表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『アヤカシ☆パラダイス』  作者: 卯月 集
1/1

がしゃどくろ、学園に通う。

 はじめまして、小説家になろうでは初の作品となります。

 妖怪、ホラー、ギャグなど、作者の趣味しか滲み出ていない作品ではありますが、楽しんで読んでいただければ幸いです。

 作者は妖怪大好きっ子です。

 たまにマニアックな妖怪も出るとは思いますが、出来る限り作品の中で解説混じりに紹介していこうと思うので、「何。こんな妖怪知らない」とはならない予定ではありますが、本当に分からない場合はお知らせ下されば、随時解説付け足していく所存であります。

 これから宜しくお願い致します。

 ――広い野原に、一体の骸骨がいた。

 それは大きく、人間など一飲みにしてしまいそうな図体なのである。

 そんな骸骨が、ため息混じりに呟く。

 ――退屈ですねぇ。

 そう、彼はがしゃどくろ。ヒトの手により妖怪として産み出され、かつては恐れられていた。

 無念の内に殺され、成仏成らぬ魂が凝り固まり、大きな骸骨の姿で通りすがる人々を喰らう。

 ただ、害成す妖怪である。

 時は現代へと移り変わり、人々は闇を忘れて、妖怪を忘れて、恐怖を忘れて、やがて野原の存在すら忘れて……。

 もう永い時、食事をしていない。

 力も弱り、後はただ、消滅していくのみの存在であった。

 退屈を持て余すがしゃどくろの目に映るのは、緑も枯れ果てた野原だけ。

 このまま待っていても何も起こらない。誰も通らない。食事も出来ず、弱っていくだけ。

 だから考えた。

 長年胸の内に秘めてきた目的を達成するためには、待つのではなく、自分から動かねばならないのではと、結論が出た。

 ごう――、と空気が動く。

 みしり、と地面が割れ落ちる。

 ぎしりと骨が(きし)み出す。

 動け、動けと歩き、やがてがしゃどくろは、ある場所へと辿り着く――。

 

「こ、ここですか……」

 煉瓦で覆われた、重厚な造りで出迎える校門を前にして、おどおどした様子の青年が、肩から提げたショルダーバッグのストラップ部分を握り締めながらきょろきょろと辺りを見回している。

 黒く、耳にかかるくらいの長さの髪を風に揺らし、少し薄い茶色の瞳が円らな、気弱そうな印象をもたらす青年である。

 背は低く、150センチ程しかないだろう。

 周りでは既に、登校している制服や私服姿の生徒達が校門をくぐっていて、人口密度はかなり高いといえた。

 青年の顔色は悪く、道の端によろめくとその場にうずくまってしまう。

「き、気持ち悪いです……。人酔いしましたかね……」

 口元を押さえ、今にも戻してしまいそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ