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ヒーロー屋

作者: マルボロ

犯罪や異星人の侵略など、さまざまな危機がはびこったとある時代のとある国で、


活躍したのはヒーロー達だ。


 ヒーローといっても勧善懲悪の物語にでる慈善事業のようなものではなく、行いによって税金から報酬が支払われる。迷子を助けたらお小遣い程度、世界の一大危機を救おうものなら孫の代まで一生遊んで暮らせる程の金額だ。 


 一部のトップヒーロー達ばかりメディアに取り上げられるので、高給取りで承認欲求も満たされる、というイメージが強く、子供たちのなりたい職業ランキングにはいつも一位である。


 ある日技術革新が起き、科学は急速に発展し、世の中から飢餓は無くなり、苦痛という言葉も見かけなくなった。人の欲に底はない。と言われるがそれに勝る程すばらしい技術ができてしまったものだから、世の中に犯罪を起こそうなどという変わり者はいなくなった。異星人たちの侵攻も防衛技術の発展とともになくなり、今では友好的な関係を築けている。そのおかげでまた科学が発展するのだ。


不満に思ったのは一部のヒーローたちだ、無職同然となる。無職といってもすばらしい科学のおかげで飢えることはないし、生きるには十分な生活は送れる。実際いくらかの元ヒーローたちはその生活に甘んじ、引退していった。


 しかし、ヒーローが人々から感謝されることはなくなった。承認欲求は満たされないのだ。また、悪人を次々に成敗していたとき程の贅沢はできなくなった。これを不満に思った彼らは政府に訴えた。すべての国民から不満を取り去れたと思っていた政府は大いに狼狽した。彼らの要求に応えるには多かれ少なかれ国民に危機を与えなければならない。そんなことを政府ができるわけがない。我慢してもらうしかない。これが政府の結論であった。


 要求が通らず途方にくれ帰路に着く彼らにある男が声をかけた、多額の報酬の代わりに悪役を買って出ようというのだ。金だけは持っていたヒーローたちは喜んで前金を支払った。


 計画実行の日、惑星間や国家間の防衛システムこそ完璧であったが、よもや国内で防衛システムが必要であると考えていなかった政府と文字通り平和ボケしていた街中はパニックとなり多くの被害を出した。


 そこに颯爽と現れたヒーローたちによって悪は速やかに撃退された。打ち合わせどおりだ。


晴れて彼らは人々から感謝と尊敬の念を集めることに成功した。彼らに謝礼を払うための税金を払うことに反対する人々はいなかった。


 悪人たちに支払う成功報酬を払うとマイナスになってしまうのだがそれでも彼らは満たされていた。


ここに至り彼らは、金ではない、ヒーローにとっての真のやりがいを見つけたような気がした。




 一方、いわゆる悪人たちは多額の報酬により、治療費を差し引いても以前よりリッチな生活を遅れたし、悪行を行う際は顔を隠していたので普通に町で買い物を楽しむことができた。


悪の代表は一等地のマンションの最上階で思った。


 これはいい商売だ、悪が正義に「危機」を売ることができるとは・・・、今度は今回の報酬を使って会社を作りもっと上等な危機を彼らに提供しよう。


 会社の名前はなんにしよう、ちょっと皮肉の聞いたのがいいな。そうだ・・・、













はじめまして、マルボロと申します。


自作ショートショートを作ってみました。


売るのは危機なのにヒーロー屋ってのはおかしいかな?とも考えましたが、


危機という餌でヒーローを釣って、それを民衆に売りさばく(民衆は税金という形で知らず知らずに悪に代金を支払っている)という解釈にすればまあいけるかな!としてヒーロー屋、とさせていただきました。


ヒーローにとっての真のやりがいを見つけた。という自称ヒーローたちのゆがんだ欲求が少し満たされたところで切ろうかなやんだのですが、どっちがよかったでしょう。


よかったらアドバイスをお願いします。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 皮肉めいた筋書きで面白いですね。いびつな承認欲求というものをうまく暗示していると思います。 [気になる点] 作品におけるヒーローは、いわゆる警察官とどう違うんでしょう? [一言] 個人的に…
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