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5話 家作り2

(魔法で家って作れるものなんだなー)


 目の前にある建物を下から見上げる。まだ内装は無いが外装だけなら立派なものである。見た目はログハウスのような感じだ。ほとんどルトナリアが魔法を駆使して作ったのだか、魔法が使えることがわかった秋穂も練習を兼ねて少しは手伝ったのだ。秋穂が木材を一本乾燥させる間にルトナリアは10本は出来ていたが…


(魔法初心者にそんな速度でやるのは無理。)


 他の作業はまだ魔法では手伝えなくて普通に運んだりした。


「今日はここまでねー。外装出来ただけましだし。これでまずは今晩雨でもひと安心。」

「うん。魔法で作るとやっぱり早いんだねー」

「そりゃそうよ。本来なら時間がかかるものを簡易化してるのよ。遅くなったら困るわ。」


(確かに。)


「さてと…今度は狩りよねー」

「狩り…」

「あーこれは魔法初心者にはまだ厳しいだろうから私1人で行ってくるわ。その間に村でも見学してきなさいよ。」


 そう言うとルトナリアはまた森へ戻っていった。


(見学かー…)


 確かに陽がだいぶ傾いてきてこれから暗くなってくる。何も持ち物も持っていない魔法もろくに使えないじゃあ、夜の森は危険でしかない。

 そういえば村の家々の配置とか知らなかたことを思い出した。北の村長さんの家から向かって反時計回りに歩いてみることにした。

 村長さんの家の前を通過する。そのすぐ先に二件目が。裏に回ってみる。やはりここにも畑があり、30近い男が水を撒いていた。そのまま南下すると次の家の畑がありその横に家がある。この家からは賑やかな声が聞こえてきた。人数がいるのだろう。さらに南下する。同じく畑と家があった。先程の家より静かだか数人の話し声が聞こえてきた。

 今気がついたのだか自然と方角が分かることに。そして建物を背にし南を見てみると少し距離がありそうだが、海が見えた。

 海と川と森。東を見ると山があった。この土地は開発がうまくいけば貿易とかも出来るくらいの街になるのではなかろうか。1年で出来ることには限りがありルトナリアの試験が終了するとどうなるのか知らないけど先が楽しみである。


(村の見学にもどろう。)


 次は東に畑と家があるようだ。この家も数人いるみたいだ。親子だろうか?大人と子供の声がしている。ここからは北上しているようだ。同じく家と畑。今までで1番の騒がしさだ。さらに北上する。家と畑。人がいる気配はするが静かだ。後一軒で終わりのようだ。北上する。ボソボソと会話が聞こえる。子供の声はしない。

 どうやらこの村は円のような家の配置していたみたいだ。最後に家々に囲まれた中央を見る。立派は大木が一本。


(なんの木だろう…?)


 木に近づいて手で触れて見る。その瞬間この木の記憶だろうか、いろんな人々の笑顔が見えた気がした。木を見上げる。まさに守り神というような風格をしていた。


(そうだ鑑定を。)


 エドヒガン系紅枝垂れ桜:樹齢1520年。桜だった。すでに花はなかったのでわからなかったのだ。ここで1年開拓を手伝ったあとには咲いているだろうか。楽しみだ。




――――――――――




 一通り見て回ったので家(まだ外装だけだが)に戻ることにする。すでに日は落ち、外は暗くなっていた。

 家の中に入るルトナリアは戻って来てないようだ。まだ床板も貼ってないので木材の切れ端をもちこんで腰を掛ける。


(そうだ地図とか書けないかな…明日話をするのに使えそうだし。紙とペンはないけど何か魔法で出来ないかな…)


 周りを見ながら考えてみる。紙の代わりは木材を使うことに。書きやすくなるように表面を削り平らにした。


(紙も元々木から出来てたきがせるけども。あとはペンの代わり…)


 一瞬木を燃やし炭でも作ろうかと思ったが、火が自分で出せるかわからないのと、森の近くで使うのは危ないだろということで却下。

 何か色が付けばいいだけなので、無難に草を潰しその汁で書くことにした。木の枝に汁をつけて少しづつ地図を描き進める。


(だいぶ形になってきたな…)


「たっだいまー」


 そこへルトナリアが扉を開け入ってきた。


「あ、お帰りなさい。」

「何してるの?」

「村を歩いて来たから周辺の簡単な地図を描いて見てるんだ。明日役に立ちそうかなと思って。」


 ルトナリアは不思議そうに覗き込んでいる。


「へー。空から見れば一発だから描こうなんて思わなかったわ。」


(魔法使いの考えだとこうなるのか…)


 一度手を休め、ルトナリアに森での収穫を聞いてみた。


「それがね、木を確保しに入った時から思ってたんだけど、村に近いほどいないのよ何も。」

「それじゃあここの人たちはろくに狩りが出来てないかもしれないのか……」

「んー奥に入れば沢山いたわよ?集団で襲ってくるけど。」


(普通の人達じゃそれは狩れないな……)


 するとルトナリアは鞄から次々と仕留めた生き物を取り出す。うさぎ、猪、鳥などが沢山。


「多すぎじゃない?」

「大丈夫よ。血抜きはしたし、マジックバックに入れておけば傷まないもの。」


(そういうものなのか……)


「あとはハーブが数種、果物もあったわよー」


 どうやら森の奥は困らないくらいに食料があるようだ。


「さて、食事作りますか。」

「ルトナリアは料理得意なの?」

「作ったことないわ。火を通せば食べられないことはないんじゃ?」


(僕が作るしかないか。)


 うさぎを一羽もらい村長さんのもとへ向かった。物々交換で野菜を少し分けてもらうのだ。その間ルトナリアは手持ちの調理器具や食器、調味料などを出して置いてもらっている。村長さんに申し出ると快く交換に応じてくれた。久しぶりに肉が食べられるそうだ。

 村長さんのもとを去り、家に戻る。ルトナリアが道具を沢山広げていた。マジックバックは本当に多くのものがしまえるのだと感心してしまう。

 内容を確認してみる。鍋とフライパンが大小、木ベラと木の大きな匙が1つ、器と皿が3つづつ、フォークとスプーンも3つだ。調味料は塩と砂糖が少量だった。足りないものもあるがその分ルトナリアに魔法で頑張ってもらえば良さそうだ。


「私は何をすればいいかしら?」


 ルトナリアに指示を出す。鳥とうさぎの皮をはぎ内臓を取り除き骨と身を分けるようにお願いした。その間に僕は野菜を洗いに川に向かう。ついでに水も汲もう。戻ると解体作業は終わっていた。さすが魔法だ。次にルトナリアには野菜を半分すり潰してもらう。僕はルトナリアに借りたナイフで肉を程よいサイズにして軽く塩揉みだ。

 残りの野菜を切り鍋に入れ、ルトナリアに薪に火をお願いして鍋を魔法で浮かせてもらう。すり潰した野菜と鳥肉を入れた。

 もう一つ薪に火をつけてもらいフライパンを浮かせてもらう。そこにうさぎの身の脂身をまず入れ脂を伸ばす。それからうさぎの身をいれ焼き始める。こちらには刻んだハーブで味付けを、鍋は砂糖と塩を少々いれた。あとはどちらも火が通れば完成する。


「……美味しそう。」

「どうかな?うさぎとか初めて調理したし、鳥もよくわからない鳥だったから。鑑定で食べても大丈夫なのは確認したからいいと思うよ?」


 その後2人で食事を済ませ、明日に備えて家の中で寝袋を使用して寝ることにした。食事はルトナリアは凄く喜んでいたが、僕には物足りなかった。調味料もそのうち足りなくなるだろうから考えなければ行けないと思いながら秋穂は眠りについたのだった。



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