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3話 一日目と忘れん坊

「まずは生活しようにも住む場所がいるわねー」


 ルトナリアは辺りを見回す。だか家とか勝手に作っていいものなんだろうか。そのあたりを尋ねてみる。


「村の人に許可とかはいらないのかな?」

「ん?忘れてたわ。まだ顔もだしてないのよっ」


(先行きが不安になるなー…)


 挨拶をするのと住居建築の許可をもらいに村の一番大きな建物の前にやってきた。村の北側に建っている。大きいといっても気持ち大きいかもくらいだが。


「すみませーーん。」


 ルトナリアが建物に向かって大きな声を張り上げた。その声がよほど大きかったのか他の家の扉から人が出てきた。だが近づいてくる様子はない。村長の家と思われる扉がそっと開いた。小柄な女の子が覗いている。


「あら、可愛い。村長さんはいるかしらー?」

「おじいちゃんに用事?」


 頷くと女の子は「ここで待ってて。」といい、家の裏手に走っていった。


「うーん。」

「どうしたの…?」

「呼びに行くよりついていったほうが早いかなと。」


(たしかにそうだけど……)


 ルトナリアは待ちきれずにソワソワしている。今にも走り出しそうだ。


「ちょっと遅くない?たしかこっち行ったわよね。」

「え、ちょとまって…」


 止めるのも聞かずルトナリアは走り出した。建物の裏手に回るとそこは畑であった。その一角に倒れている人と、座っている女の子がいた。さっきの子供だ。


「大変っ」


 僕とルトナリアは2人のそばに駆け寄り声をかけた。


「どうしたの?」


 女の子は涙をポロポロとこぼし、話にならない。

 ルトナリアが呪文を唱える。するとお爺さんの周りがキラキラと光り、体が宙に浮いた。


「まずは家に戻って横にしましょう。」




――――――――――




 さっきの家の中に入り、お爺さんを布団に寝かせた。お爺さんはどうして倒れていたのだろうか。


「うーん困ったわね。」

「?」


 横にした後、少しでも楽になるようにと衣服を緩めてあげていると、ルトナリアが何やら困っていた。女の子は側でまだ泣いている。


「私回復魔法は苦手なのよね。」


 魔法が使えない僕にとってはどうでもいいことだった。ルトナリアは無視してお爺さんの様子をみることにする。少し熱があるかもしれない。


「ねぇ、君名前は?」


 泣いている女の子の頭を撫でながらたずねる。


「…ミリア。」

「ミリア、お爺さん熱があるからおでこを冷やしてあげたいんだ。おでこにのせるタオ……布と水がいる。用意出来るかな?」

「うん。ミリア水汲んでくる。」


 頷くと泣くのをやめ桶を持って外に出て行った。その様子をルトナリアが不思議そうに眺めている。


「あんた治せるの?」


(出来るわけない。でもっ)


 あきれてため息が出てしまう。


「あのね、僕は医者でもないし魔法も使えないけど、状態を見て看病くらいは出来るよ。ルトナリアは魔法に頼りすぎなんじゃないか?」

「ーーなんですって⁉︎…もう好きにしなさいよっ」


 ルトナリアは大きな音を立てて建物から出て行った。



〜 side:ルトナリア 〜


(やってしまった。これから協力をしてもらう相手と喧嘩をするとか…もう少し素直にかえせるといいのだけど……)


 ルトナリアはただ自分では魔法以外どうしたらいいのかわからなくて、秋穂の手際の良さに感心していただけだったのだ。


(私も何か出来ないかしら…?)


 自分にも何か出来ることはないか考えてみる。


(そういえば熱があるって言ってたかしら。調合して持ってきた薬の中にあったかも…。)


 鞄の中に手を入れ、熱冷ましを探す。


(あ、あった……!)



――――――――――



 ルトナリアが大きな音を立てて出て行った。


(少し言い過ぎたかも。)


 お爺さんはぱっと見怪我などはしていない。病気とか詳しいわけではないのでよくはわからないが過労か何かだろう。建物の室内をみる限りお爺さんはミリアと2人で暮らしている感じだ。


(無理してたんだろうな…)


 背後で扉が開く音がしてミリアが戻ってきた。桶に水を汲んできたようだ。


「よいっしょっ。これで足りるかな…?」

「うん。ありがとう。」


 ミリアから桶を受け取り。お爺さんの近くに置いた。後はタオルか何かが欲しいところだ。


「この布でいい?」


 布を持ってきたようだ。


「ありがとう。」


 お礼を言うと布を桶にいれぬらした。固く絞りお爺さんの顔を拭く。再びぬらして固く絞り額に置いた。


「おじいちゃん…」


 心配そうにお爺さんの手を握った。


 コンコン。扉がノックされる音がした。扉のところにはルトナリアが立っている。


「…………」

「……」


 少しの間沈黙が流れた。先に口を開いたのはルトナリアのほうだ。


「あの……熱冷ましの薬があるんだけど。」

「薬とか高かったりしないの?(この世界は)」


 村の雰囲気をみる感じでは薬が買えそうもない。


「わたしが調合したものだから問題ないよ。」

「作れるの…?」


 驚いた。魔法使いは薬も作れるんだ。魔法…?


「ルトナリア、人の状態の情報とかって見れたりするかな?」

「見れるけど……あっ!すっかり忘れてたわっ」


 ルトナリアはお爺さんに手をかざし、呪文を唱えた。そのままじっと眺めている。


「どう?」

「うん、大丈夫。ちょっと疲れが出ただけ見たい。病気とかではないわ。」

「ほんと?」


 ミリアの顔に笑顔が戻った。本当に嬉しそうだ。


「ミリア、これお爺さんが起きて熱まだあったら飲ませてね。」

「ありがとうっ」


 薬をミリアの手に握らせ、建物から出て行くことにした。


「……さっきは怒鳴ったりしてごめんなさい。」

「もう気にしてないよ、僕も言いすぎたし。」


 2人は顔を見合わせて笑い出した。


「まあ、村長さんに話通すのはまた明日かな。」

「あっ!すっかり忘れてたーっ」


 今日一日付き合ってルトナリアが忘れっぽいことが理解できた。

 この日は簡易テントに寝袋で寝ることになった。周辺に認識阻害の結界が張ってあるからとテントから追い出されたの言うまでもない。




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