本当に盛った作り話
世の中には本当に変な人がいるんだなと思った話。
当方35歳のパート主婦、夫は2つ上の会社員。
子供は長男8歳、長女3歳。
娘が離乳食を卒業する頃に夫の頭がおかしくなった。
それまで夫は私の料理をなんでも美味しいと言って食べてくれていたのに、
ある日突然、「こんな物を子供たちに食べさせる気か!」と怒鳴り散らし、
夕飯をゴミ箱にシュートし、食器を割ってどこかへ出掛けていった。
残された私と息子はしばらく呆然として、やがて娘が号泣。
我に返った私は娘を落ち着かせてから夫に電話し、
「さっきの何あれ!?」と説明を求める。
すると夫、「焦げた料理は体に悪いから」と返答。
焦げた料理って……え、焼き餃子だよ?
皮パリパリの餃子、あんたの大好物じゃん。
それなのに、なんで?と問い詰めても「焦げは体に悪い」の一点張り。
まるで会話にならないし、息子がお腹空かせて泣き出すわで、
もう仕方ないのでその日の夕飯はカップ麺で済ませた。
この夫の不可解な行動には正直腹が立ったけど、
もしかしたら仕事で嫌な事があって虫の居所が悪かったのかな?
と最大限平和的な解釈をして、無理矢理自分を納得させて就寝。
翌朝、夫がまたやらかした。
表面がほんのり茶色くなってるトーストを見て発狂し、
椅子をぶん投げて窓ガラスにヒビが入る。
子供たちは怯え、パニクった息子が「ごめんなさい、ごめんなさい」と
自分が悪い訳じゃないのに私たちに対して泣きながら謝る始末。
夫は「全部お前のせいだぞ!」と私に責任をなすりつけてそのまま出勤。
もう意味不明すぎてどうすればいいのかわからず、
パート先には急な体調不良と連絡してお休みを頂き、義両親に助けを求めた。
車で1時間の距離を駆けつけてくれた義母によると、
「昨晩はなんの連絡もなしに息子が実家に顔を出したかと思えば、
私たちの夕飯の焼き魚を美味しそうに食べて帰った」との事。
しかも程よく焼き目のついた皮ごと完食したそうで。
それって夫的には“焦げ”なんじゃないの?と、私は更に混乱。
とりあえず昨晩捨てられた餃子を義母に見せると、
「これを焦げた料理扱いするのはおかしい」と言ってくれた。
また子供たちに怖い思いをさせたくないので、
その日の夕飯は夫が帰宅する前に済ませておいた。
そして夫は帰ってくるなり義母に頬を引っ叩かれ、
「なんで母さんがここにいるんだよ!」と、明らかに動揺。
義母は容赦なく追撃のビンタを2発、3発と入れる。
やがて夫は、なんであんな事をやらかしたのかを涙目になりながら白状。
どうやら健康診断で部長の肺に悪性腫瘍があると発覚したらしく、
なんとなく怖くなり、これからは健康に気をつけようと思ったそうだ。
で、離乳食を卒業する娘には体にいい物だけを食べさせたいけど、
それなら家族全員で健康的な食事に切り替えようと思ったんだと。
馬鹿じゃないの?
その部長、ヘビースモーカーじゃん。
以前なんの連絡もなしにうちに連れてきた時、
灰皿があるかの確認もせずに、妊婦の前でタバコ吸うような奴じゃん。
そんなクズが肺がんになったから何?
食事関係ないじゃん。タバコのせい。自業自得。
私と義母は(ほとんど義母が)夫を正座させて説教し、
もう二度と同じ過ちを犯さないように誓わせた。
それからしばらく経つけど子供たちは未だにトラウマらしく、
あれ以来、家族4人で食卓を囲んだ日はない。
……という作り話を数年前に匿名掲示板へ投稿したところ、
概ねの読者は「離婚一択」や「素敵なお義母さまが味方でよかった」
と好意的な反応を示してくれたのですが、
中には逆張りというか、ひねくれた意見がまあ出るわ出るわ。
「旦那さんは家族の健康を思ってした事なのに」
「焼き目も焦げも同じだろ」「メシマズ嫁が被害者ぶるな」
「茶色のトーストとかありえねー」「魚の皮食べて何が悪いの?」
「幼児にカップ麺食わすな」「嘘ついて仕事サボるクズ」
などなど、他にも香ばしい回答をたくさん頂きました。
「こいつら全員頭おかしい」というのが私と夫の共通見解です。
ちなみに本物の夫は怒鳴ったり椅子を投げたりしない普通の人です。
餃子が好きなのは本当です。