新たな決意
その時私は、何もない暗闇の中にいた。
叫んでもわめいても何も起こらないそんな空間。
(きっと私死んだんだ・・・悪いことばかりしてたから、バチが当たったんだ・・・)
そう思ったとき、どこからか声が聞こえたそれはとても懐かしい声
「霧夏ちゃん、霧夏ちゃん」
「・・・?信奈?」
「うん、霧夏ちゃん会いたかった」
「なんで信奈がいるの?死んじゃったんじゃないの?」
「うん・・・でも今だけなら」
「信奈!私、綾や夢菜やまとい達に最低なことしちゃった・・・もう友達じゃなくなっちゃた・・・どうしよう・・・」
「霧夏ちゃんはみんなのことどう思っているんですか?」
「だっ大好きだよ!!ずっと一緒にいたいよ・・・」
「そうですか、なら大丈夫です。」
「えっ?」
「霧夏ちゃんが信じれば、きっと思いは届きます。だから心配は要らないです。」
「そうかな?」
「はい!」
「信奈、ありがとう」
「いえ、それより私霧夏ちゃんにつたえたいことがあるんです。」
「なに?」
「私を殺した犯人を捕まえてください!」
「・・・えっ?」
「大丈夫です。霧夏ちゃんならきっと・・・」
「むっ無理だよ!最初は私も頑張って捕まえようとしたけど・・・だけど何も出来なかった・・・私なんかじゃ無理だよ!」
「霧夏ちゃん、自分の力を信じてください、私が見守っています」
そう言うと信奈の姿がだんだんと薄れていった。
「まっ待ってよ!信奈!!!お願い、行かないで!」
「大丈夫、霧夏ちゃんならきっと・・・」
ついに信奈の姿は見えなくなった。
「信奈・・・」
寂しくて涙が頬をつたる。
その時何処かで声が聞こえた。
(・・・霧夏?)
(日名島さん・・・?日名島さん!)
パチッ
突然私の前に天井が現れた。
そして私の顔を心配そうに見つめる母親と担任の先生の中原先生がいた。
「霧夏?気がついたの?良かった・・・」
「お母さん?ここどこ?」
「病院よ、あなたさっき屋上で倒れてるって連絡がきたのよ。体には異常はないから精神的なものだろうってお医者さんが言ってたわ」
「日名島さん、琴葉さんのことがあってから様子がおかしかったから、たぶんそのせいね」
そう言われた時あの不思議な世界のことを思い出した。
(霧夏ちゃん、私を殺した犯人を捕まえてください)
「・・・信奈」
「じゃあ日名島さんも疲れているでしょうし、私学校に帰りますね」
「本当にありがとうございました・・・。」
「いえ、大丈夫です!じゃあ日名島さん?ゆっくり休んでくださいね」
「はい、ありがとうございました」
そうして中原先生は帰っていった。
「じゃあ霧夏、お母さんも帰るわ。あなたの着替えも持ってこないといけないし、お医者さんもあと1日くらいは、休んだ方が良いって言ってたから」
「うん、バイバイ」
そして私は病院で独りになった。
(本当だったらここに綾達も居てくれてたのかな?)
そう思い悲しくなる。
「信奈・・・」
信奈が夢の中で会いに来てくれたこと、きっと何か意味がある。
(私を殺した犯人を捕まえてください)
そして私はある決断をした。
(今度こそ絶対犯人を捕まえる!!)
独りでもやるしかない、翔くんも手伝ってくれるって言ってたけど、頼む訳にはいかない。
(今度こそ絶対・・・信奈やみんなから逃げたりしないから!)
そして私は一歩踏み出すことにした。
第5章新たな決意 終