私の手の中に
掲載日:2012/11/12
この世の人間が欲してやまないもの、
それが、私の手の中にある。
ボールのように弾ませたり、
ぐにゃぐにゃ曲げたり、くるくる回したり、
パン粉のようにこねたりして、
自由自在に操れる。
私はそれゆえ、
誰もが耳を塞ぎ、目を塞ぎ、
知らないふりをしたがるような真実を、
知ってしまっている。
所詮この世のすべては、すべての人に平等に働きかけようとしている。
喜びも
悲しみも
奇跡も
運命も
あがいてもがいて、
自分だけの勝利を望んだところで、
一度きりの人生を無駄に浪費するだけだ。
それはまるで死体でいるかのように生きるということ。
死体には、光が見えない。
そして、
まるで快楽を求める欲望が足をつけて動いているかのようになる。
そのことをどこかに書き記したところで、
きっと誰も信じないんだろう。
私の手の中には勝利、
ではなく、
真実が眠っている。
暗闇に光を灯す、
真実が。




