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結婚を約束した幼馴染じゃなく俺が君を幸せにしてみせる  作者: 風間悟
第1章:負け確状態から始まる青年の恋物語
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水族館デート⑤:青年は少女と水族館に行く

 翌日の土曜日の朝。俺は池袋の駅で藤原さんを待っている。


「あ、おはよう。葉桜君!」

「ん? ……あぁ、おはよう。藤原さん」


 待ち合わせ時間よりまだ20分ほどはあるというというのに、藤原さんは俺が思ってたよりも早めに来たようだ。


「早かったわね、葉桜君。待ち合わせ時間までまだ20分くらいあったと思うけど」

「それを言うなら藤原さんもだな。今日はたまたまいつもより早く起きたから、早めに来たんだ」

「ふふふ、そっか! 葉桜君も同じだったんだね」


 そう天使のような笑みで俺を見る藤原さん。……俺は今日、死んでもいいかなと真面目に思えてしまった。


「それにしても、今日の恰好もまた似合ってるな。それ、この前買った服か?」


 10月半ばに差し掛かってきて、少しづつ寒気を感じる季節。ホワイトのハーフジップニットにグレー色のミニスカート、そして白のシューズ。そして艶のある長い黒髪にの上には白いベレー帽を装備している。どうやらお気に入りのようだな。


(ミニスカっていつも思うけど、寒くないのか?)


「そ、そう? ふふふ、ありがとう。ええ、この前買った服よ。葉桜君も、そのジャケットかっこいいわ。なんだかスーツに見えるわね」

「これはテーラードジャケットと言って、仕事で羽織る人も中にはいるけど、カジュアル寄りのアウターなんだ」

「へぇ、葉桜君はそういうのが好きなのね」

「普段は別の奴を羽織るんだが、今日は特別だ」

「ふふふ、せっかくの()()()だからかしら?」

「せっかくの2人っきりの()()だからだ」


 自分から遊びと昨日は言ってたにも関わらず、デートと言い張るとは……、藤原さんのいたずらには困る。まぁ俺も表には出さないけど、デートと思ってるんだけどな。


「ま、挨拶はこれくらいにして、そろそろ行こうか。品川に行くんだろ?」


 池袋にも水族館はあるのだが、イルカのショーも観たいと言うことで、今回は品川にある水族館に行くことになっている。俺もこっちでの水族館は行ったことないから楽しみだ。


 声をかけても返事が無いので、どうしたんだ?と思い、藤原さんの方に目を向けると、何故だが少し顰めっ面になっていた。


「藤原さん? 何か顰めっ面になってるけど、何かあったか?」

「……葉桜君、()()()()()()と思って」


 それを聞いて、俺はめちゃくちゃ動揺した。と言うか、俺が眼帯を外さないから不機嫌になるとか、可愛すぎるだろ! ……なので、少しだけいじわるしたくなる気持ちが湧くのも無理はないと思う。


「へぇ、藤原さんはそんなに俺の()()が見たいのかぁ」

「ふぇ!? だ、だって、この前は雫ちゃんたちがいるときに見せてくれたし、……その、今日は私たち2人だけなんだから、大丈夫かと思ってて……」


 思わぬ反撃を受けたかのように藤原さんは狼狽え始める。その間俺はニマニマしていたのだが、それに気づいた藤原さんはジト目になった。


「…………いじわる」


 少しいじわるし過ぎたようだ。まぁ確かに今日は藤原さんと2人っきりなんだし、わざわざ既に素顔を晒してる相手に眼帯を付けたままにするのは、相手にも悪いか。俺は苦笑しつつ()()を外し、()()を晒すことにした。


「すまない、少しいじわるが過ぎたな。……ほら、これで許してくれ」

「ふん! 最初っからそうしていたら良かったのよ。……ふふふ、やっぱりあなたの素顔を見るのは何だが新鮮だわ」

「そりゃ、普段は眼帯で隠してるからな。ほれ、そろそろ行かないと、水族館で楽しむ時間がどんどん減っていくぞ」

「ええ、そうね。そろそろ行きましょうか!」


 そう答える藤原さんは本当に楽しみにしてるんだろうな。いい笑顔だ。


 そこでふと、藤原さんは何か閃いたかのように、それでいていたずらっ子のような表情になり、俺に尋ねてきた。


「ねぇ、葉桜君? 眼帯は今のところ雫ちゃんや月城君、それと私の前でしか外さないのよね?」

「そうだな。それがどうした?」

「ふふふ。じゃあこれからは、私以外誰もいなかったら、外してくれるってことね!」


 そんな破壊力抜群の上目遣いで言ってこないでくれ。それに対する答えなんて、1つしかないじゃないか。


「……そうだな」

「ふふふ、照れてるー」


(はい負け! 俺の負けですぅ)



「そういえば、ちゃんと高橋とは仲直りできたのか?」


 電車に乗り、品川に向かってる最中に俺は昨日の放課後、高橋とどうなったのか気になったので、聞いてみることにした。何せ、昨日は藤原さんからどうなったのか報告を受けてないからな。


「ええ、ちゃんと仲直りしたわ。お互いに言い過ぎたってね」

「そうか。あいつもアレで相当懲りただろ」

「どうかしらね。健斗がそれで治るなら私は苦労しないわ」

「心中お察しするよ」


「因みに、今日のことについてはちゃんと説明したのか?」

「説明してないわよ」

「はい?」


 いやいや、何言ってるんですか、藤原さん。高橋に説明しないでどうすると言うんだ……。


「説明してないって、何で?」

「何で、と言われてもね。……別に言う必要もないし、ふふ、たまには健斗にも罰を与えないとだわ」

「うーん、なんという悪女ムーブ。ま、今回の件はあいつの自業自得だからまぁいいか」


「ええ、そうよ。だから今日は何も考えず楽しみましょう!」


 まぁ彼女がそれでいいなら、俺がとやかく言う必要はないか……。それに俺も、純粋に藤原さんとこうして出掛けられることに感謝してるんだしな。


「話は変わるけど、葉桜君の小説やっぱり面白いわ。前に読んだ内容から少し変わってて、新鮮な気持ちでまた読めてるのが楽しいのよね。みーちゃんや村田さんからも高評よ」

「まだ数話しか上げてないけど、そう言って貰えると嬉しいな。村田さんが恋愛小説とかが好きだと知った時は驚いたけどな」


 現在、俺が執筆した小説"俺は幼馴染に2度初恋する"は1日1話のペースで投稿するようにしている。元々は2日に1話のペースにする予定だったけど、それだと約1年かかってしまうので、毎日投稿に切り替えたのだ。


 それに、元々話は出来上がってるんだから、わざわざ出し渋るのも可笑しいしなという考えもある。いつか()()()書籍化したらいいなとは思うが、あっちの執筆も色々残ってるので当分先だろうな。


「村田さんは根は真面目だけど、中身は私たちと変わらない女の子なのよ。恋愛小説とか読んでても可笑しくないわ」

「それもそうだな。何せ、うちのクラスの女子たちは俺たちの絡みにただならぬ妄想を抱いてるようだし?」

「な、なんのことかしら? わ、私には何を言ってるのか、分からないわよ」


(物凄く目が泳いでるぞ。というより、この反応からして、俺と如月さんが繋がってる事はまだ知らないようだな)


 以前、如月さんと今後の方針を話した際、今の関係は当面俺たちだけの秘密とし、何処にも口外しない事にした。言っちゃえば、そのほうが楽しそうだったからだ。



***



 電車に揺られて30分ほど経ち、俺たちは品川に到着した。その間、藤原さんとは月末にある文化祭についても話していたのだが、何やら男子たちの視線が少し怪しいと女子たちの間で話題になっているようだ。


 藤原さんに『何か、知らない?』と聞かれたが、俺も知らなかったので、素直に知らないと返すしか無かった。俺に黙って何か考えているようだが、そうはいかないんだなこれが。


「ここから、少し歩いた所にあるんだっけ?」

「そうよ、大体10分もしないうちに着くわ。葉桜君は都内の水族館は始めてなのよね」

「あぁ、埼玉にある水族館なら雫たちと何度か行ってるが、都内のは初めてだな。だから割と俺も楽しみなんだ」


「ふふふ、確かにそれは楽しみだね! でも意外だなぁ。葉桜君、こういうのも好きなんだね」

「言わなかったっけ? 俺、どっちかと言うと騒ぐより、物静かな所とかが好きなんだよ。だから水族館や動物園とかそういうのが好きなんだよ」


 そう答えれば、『確かに前、そんなこと言ってたかも』と藤原さんは答える。まぁ俺もいつそんな話をしたか覚えていないので、本当に言ったか怪しいな。


(にしても池袋や新宿ほどじゃないにしても人が多くて凄いな)


 意外と人通りが多いことに驚きつつ、俺は藤原さんが歩き辛くならないよう、人混みが少ない所に誘導しつつ、目的の水族館を目指すことにした。

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