で、黒光りする本を手に取ってみた。



「ニケロスの悲劇」<1386年>サルヴィークの大きさ176㎞

『ニケロスの王、ニケロス=ファルムントは、優しい国王であった。しかし、ある日クランゼスにとりつかれてしまう。クランゼスの本拠地サルヴィークで見て、そいつの体を取り込もうとしたのだろう。それからというもの、ニケロスは、残虐な王へと化してしまい、ニケロスの町は滅びてしまった。』

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