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結婚を約束した幼馴染じゃなく俺が君を幸せにしてみせる  作者: 風間悟
第1章:負け確状態から始まる青年の恋物語
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水族館デート⑧:デート終わり後の姉妹(真昼視点)

「ただいまー!」

「お姉ちゃん、おかえりー!」

「おかえりなさい、真昼。今日のデートはどうだったのかしら?」


 私は葉桜君と水族館に遊びに行き、帰って来たのだが、ママからデートの感想について聞かれてしまった。


「違うよ、ママ。デートじゃなくて普通に葉桜君と遊んできただけどよー」

「えー、普通男女2人だけで水族館だなんて、デートだと思うけどなぁ」

「ふふふ、そうね。ママもそう思うわよ」

「本当に違うからね!?」


 どうしてだろう。何度否定してもママたちはデートと言い張ってくる。葉桜君もデートじゃないと言ってるし、私も普通に遊びだと思ってるんだけどな……。


 でも本当は……。


 リビングに入り、今日は歩き疲れたのでソファーに座ると、優花が私が持ってる大きめの紙袋に気が付き、指をさしながら尋ねてきた。


「ねぇねぇ、お姉ちゃん。その持ってる袋は何? 何か買ったの?」

「これ? ふふふ、葉桜君が今日遊んだお礼にってプレゼントしてくれたものよ」

「葉桜先輩が!? 何をプレゼントしてくれたの?」


 興味津々で聞いてくるので、私は優花をびっくりさせるためにわざと1()()()()ペンギンのぬいぐるみを取り出す。


「私の好きなペンギンのぬいぐるみよ」

「わぁぁ、いいなぁぁ! 大きくって物凄く可愛い!」

「ふふふ、でしょ? 私のペンペン君よ」

「あらあら、そんないいものプレゼントして貰えるなんて、良かったわね真昼」

「うん!」


 多分、今の私は満面の笑みでそう答えたに違いない。だって本当に嬉しかったんだもん。誰かにプレゼントして貰えるのは嬉しい。それも気に入ってる物だったらなおさらだ。まぁ値段については気が引けるんだけどね。


 そして、優花は前回のクマさんのぬいぐるみに続き、物欲しそうにペンギンのぬいぐるみを見つめてくるので、そろそろ種明かしをしようと思う。


「ふふふ、安心して優花」

「うん? どういうこと?」


 そう尋ねてくるので、私は葉桜君が優花にも買ってくれた同じペンギンのぬいぐるみを渡してあげる。


「……え、え!? なんで、同じぬいぐるみが2つもあるの!?」

「葉桜君が優花にも……って、同じものを買ってくれたのよ。ほら、この前のクマさんのぬいぐるみ欲しがってたでしょ? だから今度は姉妹揃ってだよって」

「葉桜先輩が!? そっか……」

「よかったわね、優花」


 そう答えてあげると、優花は『えへへへ、やったぁ』とぬいぐるみをぎゅっと優しく抱きしめた。


「あら、優花にも買って上げるだなんて、葉桜君優しいわね。真昼、ちゃんとお礼は言ったかしら?」

「もちろんよ、ママ。ちゃんとお礼を言ったわ! ほんと、葉桜君からは色々もらってるから困っちゃうわ」


 プレゼントだけじゃない。彼からは健斗に対する相談や、アドバイス、それ以外にも小説の話など、彼から貰ってるものは本当に多いと思う。感謝してもし足りないくらいだよ。


「ふふふ、贅沢な悩みね。私の娘が男の子をたぶらかすだなんて思いもしなかったわ」

「だから違うからねママ! 葉桜君は、その……そう! ちょっとだけ特別な友達なのよ」

「特別な友達?」


 優花がぬいぐるみを貰った嬉しさから復活してきたようで、そう尋ねてきた。


「ええ、葉桜君は男友達だけど、色々相談にも乗ってくれるし、アドバイスもくれるわ。それに……今回の事も。健斗と喧嘩しちゃったけど、仲直りできるよう私の話を聞いてくれたりしたわ。普通の友達ならそこまでの事はしてくれないと思う。だから、特別な友達なのよ!」


 そう、特別な友達。私は葉桜君の事をただの友達だと思ってたけど、いつの間にか友達と言うより、少しだけ親密な関係になってるんだと思った。だから特別な友達なんだ。


「へぇ、……お姉ちゃん、けんにいさん以外でそういうこと言うの珍しいよね!」

「そうね。真昼は昔から健斗君の事ばっかり考えてたもんね。それがいつの間にか他の男の子の事も考えるようになるなんてね。ふふふ」


 ママと優花がそう言うので、私は確かにと思ってしまった。


(そういえば、いつの間にか健斗以外に葉桜君の事も考えている)


 ……今までそんなことなかったのに、ふと葉桜君の事をたまに考える時があることに今更ながら気が付いた。


(別に葉桜君の事が好きという訳でもないのに、どうしてかしら……)


 それがどうしてなのか、私には分からなかった。優花はそんな私を見て、ニヤニヤしている。ママもなんだか『あらあら』と呟いている。もしかして2人は何か知ってるのかな……。


「ねぇ、何で2人ともニヤニヤしてるの?」

「えー? 私そんな顔してたかな? お姉ちゃんの気のせいじゃない?」

「ふふふ、そうね。真昼の気のせいだわ」


 2人はどうやら私に話す気はないようだ。気になるから後でみーちゃんにでも聞いてみようかな。そう考えているとママから『1つだけお節介ね』と助言を貰った。


「真昼。今は健斗君に夢中なのは分かるわ。けどね、少しだけ視野を広くしなさい。きっとあなたのためになるわ」

「視野を? どういうことママ。私、別に目が悪いとかじゃないし、そりゃ健斗が好きなのはそうだけど……」


 私にはママの言ってることが分からなかった。けど、『今はまだ大丈夫よ』とママが言うので、余計に分からなくなった。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん! 一緒にぬいぐるみの写真を撮って、先輩に送って上げようよ!」

「ふふふ、そうね。それはいい提案ね! ママ、私のスマホで撮ってね」

「あ、私のもー」


 そうママにお願いして、私と優花はソファで横に並び、それぞれのペンギンのぬいぐるみを抱きしめた状態で写真を撮ってもらった。



***



 お風呂等に入り、一息ついたので今は自分の部屋のベッドの上で寛いでいる。


「何だが、パパが少し不機嫌な顔してたなぁ」


 パパが仕事から帰って来た後、同じように今日の出来事について話していたのだが、プレゼントの話をした時に『そ、そうか』と何だが複雑な表情になって、その後少し拗ねていた。何でだろ?


(今日は本当に楽しかった)


 みーちゃんらとはよく出かけたりするけど、それでも水族館等に行った事はほとんどない。だからどんな理由であれ、ああして誰かと行けたという事はほんとに嬉しいと思えた。


「君はどうして、そんなに私に優しいの?」


 そう呟きながら、私はペンペン君を突っつく。葉桜君は何時だって私を見ている。ちょっとした変化や仕草、そう言うのを感じてくれている気がする。


(何だか、言葉にすると少し怖いわね……)


 私は苦笑する。


「そうだ。みーちゃんに電話しよっと」


 少し前まではそこにいなかった男の子。そして、気がつけば私の日常に自然といる男の子。いつも私の世界を少しだけ広げてくれる男の子。


 これからもそんな日常を思い浮かべながら、私はみーちゃんに今日の話をすべく、電話をかけた。

少し長くなってしまいましたが、これにて水族館デート編は終わりとなります。


あと1話、エピローグを掲載することで、第1章は終わりとなります。

折角なので、登場人物紹介も上げようかなと思います。


第1章は転校してから1ヶ月半程度の話であり、果たしてこの期間でここまで進展出来るものかについては自分も悩んでたりしていますが、そこは読者様の感想を楽しみにしておきます。

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