【11】決闘の英雄と貴族の視線
部屋に戻って休憩をしているとドタバタと大きな音がしたと思ったら勢いよくドアが開く
「あ!ノックし忘れちゃった。っじゃない!!ソフィー様今日の宴大変なことになりそうです!!」
私は横たわっていたソファーから起き上がる
「どうしたの?」
「宴よりパーティーになりそうです!しかも全ての統括者様もアレイ様も来ます!そしてお貴族様達もです
リード様に一撃入れたというのがチェシーヌ王国でもう話題になっていて是非その方を見たいと言う方が増えてここではなく普段使ってないお城を使ってパーティーをするそうです!なのでソフィー様にはこれから湯浴みをして頂きます」
「そんなことでパーティーにまで発展したの?」
「リード様に一撃を入れた人は統括者の中でもいません。アレイ様はどうか分かりませんが、とにかく凄いことなんですよ。それにリード様は決闘で手を抜くなんてことは絶対にありません」
「そう言われると確かにそうよね。でも体が動かないわ」
「それならば私にお任せ下さいませ。ソフィー様の体は私達にお任せください」
「ルシア」
「さぁ!早速始めますよ」
ソファーから離され浴室に引きずられ服を脱がされる
(服を脱がされるのはもう慣れたわ……それよりこの贅沢空間一生続いたらいいのに)
勝手に洗ってくれ、その上マッサージまでしてもらえる空間にソフィーはふにゃふにゃになる
浴槽からあがると保湿剤を塗らされそして別の寝台に寝かせられ全てを揉みほぐされる
(あ〜天国〜)
「しっかりと食事と運動をされていたので前とは一段と違いますね。良い筋肉の付き方です!前は貧民街の人と変わりない姿でしたのにここまで変わるとは思ってもいませんでした」
「それも皆のおかげよ。感謝しているわ」
「ソフィー様はこの屋敷ではお人形さんと言われているんですよ?」
「え、私が?」
「はい。肌が真っ白で綺麗な赤色の瞳にぷっくりとした唇に黒のドレスのようなお召し物からそう言われています。椅子に座られている姿が特に美しいと」
「私はある意味人形なのかもしれないわね」
「ソフィー様は自由のお人形さんです。囚われのお人形さんではないのです。ソフィー様を操る者はもういないでしょう?」
「そうね。そう言われるとそうよね!」
「というのも込みでお会いしたい人が多いのです。その美しいお人形さんを見てみたいというお方が多いのです」
「本物のお人形さんとは程遠いわ。ガッカリさせないようにしないといけないわね」
「そんな固くならずに。失礼な発言をしたものはその日に消えるでしょう」
「それは……」
「さて、ドレスを着ましょうか」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「どうです?このドレスなんて」
「これ全て私のなの」
私は目の前にあるドレスに目を見開く
「そうですよ。全て統括者様からの贈り物と貴族の方からの贈り物で……あ、これはルーファ様からですね。天使の金糸の刺繍であしらわれていますねこれは売っていたら値がつけられない物ですね。そしてこれは華來様から着物ですね。刺繍も美しいそれに軽い素材に人魚の衣とても美しいですね。イリヤ様は……なんで全てウェディングドレスなんですか……はぁ。イリヤ様のは論外です。………リード様のも論外です。何故戦闘服なんですか!もう全く……、ルーファ様か華來様からのを選びましょうか」
私は目の前のドレスや着物に見惚れてしまう
そんな中でも目を奪うものはフィッシュテールの黒ドレスだった
それを察したルシアは「こちらですね」と言って私の事を着飾る
「美しいですわ。足は黒のニーハイソックスですね。そして靴はフラットヒールにしましょうか」
そして私を少し遠くから全身をみるルシア
「何か足りませんわ……首にはウエル様が飾りとなるから首は寂しくないですし、、」
「ウエルは飾りなんだ」
「ウエル様には小さいリボンを付けてもらいますよ」
「想像したら可愛いわ」
「ふふ、そうでしょう?……う〜んやっぱり髪を整えてから考えますね」
手を引っ張られ椅子に座らせられるとあっという間に髪型が仕上がる
「私こんな髪型は初めてだわ。素敵ね」
「お気に召して頂いて嬉しいです」
ルシアと話しているとノックが聞こえルシアがドアの方へと出向きドアを開けるとリードが箱を持って入ってきた
「流石ルシアだな。綺麗に整えられている。ソフィー綺麗だよ」
「あ、ありがとう」
急な褒め言葉に顔が赤くなる
「でもまだ準備してる途中なんです。何かが足りない気がして」
「そしたらこれを使うといい」
そういうと箱を開ける
そこには綺麗に折りたたまれた黒のヴェールとティアラがあった
ルシアが受け取り私にヴェールを被せティアラを付ける
「これで完璧です!」
「ヴェールは前に掛けたままにしておいた方がいい。そのヴェールは回復魔法と隠密魔法が少しかかっているからパーティーでも疲れないようにしてあるし、見つかりにくくなる」
「ありがとう。それに隠れてる様で落ち着くわ」
「というかリード様準備していらっしゃらないですか!もう!部屋に行きますよ!」
リードを部屋から追い出して私に頭を下げてからルシアも部屋を出ていった
私はウエルとシュオルに準備が終わったことを伝えに行く
「ウエル、シュオル、準備終わったよ」
2人が私のことを見る
「ソフィーは元々可憐で可愛かったがさらに可愛く可憐になったのう!」
ウエルは尾をフリフリと振る
そして私はルシアの言っていた事を思い出し私はウエルにリボンを付ける
「ふふん、我も可愛いくなったかのう?」
「えぇ、似合っているわよ」
「ウエルだけずるい!俺にはぁ?」
「シュオルは時計じゃない」
「パーティーの時は短剣になる予定だよぉ。変なやつとかいると大変でしょぉ?」
「でもしまっておく場所なんてないよ」
「そっかぁ。なら人になれば良いんだぁ」
一瞬光ると綺麗に姿を整えたシュオルがいた
「ソフィーとお揃いの黒。良いでしょぉ?」
「時計は?」
「ここにあるよぉ」
シュオルは私に懐中時計を返そうとしたが私は拒否した
「シュオルが持ってて。貴方が魔剣であることを言うかは分からないんだけど危なかったらその時計に憑依して私の所に来てね」
「分かったよぉ」
私はウエルを首に巻きベッド端に座る
「でもシュオルの事なんて話せば?」
「堂々と魔剣だって言ってもいいと思うけどなぁ」
シュオルが足をぷらぷらさせながら言う
「そしたらリードに相談した方が良さそうだね」
「ソフィー!ソフィー!パーティーでは美味しいものがたくさん出るとは本当か?!」
「うん。少なくともいつもよりは豪華だと思うわよ」
「楽しみなのじゃ」
「ソフィーこの蛇本当に神様なのぉ?」
「我は立派な神じゃ!」
「そうは見えないけどねぇ」
欠伸をしながらシュオルがそういうと私に寄りかかる
「う〜ん。久しぶりの外で動いたから眠気がぁ」
「限界を感じたらすぐに時計に憑依することね!あと私から離れちゃダメよ!」
「うん」
やがてシュオルはすぅすぅと寝息を立ててしまった
「どうしよう。そのまま置いていったら怒るだろうし」
「我の意識とシュオルの意識を交換しよう。そうすれば大丈夫じゃ」
「そんなこと出来たのね」
するとシュオルが目を覚ます
「この通りじゃ、うむ……あまり話さない方が良いのかもしれぬ」
「そうね。ちょっと変だもの、ふふ」
そうこうしているうちに日は落ち月が顔を出す
パーティーの時間が迫ることを私に教えるように
コンコンとノックの音が聞こえララが顔を出した
「わぁ〜!!ソフィー様素敵です!!さ、行きましょう」
「そんな急がなくても」
手を引っ張られズンズンと進むと屋敷の外を出ると煌びやかな馬車がそこには止まっていた
「リード様ソフィー様をお連れしました」
「ああ、感謝する」
リードを見るといつもとは装いが違いきちんと整えられた服と神にルシアの念がこもっているのが見える
「馬車に乗るか」
そういうとリードがソフィーに手を差し出す
私はその手を掴み馬車に乗る
「ウエルは……ってあれ?いない」
「首に巻きついてるのはなんだよ」
「ウエルよ。でも今はシュオルの意識が入ってるのでもシュオルの姿をしたウエルがいないの」
「大まかな状況は掴んだ。でもウエルだろ?そんなどこか行くような奴じゃないだろう……って」
はぁ、とため息をつくと馬車から離れるリード
気になって窓から見るとシュオルがメイド達に囲まれている
(そうよね。傍からみたら知らない子が屋敷にいるんだものそれに美形だから余計注目を集めちゃったのね)
リードもそう理解したのかメイド達に何かを言うとメイド達はペコペコと頭を何回も下げ始め屋敷へとかけていく
そして2人で戻ってくる
「我もああなるとは思わなかったのじゃ」
「屋敷のメイド達にはまだ魔剣の事も言っていない。それに今夜のパーティーでは魔剣の事は口に出すな」
「分かったわ」
私は強く頷くと馬車のソファーに深く腰をかけた
御者がドアを閉めるとしばらくして馬車が走り出す
「それにしても今日は静かすぎる」
「?どういうこと?」
「いつもは狼の遠吠えや虫のさえずりが聞こえるがそれが一切ない。ま、何も無ければいいがな」
「何も無いことを願うばかりね」
「トラブルメーカーがいるのに何も無く終われば幸運ってことか」
「トラブルメーカーって私のこと?」
少しムスッとして言う
「他に誰がいるんだよ。でも安全だとは思うがな警備が厳重すぎるからソフィーも武器はひとつくらい持ち合わせているだろ?」
「いいえ。シュオルにも言われたけれど必要ないわよ多分?」
「一応まだ俺が面倒見役としてなっているから俺の視界から30秒は消えるなよ」
「心得たわ」
「それに貴族達への挨拶なんて俺が適当に済ますから傍にいて頭下げればいい。アイツらは目ざといんだ気をつけろよ」
「もちろんよ。そうだわパーティーにはお酒もあるのよね?」
「あるけどソフィーは飲まない方がいい。飲んでも1杯までと約束してくれ。酔ったら介抱する羽目になるから面倒事はゴメンだ」
最後の言葉は私に向けた言葉ではないように感じたが一応頷く
そして少し経つとシュオルが目を覚ます
「あれ?俺ウエルになってるぅ?!」
「意識を交換しただけじゃ、ほれ戻してやる」
「戻ったぁ。でも眠いから時計に戻る」
すると時計を取り出して少し光ると時計に憑依しふよふよ〜と私の手元に来るとポトッと落ちる
時計を私は胸元に入れる
「それにしてもリードのくれた時計は古いながらも綺麗に手入れされてるのね」
「錆びていくものなんだがな。錆取りで錆を取ったり壊れたら修理していたからな」
「大切にしていたの?」
「多少な」
「大切にしていたものをくれるなんて……どうして?」
「さぁ?」
(なんかはぐらかされた気がするけど……。細かいことは気にするなってことかしら)
「そうだわ。私の妹ヒルには会えるのかしら?」
「会えるぞ。イリヤによれば自身の悪魔の力も上手く扱えているらしいけど、ソフィーに会えなくて最近は元気がないと言っていたな今回会えれば妹の方も元気になるだろう」
「そっか。良かったわ私も寂しかったから」
「そろそろ着くから心の準備でもしておいた方が良いぞ」
「わ、分かったわ。緊張するわねパーティーなんて日常茶飯事だったけれど主役となるのは初めてだもの……」
やがて馬車は速度を落とし城の目の前で止まる。
御者がドアを開け先にリードが降りる続いて降りようとすると手を差し出されたのでその手を掴み降りた
「こんな輝かしい場所私には似合わないわ」
「主役がそんな顔をするな。心配なら俺の後ろにでも隠れてろ」
そして先を行くリードの後を追うがいつの間にかリードの裾を掴んでいた
「あ、違うの。その、私……」
「掴んでていいから。心配しなくていい」
その言葉に少し安堵しリードと共に城のドアをくぐる
その先には沢山の人がいたが皆こちらに注目する
すかさず私はリードの後ろに隠れるが貴族がこちらに寄ってきて先導する
「リード殿お待ちしておりましたぞ。その後ろの子がリード殿をふむ」
少し値踏みされているような感覚に下を向く
「ああ、俺の後ろにいるソフィーが俺との決闘で勝った時期統括者だ」
「あの方がその噂の」
「リード様を負かしたとは思えませんね」
様々な言葉が私の耳に入ってくる。嫌悪感が増す
(気持ち悪い……人の目、私をそんな目で見ないで……)
すると聞き覚えの声が聞こえる
「主、先に行かないで下さいよ。もう」
ルシアがそこにはいて私を貴族達の視線から隠すように歩く
「ソフィー様安心してください。私のしっぽは隠れるのにも十分でしょう?それに私はリード様の側近でもあるのでここにいても不思議ではありませんよ」
「ルシア……」
2人に助けてもらい私は少し息ができるようになるが見知った顔達が少し先で待っていた
「ソフィーちゃんガッチガチに緊張してるじゃないか」
華來が私に視線を合わせて頭を撫でてくれる
「お姉ちゃん」
「ヒル……変わりなくて良かった」
「うん。お姉ちゃんも元気そうで良かったよ。でも今はそうじゃないみたい」
「好奇な目で見られたらそりゃぁ誰だって嫌だろ」
リードが貴族達を睨む
「主、笑顔です」
リードが貴族達に笑顔を向けると途端に視線が無くなる
「効果的ですね」
「疲れたから飲み物貰ってくる。ソフィーは椅子にでも座っているといい。イリヤちょうどいいお前椅子になれ」
「扱い酷くない?!」
「ふふ、相変わらずだね」
「アレイ様」
「顔色が優れていないじゃないか。私の可愛いソフィー」
「……」
「主役が居ないとダメだからね。身代わりを作るとしようかイリヤ」
「アレイ様もオレの扱い雑くないですか?!」
「いつも通りだよ。それにソフィーを思うのなら率先してやるべきだ」
「やります!」
「返事が良くてよろしい」
「あ……ぁ」
「ソフィーちゃんせっかくのパーティーだからね。美味しいものでも食べる?」
「華來…そうね何か食べようかしら」
「お姉ちゃん!」
「どうしたの?ヒル」
「ケーキ!お姉ちゃんの好きな大きないちごの乗ったケーキ!あげる!」
「ありがとうヒル。ヒルも一緒に食べましょ?」
「うん!取ってくるね」
受け取ったケーキを見つめていると隙を見計らった貴族達が私に群がる
「おお!この方が時期統括者様なんとお美しい」
「リード様に傷を付けたのは貴方なんですって?」
「お名前をお聞きしても?私は……」
「是非私の屋敷にいらしてください!おもてなしを……」
「貴方だけずるいわ。私にも挨拶を……」
貴族達は私を目の前に揉め始める
私は貼り付けた笑みをこぼすしかなかった
何を言っても聞きそうになかった貴族に1人の男が口を挟んだ
「皆様。ソフィー様は2週間の間鍛錬を続けました為にお疲れです。ですので今日はこの辺りにして頂きたい」
「そうだったわね。配慮が足りなかったわご無礼をお許しください」
そう令嬢が言うと皆頭を下げる
「良いのよ。また機会があったら話しましょう?」
「寛大なお心ありがとうございます」
そういうと貴族は去って行く
「先程はありがとうございました」
その男に目を向ける
「いえ、私は何もしておりませんよ」
「あの……お名前をお聞きしても?」
「あー……そうですよね。私だけしか一方的に知っていたわけですから」
「えっと」
「すみません。独り言が漏れてしまいました。改めて私は隣国『リンドヴルム王国』の王国騎士団長の『ユーリ・ラグナス』です。ユーリとお呼びください」
彼は軽く微笑む
「私はソフィー・ブランドよ。ソフィーって呼んでちょうだい。それはそうと隣国のリンドヴルム王国の騎士団長様が何故ここに?」
「今度この国で演武として各国の力自慢が集まる大会が開かれるんです。その選手表を渡しに来たのです」
「それなら直接ここに来なくっても良いのでは?」
「それもそうなんですが、私はソフィー様を一目見たく来た所存で御座います」
「私をですか」
「はい。それにソフィー様は知っていますか?私の国は龍の名前が国名となっています。そして龍が多く住む国でもあるんです。龍は気高く賢い生き物なんですコホンッ長くなってしまってすみません。私は不器用な者なもので直接的に言います。ソフィー様この品を受け取って頂けないでしょうか」
そういうと胸元から箱を取り出し渡しに開けて見せる
「これは……」
「これは龍の爪で作られたペンダントだね」
ユーリの隣から覗き込む華來
「華來様!このような物をすみません!」
「いやいや気にしてないから。それに龍の爪は確かこんな言い伝えが……」
「あーー!あの!言わなくて大丈夫です!私はこれで失礼します!ソフィー様受け取ってください!」
といって私に押し付けてどこかに行ってしまった
「そういえば華來はどうして?」
「ヒルちゃんが入りにくそうだったからそれのフォローをね」
「お姉ちゃん。一緒に食べよ」
「華來ありがとう。ヒル口にクリームが付いてるわよ」
「お姉ちゃん取って」
「相変わらずね。そうだわ私が居ない間いい子にしてた?」
「いい子にしてたよ!魔物も狩ったり食べたりしたよ!」
「そうなのね。あとヒル魔物は食べちゃダメよお腹を壊してしまうわ」
「大丈夫だよ!とっても美味しかったよ?それに見てこの子」
「みゃ」
「この子は使い魔のモコっていうの」
「使い魔?!………えっと、」
「この子はわたしの溜めすぎた魔力を食べてくれるの。それに助けてくれるの。ねー!モコ」
「みゃ〜」
「お姉ちゃんの許可なく契約しちゃってごめんなさい。でもモコはわたしの大事な使い魔なの」
「怒ってないわよ。にしても猫ね」
「ううん。この子は元々魔王なんだよ。力が弱ってて助けてあげたら使い魔になったの」
「魔王……魔王?!」
「うん。でも魔王の神座を降りたから今はわたしの可愛い使い魔なの」
「それはみんな知っている事?」
「うん。一応知ってるよイリヤにいが伝えてくれるって」
「私は何も聞いてないわ」
「言う機会がなかったんじゃないかな?お姉ちゃんは頑張っていたんでしょ?だからじゃないかな」
(私も隠していることがあるからこれ以上は何も言えないわね)
私は軽くヒルの頭を撫でる
「久しぶりに撫でて貰った!もっと」
「はいはい」
私がヒルの頭を撫でているとリードがグラスを2個持って後ろから声を掛けた
「ソフィーお酒以外ならジュースしかなくてな、いつも飲んでいるザクロジュースにしたんだが問題ないか?」
「えぇ、助かるわ。ありがとうリード」
そういうとリードは私の事を見つめてから口を開く
「何か貰ったのか?龍の匂いがする」
「僕じゃないよね?!」
「華來さんじゃない。別の龍の匂いだ」
「あー!それならさっきユーリ団長から龍の爪で作られたペンダントを貰ってたね」
「あいつが?……その反応は本当らしいな。でもあいつは殆どの事に興味がない機械みたいな人間だから意外だ」
「そうなの?私には笑顔も向けてくれていたけど偽りだったのかしら」
「ユーリが笑顔………レアだな。華來さんが遅刻した時くらいレア」
「そうなのね。でも私達は初対面なのにプレゼントは不自然だわ」
「ユーリは3日前から俺の屋敷にいるんだよ。でも時間が合わなくて気付かなかったようだな鍛錬の時も時々見ていたな。俺もわざわざ言う必要がないと思って言わなかったが」
「全く気付かなかったわ。自分の事でいっぱいだったから……ちょっと不覚だったわ」
「まぁ、気配に気付けないのも無理はないぞ。あいつ騎士団長だから」
「そうだわ。この国で演武が行われるって聞いたのだけれど」
「あぁ、近いうちに演武があるんだよ。実力者が集まってトーナメント戦式に成り上がっていくって形式なんだがな。魔法、体術、格闘技色々あるんだけどどうも上手く事が進まなくてな」
「それってドーピングの?」
「そう。今年は優勝賞品が豪華で龍の鱗と色々あるんだがそれを手に入れる為にドーピングするやつがいてな。検査や検品するのに人手を割くと運営の方が人手が足りなくなるっていう少し面倒な事になっているんだ。それに普段は賭け事禁止なんだがこの演武では賭け事がアリになっていて。1番手間なのがドーピング対策と言った所だ」
「難しいわね。私にはどうすることも出来ないわ」
「お姉ちゃんドーピングって何?」
「簡単にいえばズルをするのと一緒よ」
「ズルかぁ。リードお兄ちゃんが嫌いそうな事だね」
「よく分かってるな」
そういうとヒルの頭をくしゃりと撫でる
「もうやめてよ!髪が崩れちゃう!」
「すまん。まぁこの話は終わりせっかくのパーティーで仕事の話はあんまりしたくないだろ?」
「うふふ、そうね」
「今日は祝賀会みたいなもんだ。好きな物を食べ好きなものを飲む。だから行ってこい」
「ありがとう。甘いものスイーツが食べたいわね」
「じゃあ行こ!」
ヒルは私の手を引いてスイーツのある卓まで誘導する
「わぁ〜。キラキラしてるわねどれから食べようかしら」
「チョコがあるよ!沢山ある!」
ヒルと共にお皿にケーキや甘いものを沢山取る
「このくらいあれば足りるかな。ヒルテーブルに着いて食べましょ」
「うん!」
机に戻るとリードが私たちの皿に盛られたスイーツ達を見る
「見るだけでも甘いな」
「ふふ、そしたら2人も取ってらっしゃい。一緒に食べましょう?」
「そう言うなら取ってくるか。それにしてもルーファさんどこいった?」
「ほらあっちに女性の群れがあるでしょ。そこにいるよ」
「甘〜い蜂蜜って訳か」
「だから黎舞は避難して外の方に行っちゃったよ」
「仕方ないよな。女の人が苦手だと」
「リードのルシアも居ないね」
「人酔いして外の空気を吸ってる」
「あー……」
「それも仕方ないね」
そう2人は苦笑いを浮かべて食事の並んだテーブルの所に行く
「そーいえばお姉ちゃんこれは秘密なんだけど」
ヒルはそういうと私に近づいて小声で話す
「この世界の話の本を読んだんだ。お姉ちゃんがいつか統括者になる国の御屋敷で見つけた本なんだけど」
「御屋敷?本?」
「えっとね。最初から話すと私とイリヤにいで南の国の御屋敷に住んでるの使用人もいてね」
「そうだったのね。その話全く聞いてなかったわ」
「御屋敷については元々取り壊す予定だったみたいなんだけど復元魔法かけたら大丈夫になったんだって、ああ、そんなことより本の話!その御屋敷は古くあるから古い本も沢山あったの。でも1つ隠されるように置いてあった本があってねそれがこの世界についての本だったの」
「それだけを聞くと普通の歴史書みたいな感じね」
「うん。でも外側とか内側とか書かれていてよく分からなかったの。読み進めるうちに字が読めなくなっていって」
「他の国の字って事?」
「ううん。違うなんかぐちゃぐちゃに書いたような……あ、また後で話すね」
そういうと丁度2人が戻ってきた
「全くあの公爵全財産入れるってバカだろ」
「シーそんなこと言ったらダメだよ」
「どうかしたの?」
「演武の話したろ?その賭けに全財産賭けて儲けるらしい。当たれば倍になるだろうけどさ、それに賭けの1番取るつもりだろうな」
「他の人もいるから1番になれるかは分からないけどね。でも全て失ったらその人の立場が危ういね」
「わたしその話分からないわ」
「ごめんね。分からない話しちゃって、気にしなくていいからね」
「うん……」
ヒルは少しつまらなさそうにフォークで肉を切り落とすと使い魔のモコに肉を食べさせていた
「その使い魔羽の生えたネコだよな」
「う〜ん。確かにネコちゃんみたい」
飛んでいるモコを膝の上に乗せる
「でもとってもいい子なんだよ。甘いのが大好きなんだよ〜ねー?」
モコに同意を取るように言うとモコも「みゃ〜」と鳴くと皿の上のケーキを一口で平らげてしまった
「ふふ、もっと食べる?」
「みゃ〜」
「使い魔って様々なんだな」
モコの頭を軽くリードが撫でながらいう
「イリヤにいは沢山の使い魔がいるよね。可愛い子からかっこいい子まで沢山いるの」
「あいつの魔力は美味しいんだと」
「みゃ!」
「モコは好きじゃなかったみたいなんだ」
「ふっ、ざまぁ。嫌われた瞬間を見たかったものだ」
「悪趣味だよリード」
「オレの話した?」
「瞬間的に気が付くの気持ち悪い」
「え」
後ろから姿を現したのは私の姿をしたイリヤとアレイ様だった
「ソフィーどう?寸分たがわず君を現してみたよ」
「キモイだろ普通に。言葉も出ねーわ」
「さっきから酷くない?!」
「鏡が目の前にあるみたいね。そっくりだわ」
「つまりキモイ」
「ソフィーの気持ちを代弁しました。みたいな顔やめてくれる?」
「『私の姿を少しも違いなく再現するなんて吐き気がするわ』………だってさ」
「一瞬本気でソフィーにそう言われたのかと思った」
「私そんなこと言わないわよ!」
「お姉ちゃんの声再現出来るの凄いねリードお兄ちゃん!」
「得意分野だからな」
そういって得意げな顔をする
「そういえばさ、いつ説明というか負けたこと証明するの?」
「きっちり撮ってあるさ」
「まさか!?」
「そう!VTR」
「楽しみだ。オレ見てないから!」
「その格好でどう見るんだよ」
「確かに……まぁ、ソフィーの身体は覚えたからいつでも変身できるから着替えてくる」
そういうと颯爽と消えていった
「私の身体を覚えるって何?」
「擬態するには元の人の形を一から作らないといけないんだ。だから時間がかかるんだけど1回覚えれば瞬時になりすます事が出来る。それが変化の術なんだけど声までは真似することが出来ないから難しいんだけど何せイリヤだからねそこは突破しちゃう訳だよ。たまにリードがお世話になる時あるよね」
「そんなことあったかな〜」
「あまり悪いことに使っちゃダメだよ」
「別に使ってないですって、むしろ悪用しそうなのはあいつですって」
皿に乗る肉を頬張る
「何に使ってるの?」
「いや、それは、、まぁ、任務の時とか。俺は女装したって肉の付き方で男だとバレるけどあいつはそんなのも隠せるから」
「これは秘密工作の1つだからね。あまり公に言うことが出来ないんだよ」
アレイ様がそういう
「統括者としての立場もあるが国を守る以上は潔白ではいられない。この手も黒く染ってはいるがそれが無ければ今の平和を保つことは出来ていない。俺は自分が死ぬまでは墓に持っていくものは持っていくさ」
「本当は私がやらなくては行けないことなのに迷惑をかけるね」
「アレイ様が気にする事はないですよ。俺たちはこの国が良くなるならやるまでです」
そう言うリードの言葉に他の統括者達は頷く
「私はいい子達に恵まれた様だね」
アレイ様はそういうと少し微笑む
「リード、イリヤそろそろ時間なんじゃないかな?」
リードが胸元から時計を取り出し時間を確認すると椅子から立ち上がってイリヤが入っていった部屋に駆け込んだ
「イリヤが代わりをしてくれるのよね。私どうしようかしら」
「なら別人に見える魔法でもかけようか…………はい、出来たよ。私達からはソフィーに見えるが他の者からしたら別人に見えるはずだ」
「ありがとうございます。アレイ様」
「気にする事はないよ。さてと、私は少し席を外すよ」
去って行く姿を見送る
「わたしモコがスイーツを食べたいって言うからまたね!」
ヒルはモコを連れてバイキングの方へと向かって行ってしまった
「これから少し騒がしくなるね。ソフィーちゃんはどうする?」
「私は庭園の方に行こうかと思ってて夜でも綺麗に咲く花があるとか」
「それなら付き添っても良いかな?1人にしたって知られたら首が飛びかねないからね」
少し笑いを含む言い方で華來は言う
「是非お願いしたいわ。それに貴方は博識でしょう?」
「他の子達よりは勉強してるつもりだけどね。知っている知識を披露できるかどうかかな」
「ふふ、それでも構わないわ」
そうして私と華來は庭園へと出る
「結構色鮮やかに咲いてるのね。凄いわ夜でも綺麗に見えるのね」
「この花は夜に咲く花なんだ。昼間に太陽の光を沢山浴びて夜に花を咲かせる『光夜』と呼ばれてて花言葉は『あなたに光を・そばに居る』という意味があるんだ」
「素敵な花言葉ね。光夜…」
「そうだ。この花に少し魔力を注ぐと色が変化するんだよ。その人の持つ魔力によって色が変化するんだ。自身の魔力で変化した花を送ることによって告白を意味する花になったりするんだ」
「興味深いわね、魔力によって変わる素敵ね」
「試しに少し魔力を流してみたら?ただ白く光っているだけじゃ味気がないし」
「え?いいの?」
「この城は君の城でもあるわけだからね」
「そ、それなら」
私は少しの魔力を1輪の光夜に流し込む
すると花は少しずつ色を変えていった
「わぁ凄い!緑になったわ」
「綺麗な緑だね。淡くてとてもいいと思うよ」
「華來の色は?」
「僕?」
「魔力流し込んでみてほしいわ。どんな色なのか見てみたいわ」
「そういえば自分の魔力を込めたことは無いね。うん、やってみようか」
華來は1輪の光夜に魔力を流し込む。すると色が変わり始めた。淡くエルクベイジュ色に光る
「うん行灯の色と一緒だね」
「素敵な色ね。優しく包み込んでくれる感じがして良いわ」
「ありがとう。だけどシンプルだね。暖色系の暖色…」
「暖かみがあるわ。私はとても素敵な色だと思うわ」
「ソフィーちゃんが言うのならそうなんだろうね」
「私が言わなくともそうだと思うわ。もっと自信を持っていいのよ」
「あはは、よく言われる」
「何か事情があるの?」
「元々こういう性格だからさ、あまり気にしなくて大丈夫だよ。僕は自分を卑下している訳じゃないから」
「それなら良かったわ」
私は少しホッとして華來の方を見るがその後ろにいる人物の視線に気付くと小さい声で華來に伝える
「華來、あなたの斜め方向にこっちを見ている人がいるわ」
「僕も薄々感じていたけど、どうやら気のせいじゃなかったらしいね」
スっと華來は立ち上がり私に手を差し出す
「ありがとう」
「僕達の事を見ている人の正体分かったかも」
「私の知っている人?」
「今日貰った贈り物覚えてる?」
「確か龍の爪のペンダント……あ、あの騎士団長様?」
「そう。彼は騎士団長だから本来は気配を消すなんて簡単な事なのに何故少し気配を残したのか」
「何故?貴方に用があるとか?」
「僕に用は無いはずだよ。用があるならソフィーちゃんの方だと僕は思うけど」
「私?何故かしら……でもちょうどいいわ。贈り物への感謝をする前に彼は行ってしまったから。警戒は必要かしら?」
「要らないと思うよ。でもこの魔法を解除してからだね」
「別人に見える魔法よね。確かにこのままだと私だとしても話しづらくなりそうよね」
「それもそうだけど、ソフィーちゃんのご尊顔を拝見したいって方が上じゃないかな」
「もう!からかわないでちょうだい!」
「あはは、ごめんね。はい、魔法は解けたよ」
「じゃあ、行ってくるわね」
華來に軽く手を振るとユーリの元へと向かう
(あれ?確かこの辺りに居たような。完全に気配を消されちゃったかな)
私は小さく彼を呼んでみる
「騎士団長様、私です。ソフィーです。良ければ贈り物のお礼をさせて欲しくて」
(もう居ないのかな)
少し残念な気持ちで華來の元へと戻ろうとすると手を掴まれ少しビックリしながら後ろを振り返るとユーリが居た
「心臓に悪いです。騎士団長様」
「す、すみません。まさかこちらにいらっしゃるとは思わなくて」
「それより、この贈り物ありがとうございます。大切にしますね」
ソフィーが微笑むとユーリは顔を少し赤らめる
「ソフィー様が喜んで下さるのなら」
「確かこの贈り物には意味があると聞いたわ」
「それは……わ、私の口からは言えません!」
「そうなのね。ごめんなさいでも意味なんてなくても心を込めた贈り物なら全て美しいものよね」
そう言うと彼は顔をさらに赤くして目を逸らしてしまった
「そ、ソフィー様は男性とかに興味はあるのですか?その深い意味はなくてただ気になるというか」
「男性に興味…そうですね。華來に興味があります」
「な、何故なのですか!?私ではいけませんか!華來様が良いとおっしゃる理由は!」
「華來の素顔が少し気になるんです。ふふ、長い付き合いの人でも見たことがないそうなんですよ。そうなると気になりませんか?」
私は笑ってそういうとユーリは驚いた顔をしてから謝罪する
「すみません。勘違いをしてしまいました」
「勘違いってさっきの騎士団長様の言った事ですか?私じゃダメかって」
「……私は好意を持ってはいけない方に好意を持ってしまった。見た時から感じたんです綺麗な人だなとでも私には恋に現を抜かす訳にはいけません。諦めなければいけない…けれど諦めようとしても心の奥では好きという気持ちが溢れてしまうのです。それに私は騎士ですいつ無くなる命か分からない…」
苦い顔をするユーリ
「何故その恋を諦めなければならないのですか?好きなのなら諦めなくて良いと私は思います。他の方に取られる事を想像したら悔しくないですか?」
「私が好きな方はあなたなのです。ソフィー様」
そういうとユーリは覚悟を決めたようにソフィーの前に跪つき手を取り手の甲にキスをする
「わ、私そんな。こ、こういうのは初めてでなんて答えたらいいのかしら…うぅ」
「ソフィー様私は遊びでこういうことは致しません。なので」
「それは分かっているの…でも本で読んだの手の甲へのキスはプロポーズなのよね
でもまだお付き合いもしていないのに結婚しても良いのか分からなくて」
「け、結婚?!プロポーズ?!」
ユーリはビックリする中ソフィーは照れて顔を赤く染める中声が響く
「やはり人の子がする事は面白いのう」
「う、ウエル。私はどうすればいいのかしら」
「ソフィーお主の読んだ本はロマンス小説じゃ。だから脚色されている部分がある。それが手の甲へのキスがプロポーズという所じゃ」
「そ、そうだったのね。本当の意味は?」
私はほっと息をつく
「基本的には挨拶や敬愛の時に使われる手法じゃ。この場合は敬愛の方で合っているだろう」
「そうすると私たちの会話は聴かれていたわけなんですね……」
「そんな卑劣な真似をする訳ないであろう?ソフィーの感情、心拍数から少し目を覚ましたらこの光景じゃった訳じゃ。分かったかのう?」
「私の心は筒抜けじゃない」
「契約者には抗えぬ運命じゃ」
「コホンッ…そしたらこれは敬愛って事なのよね。そしたらこれからもよろしくね騎士団長様」
「は、はい!それにソフィー様私の事はユーリとお呼び下さいませ」
「分かったわユーリ」
笑顔でそう答える
「そ、それと私の前では無表情でいて欲しいです」
「もしかして不愉快だったかしらそれならごめんなさい」
「いえ!!全く違います。お恥ずかしながらソフィー様の表情がコロコロと変わる度に心臓がドクンと脈打つのです。あなたがあまりにも可愛すぎるから」
そう言ったユーリがソフィーに目を向けると服の裾で顔を覆い話す
「そう言って貰えるのは嬉しいわ。今日は来て良かったと思っているわ。ユーリにも会えてとても楽しかったわ。ありがとうそれに好意も持ってくれてとても嬉しいわ
私が決断を下す時まで好きでいてくれたらその時は私の気持ちを聞いて欲しいわ」
「はい!ソフィー様では私は本来話さなければならない方達をまたせているので失礼しますね。気持ちを聞いてくださってありがとうございました。それではまた」
手を振ってユーリが去ってゆくのを見届ける
「そういえばウエル。プロポーズならキスはどこにするの?」
「プロポーズなら唇じゃろう?本にはなんて書いてあったのじゃ?」
「挨拶だったわ」
「その本の内容は忘れるんじゃ。それにファンタジーの世界はこの世界の常識は書いておらぬから楽しむ程度に読むんじゃぞ」
「ええ、今回の件でハッキリしたわね。本は娯楽だってこと」
「そろそろ戻ったらどうじゃ?冷えてきたじゃろう?」
「確かに冷えてきたわね。戻ろっか」
「うむ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「あれ?もう戻ってきたの」
華來は時計を確認すると少し首を傾げ私に問う
「ええ、そんなに時間のかかる事じゃなかったから。それにユーリも忙しいみたいで」
「騎士団長って立場だもんね。そんな人に気に入られるなんてある意味幸運なんじゃないかな?ソフィーちゃんは」
「そんなことないわよ。……でもあまり否定出来なくなってきたのも事実ね。一目惚れなんて初めてされたわ」
「もしかして恋愛話?他の人の恋愛話は聞いててワクワクドキドキするから聞きたいな」
「大した話じゃないわ。でも華來は恋愛話好きなのね?」
「甘い恋から苦い恋まで好きだよ。娯楽小説はリアルでは出来ない事が出来るしとっても面白いよ。そうだ。今度うちに来た時に本棚を見てみると良いよ好きなものがあったら読んで感想聞かせて」
「華來は恋の物語が好きなのね。とてもいいと思うわ」
「ソフィーちゃんは無いの?好きな娯楽小説とか」
「私の場合は暇を持て余していたから本を読んでいたけどこれといって好きな物語とか種類はないわね。でも読んでみたい本があるのよミステリー小説なんだけどねどんな形で話が進むのか見てみたいし知ってみたいの」
「良いね。僕の家にも数冊あるはずだよ。もし良かったら一緒に買いに行こうか。しばらく訪れていなかったから新作が入ってるかもだしソフィーちゃんはミステリー小説を見つける事が出来るどう?」
「いいわね。楽しみにしておくわ」
「うん。楽しみにしておいて、きっと飽きないから」
そう二人で約束すると城内からの大きな歓声が響く
「そ、そんなに私とリードの戦いが良かったのかしら」
「あれは戦鬼だからね」
「未だに実感がわかないよ。手を抜く相手じゃないのは分かるけどさ」
「あの戦闘狂が手を抜くわけがないのは分かるけど、僕も不可解なんだよね」
「不可解?」
「リードは君より経験があるのに、たかが空中戦で負けるなんて事ないと思ってさ」
「そうよね。そんな週数間の時に勝てる相手じゃないわ」
「知ってるのは本人のみだろうけど、聞いても答えてくれないよね」
「別に油断したとかじゃねーよ」
「「!?」」
「り、リードいたの?びっくりしたわ」
「あー、あの馬鹿が盛り上げてくれてるうちにあの方を俺に見えるようにしといた。で?俺がなんで少しくらいしか鍛錬のしていない奴にうつつ抜かした一撃食らった話しになってんの」
「だってそうじゃない!」
「ホントの話すればお前らは動揺すると思って隠したいたがあの時確実に俺を殺そうとしている奴がいた」
「それは本当かい?」
「そんな人が居たってこと?」
「ソフィーが居た後ろ。そうだな半径15km弱にそいつは居たんだ。で、ソフィーの攻撃が当たると同時に俺に風刃を飛ばしてきた。だから真正面で食らっておいた訳」
「だとしたら私の攻撃どうやって交わしたの?!」
「だからその風刃と同じ所に食らっといた。どう?謎は解けた??」
私達はキョトンとする
さも天気の話をするように語る様はなんも言えない恐ろしさを感じた
「さすがだね。じゃあこれでもあげるよ。ほら手をだしてごらん?」
今度はリードがキョトンとした顔をして手を差し出した
ポトと飴玉がリードの手のひらにのせられる
「俺はガキじゃないんだけど」
「えー、僕からしたらまだまだ子供だよ。因みにソフィーちゃんもね。僕は大人だから頼って良いんだよ」
「十分生きたジジイだろ」
「コラ!お兄さんと呼びなさい。華來お兄さんって呼んでも」
「誰が呼ぶか!」
「グハッ、!」
リードの拳が華來の鳩尾を突く
「全くロクなことしか言わない奴が多すぎる」
そう言いながらも貰った飴玉を口に放り投げる
「ま、まあやりすぎなければいいんじゃないかしら」
「これグレープ味だ。なんで好きな味知ってるんだよ」
そんな独り言もソフィーには筒抜けだったがそれは黙っておくことにする
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
【同時刻ーホールではー】
「ここで私がトドメの一撃を与えたのです!」
ソフィーの姿をしたイリヤが壇上の上に立ち木剣を振るうと大きな歓声が響いた
大きな歓声にイリヤは満足すると言葉で締めくくる
「これにて私とリード様との決闘は終わりです。ご清聴ありがとうございました」
深く礼をすると大きな拍手で締めくくられた
…………
【試聴会後】
「上手く演説は出来たみたいね。感謝するわイリヤ」
「お姉ちゃんカッコよかったよ!あんな風に戦えたんだね!こう!なんか凄かったよ!」
ヒルは身振り手振りで表現する
「けど途中でリードが私を自身と同じように見せる術を使って逃げるとは思わなかったよ」
「直ぐに気付いて順応したクセに」
「それも私の務めだからね。君たちの頼れる私でありたいんだ」
そうアレイは良いながら鋭い視線をソフィーの後方に一瞬向けたが誰にも気付くものはいなかった
そう1人を除いて………