がしゃどくろ、学園に通う。
はじめまして、小説家になろうでは初の作品となります。
妖怪、ホラー、ギャグなど、作者の趣味しか滲み出ていない作品ではありますが、楽しんで読んでいただければ幸いです。
作者は妖怪大好きっ子です。
たまにマニアックな妖怪も出るとは思いますが、出来る限り作品の中で解説混じりに紹介していこうと思うので、「何。こんな妖怪知らない」とはならない予定ではありますが、本当に分からない場合はお知らせ下されば、随時解説付け足していく所存であります。
これから宜しくお願い致します。
――広い野原に、一体の骸骨がいた。
それは大きく、人間など一飲みにしてしまいそうな図体なのである。
そんな骸骨が、ため息混じりに呟く。
――退屈ですねぇ。
そう、彼はがしゃどくろ。ヒトの手により妖怪として産み出され、かつては恐れられていた。
無念の内に殺され、成仏成らぬ魂が凝り固まり、大きな骸骨の姿で通りすがる人々を喰らう。
ただ、害成す妖怪である。
時は現代へと移り変わり、人々は闇を忘れて、妖怪を忘れて、恐怖を忘れて、やがて野原の存在すら忘れて……。
もう永い時、食事をしていない。
力も弱り、後はただ、消滅していくのみの存在であった。
退屈を持て余すがしゃどくろの目に映るのは、緑も枯れ果てた野原だけ。
このまま待っていても何も起こらない。誰も通らない。食事も出来ず、弱っていくだけ。
だから考えた。
長年胸の内に秘めてきた目的を達成するためには、待つのではなく、自分から動かねばならないのではと、結論が出た。
ごう――、と空気が動く。
みしり、と地面が割れ落ちる。
ぎしりと骨が軋み出す。
動け、動けと歩き、やがてがしゃどくろは、ある場所へと辿り着く――。
「こ、ここですか……」
煉瓦で覆われた、重厚な造りで出迎える校門を前にして、おどおどした様子の青年が、肩から提げたショルダーバッグのストラップ部分を握り締めながらきょろきょろと辺りを見回している。
黒く、耳にかかるくらいの長さの髪を風に揺らし、少し薄い茶色の瞳が円らな、気弱そうな印象をもたらす青年である。
背は低く、150センチ程しかないだろう。
周りでは既に、登校している制服や私服姿の生徒達が校門をくぐっていて、人口密度はかなり高いといえた。
青年の顔色は悪く、道の端によろめくとその場にうずくまってしまう。
「き、気持ち悪いです……。人酔いしましたかね……」
口元を押さえ、今にも戻してしまいそうだ。




