僕の後悔ー本編ー
文字が愛しい。
そう思い始めたのは小学三年生のこと。
僕はその時から小説を書き始めた。
今まで書いた話は
【傷ついた人にやさしい言葉をかける話】
【死にたい人に生きる希望を与える話】
【一人の子に友達ができる話】
【恋を知らない子が恋を知る話】
どれも僕だった。
僕がしてほしいことを、僕は小説の主人公にしてあげた。
たまに主人公に嫉妬することだってあった。
文字が愛しい、小説の中に入りたい。
そう思うことだって何度もあった。
それだけ現実には何もなかった。
小説は僕の思い通りに進む、そして励ましてくれる。
僕が書かなければそこに不幸な人はいないことになる。
拙い小説だったが、幸せな世界がそこにあった。
しかし、そんな現実はなかった。
僕は小さいころからとても弱かった。そして、なにも個性がなかった。
ただ、ちょっぴりだけ優しかったかもしれない。
それだけだ。
悲しい悲しい僕の事。
僕はその時世界で一番不幸なのではないかとすら思った程だった。
それほど自分の価値が見いだせなかった。
自分の生きてる意味がわからなかった。
ひどい生活だったわけでもない。きっと他の人から見れば幸せな生活。
しかし僕から見れば何の意味もない空白の生活。
『助けて』
そんな言葉も言えなかった。
しかし、その言葉を口にしたらたらきっと誰かが助けてくれる状況下ではあった。
しかし、助けてくれる人はいても、助けてもらう方法がなかった。
そのころ、一度だけ小説に自分を主人公で書いたことがある。
小説での自分は何の役にも立たなかった。
こんなつまらない主人公は小説にいても何にもならなかった。
ただただまわりの人が困るだけ、そんな、いらない人物。
小説の世界にも、現実の世界にも受け入れられない僕。
その時は悲しかった。
でも、それもいつの間にか終わってしまった。
僕は嘘をつくという娯楽を覚えた。
僕にとってそれは、とってもとっても悲しいことだったんだと思う。
僕は自分の性格を変え始めた。
小説の世界でも受け入れられる、現実の世界でも受け入れられる。
そんな夢のような性格。
だんだん、僕は嘘によって変わっていった。
気を強くしたり、おかしな感性を持ったり、ありきたりな趣味も持った。
そしたら僕は前よりも優しくなった。
いや、優しくなったわけじゃない。優しく見せるようにしたんだ。
むしろ前より優しくはなくなったかもしれない。
その時はとっても楽しかった。
現実世界に受け入れられたんだ。
嘘に塗り固められた僕はきっと視界が悪かったんだろう。
しかし、それもすぐ終わった。
僕はそこから笑顔しか作り出せなくなった。
そこから数年。
僕には好きな人ができた。
僕の書いた小説なんかよりも愛しい彼女。
しかし、彼女には好きな人がいた。
彼女の好きな人は僕なんかよりも上でかっこいい奴だった。
勝てるわけない。
でもあ諦めきれなかった。
きっと嘘に塗り固められた僕は目を閉じてしまったんだろう。
僕は自分がわからなくなった。
僕は彼女を見ていて、かなわない恋だと再確認し、涙が出そううになった。
しかし、僕は笑顔しか作り出してはいけない。
涙をだしちゃいけない。
涙をだした瞬間僕は壊れる。
それは僕じゃないから。
僕の汚くて悲しい嘘。
それは僕の本心も消した。
泣くという感情。弱いという本物。
僕の本心はよりどころを求めた。
そして僕の本心は僕の小説に逃げた。
【僕の】
僕はその小説にそう名付けた。
そう、この小説は僕だけの物。
誰からも左右されない僕だけの世界。
僕が拒まれたはずの小説の世界。
「結局僕の居場所はここだったのかな。」
そう思った。
でもそれは安息の場所ではなかった。
それでも僕は逃げ込んだ。
愛しい愛しい僕の小説に。
〔これが優しくて強くて笑顔な僕の後悔の顛末〕
君はいつも笑顔を作ってる。
まわりからメンタル強いって言われるけどそんなことないよね。
じつはちょっとした暴言でも結構傷ついてるんだよね。
ちょっとした悪口はいただけでも夜眠れなくなってるよね。
悪口言う自分嫌いとかってノートに書いては消してるよね。
人に嫌いって言われても無理に納得しようとしてるよね。
「なんで?」が言えないよね。
人を傷つけてもごめんっていえなくて笑顔しか出せない自分がいやで泣きそうになって るよね。
知ってるよ。
だから大丈夫。
泣いてもいいよ。
きみは泣いても壊れないよ。
壊れるのは君じゃないからね。
なんでそんなことわかってるのにわからないふりするかな。
後悔してるならやり直してもいいんだよ。
私は君に優しいことしか言わないよ。
・・・それでいいの?
…これって詩だよね。
たぶん俺はこの詩何度も書き直すと思いますがご了承ください。
ところでこの詩の”僕”一体誰なんでしょうね。
俺じゃないことを願います。
そして最後に語った人はいったいだれなんでしょうか?
それは読んだ人にゆだねます。
次では【僕の】を書くと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。