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このゲームそろそろ飽きてきたんですけど。

このお話はVRMMOでも転生モノでも世界に入っちゃう系でもなく、

ただMMORPGをやっているだけです。実在のゲームとは関係はありません。

また、オンラインゲームでの迷惑行為はやめましょう。


カチャカチャ、たん、(ぴょん)


かちゃ、たたん、(かきん、かきん)


かちゃ、かちゃ、(ぐいっ、ぐいっ)


タンタンタンタンタン、(ぴろんぴろんぴろんぴろんぴろん)




カチャカチャ、たん、(ぴょん)

……


別に暗くもない部屋。少しだけ光量を落としたモニターをぼんやり眺める。

モニターの中では対して可愛くもないデフォルメされたキャラクターが、岩場をうろうろしてはドラゴンに氷魔法を打ち続けては回復薬を飲み、ドロップアイテムを拾っている。


スピーカーは抑揚もないBGMと、規則的な効果音を流し続ける。


「あっ。」


ボンッ!


回復薬が切れていたことに気づかなかった。

ちょんとドラゴンに触れたキャラクターは一瞬にしてはじけ飛び、墓に姿を変えた。


「あああ…」


画面が暗転して、近場の街のリスポーン地点にすまし顔で突っ立っていた。

『次のレベルまで』と描かれたゲージが半分ほどの長さになっている。

これで何時間分の努力が消し飛んだのだろう。



「もうやだぁ…」



がしゃん、とキーボードに突っ伏してため息を吐いた。

キャラクターが虚空に魔法を打ち続けているがどうでもいい。



僕が今やっているオンラインゲーム。

2Dの横スクロール、ファンタジー世界を冒険者となって活動するという、非常にオーソドックス、シンプルなRPGMMOだ。


進学塾で知り合い、意気投合した他校の友人、早見に勧められて始めたソレに、

お小遣いも対してもらえず、ゲームは姉のお下がりの超王道RPG程度しかやってない自分は、無料でできるというのもあってドハマリした。


初心者冒険者はレベルが上がると見習いを卒業し、職業を選ぶ。

紹介PVに出ていた魔法使いが雷を使って敵を薙ぎ払っているのが格好良くて、僕は迷わず魔法使いを選択した。



…これが間違いだった。



魔法使いとしてのレベルも上がり、上級職に上がると、魔法使いは属性ごとのプロフェッショナルに分岐する。

元々の目標だった氷と雷属性を選ぶと、あの時憧れていた魔法を自分が撃つことができた。

他の職業にはない高範囲攻撃で次々と葬り去られる雑魚。大変気持ちがいい。


しかしソレを何時間も続けていて気づいた。



MP消費がヤバイ。



広範囲雷攻撃は一度に何匹もの敵に攻撃することができ、発動も早いのだが

今まで使っていた魔法に比べるとMPを4倍は消費するのだ。

範囲になったぶん今までの単体攻撃と比べると威力は70%程となっていて、敵も残る、ソレにまた雷をぶつけるのだから怒涛の勢いで減っていく。

更に言えば広範囲をぶつけるためには敵地のどまんなかに突っ込まなければならない。

敵の攻撃は魔法バリアで防げるので他職よりも90%ぐらい軽減されているので、HPは余り減らない。

…だが、代わりにMPが肩代わりで消費される。


このゲームはMP回復薬が高い。同じ数値でもHP回復薬の3倍ほどだ。

ただでさえ消費が激しい魔法に馬鹿みたいな肩代わり消費が合わさった今。


狩れば狩るほど金が減る。


次第に雷魔法を使うことはなくなり、もう一つの単体氷魔法を使うことになった。



そして冒頭に戻る。



ちまちまとした狩り。一つレベルアップするまでには1日以上かかる。

敵は強い。油断すればさっきのようにすぐに死に、経験値の30%が消滅する。


なんとなくログインして、なんとなく狩り、なんとなく死に、なんとなく金策する。

気づけば、すっかり惰性のみで行う作業になっていたのだ。


なんで続けてるんだろう?もうすっかり愛着はなくなっていた。

多分何かきっかけがあればポイとやめるだろう。




ピーン、ポーン。


…そしてきっかけはやってくる。



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