崩れた友情
信奈が殺されたと残酷な事実を知った4人。誰が殺ったのか、なぜ殺されたのか。この疑問が残された4人の固く繋がれた友情を、崩していく。
8月13日 午後8時47分
私はベットのなかで泣いていた。
涙が止まらなかった。
「信奈・・・信奈ぁしんなぁ!!」
もう信奈には二度と会えない。いつもと同じように5人でバス停で集まって、学校へ行くことができない。つい最近まであたりだった事が、あたりまえでは無くなってしまった。
嘘みたいな現実が私達4人に突き刺さる。
受け入れたくない。でも、受け入れなくてはならない。
もう信奈は居ない。そう思うと胸が張り裂けそうになる。
それに…信奈は殺された。何者かに、たった16歳の命をうばわれたのだ。
(・・・悔しい。許せない。)
ふと、頭の中でまだ元気だった信奈の記憶がよみがえる。
いつも優しくて、笑ってて私達の誰かが辛い思いをしたとき、いつも自分の事のように一緒に悩んでくれた。自分にだって泣きたいときはあっただろうに、私達に心配かけないようにずっとずっと笑顔でいたこと、私は知ってる。綾も、夢菜も、まといも絶対みんな知ってる。
みんな信奈の事が大好きだった。優しい優しい信奈の事が大好きだった。
大好きだったから、私は犯人が許せない。多分みんなも・・・。
その時、私の中で何かが横切った。
私が・・・私が犯人を捕まえる。
信奈の、復讐をする!
次の日、綾と夢菜とまといを屋上まで呼び出した。
「話って何だ?霧夏」
「私、信奈を殺した犯人が許せない」
「・・・どうしたの?霧夏。そんなのみんな一緒だって」
「信奈は、殺されるなんて、理不尽すぎる。だから・・・だから私は、信奈を殺した犯人を捕まえる」
!!!
「何を言ってるの?霧夏」
「言葉通りの意味だよ夢菜。私が犯人を探し出してみせる!絶対に、復讐してみせる!」
「そんなこと、警察に任せておけばいいでしょ?あんたが出ていったって、なんの意味もないわ。バカなこと言わないで!」
「綾の言う通りだ霧夏。これは私達でどうこう出来る問題じゃない」
「じゃあこのままじっとしていろって言うの?みんは悔しくないの?信菜を殺した犯人が、今ものそのそと生きていると思ったら、私は悔しくてたまらないわ」
「霧夏、みんな同じ気持ちだよ。私達だって悔しいさ。でも、こう言うのは警察に任せておけばいいんだよ」
「・・・納得できない。みんながやらないなら、私が一人でやる」
「バカなこと言わないでよ!あんたみたいなバカに何が出来るって言うのよ」
「うるさい!!」
!!!!!!!
今までにないくらい私は大きな声を出した。みんなビックリしている。
「私はやる。絶対捕まえる」
「霧夏、私達は心配しているんだぞ。わかってるだろ?」
「そんなことどうでもいい。私はやる、何を言っても無駄だよ。それになんでそこまで否定するの?みんなならわかってくれると思ってたのに。・・・もしかして・・・この中に犯人がいるんじゃないの?」
バシンッ!!!!
冗談で言ったつもりだった。
私の頬をおもいっきり綾が殴った。
「痛った…」
「何てこと言うのよ!そんなわけないじゃない!あんたは、友達も信じられない最低なやつだったの?」
「ちょっ・・・綾」
「うるさいんだよ!どうせ綾なんて信奈のこと何ともおもってないんでしょ」
「そんなわけ…」
「言ってたじゃない!信奈って優しすぎて裏が怖い。もしかしたら超腹黒い子かもってあと信奈の持ってるケータイほしいとか、信奈さえ居なかったら私が一番モテ女なのにって、私知ってるんだから!」
「なっ・・・!」
「いい加減にしろよ霧夏!!!!!」
バシッ!
突然、まといが殴ってきた。
「何すんのよ!まとい」
私達は、殴りあいになった。
この時は、考えてもなかった。もう二度と、私達は友達にもどれないということを。
第2章崩れた友情 終