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結婚を約束した幼馴染じゃなく俺が君を幸せにしてみせる  作者: 風間悟
第1章:負け確状態から始まる青年の恋物語
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前期期末テスト②:ファミレスでのよくある日常

 放課後の勉強会を行った翌日、俺たちは学校の図書室ではなく、学校から少し離れたファミレスに来ていた……。理由は明白で、想像以上に図書室に生徒が集まっていて席を確保することができなかった。


 学食でやるという話もあったのだが、そっちも同様でいい感じに席がなかったので、適度に休憩も挟めるファミレスにしようということになったのだ。


「はぁぁ、やっぱりファミレスだとドリンクバーで好きなのを持ってこれるからいいわよねぇ……」

「そうだね、みーちゃん。でも、飲み過ぎると大変だから適度が一番だからね」

「はーい!」

「なんか、1人だけ学生とは思えないようなの飲んでるんだが……」

「ん? 俺の事か?」


 高橋は何故か俺の事をありえないのを見ているかのような眼差しで見てくる。それは雄太も同様で、真夜って大人だぁなんて言うもんだから、苦笑する。


「コーヒーを飲むくらい別にいいだろ。勉強とか集中するのに一番適した飲み物だぞ」

「いや、だってよぉ。それブラックだよな?」

「ブラック飲めるのは純粋に凄いと思うよ。俺も前飲んだことあるけど、苦くて無理だった。カフェオレとかなら飲めるんだけどね」

「意外だな、雄太は飲める方だと思ったんだが……」

「ははは……こう見えて俺は昔から苦いのが苦手なんだよ」

「へー、柊君に意外な弱点だ!」


 山口は少し意外そうな口調でそう言った。確かに人は見かけによらないと言うもんな。藤原さんもそんな表情だった。


「まぁいいんじゃないか? 好き嫌いは誰だってあるんだし」

「それ言ったら、葉桜は何が苦手なんだ?」

「俺か? こんにゃく」


 なんだろう、あのぶにぶにした触感が苦手なんだよな。あと開封した時の独特な匂いとか……。だからおでんとかでこんにゃくをよく食べる奴らの考えが分からない。あんな不気味な食べ物の何がいいんだ。ちなみに俺がこんにゃくが苦手だと言ったら、みんなから爆笑された。解せぬ……。


「ほら、無駄話はこれくらいにして、そろそろ始めるぞ。今日は何から始める?」


 これ以上は埒が明かないと思い、さっさと話を本題の勉強会に切り替えた。俺と藤原さんを除いた3人の苦手な教科のうち、英語の次が現国だったので、それを始めることにした。恐らく俺と藤原さんにとって一番楽な教科だろうな。


「いいか? 全ての漢字を覚えろとは言わん。あの先生の事だ、楽な漢字より出されたら嫌だなって思うような漢字を出すはずだ。だから、これとかこれ、こういった漢字をまずは覚えていけ」

「あと、読解力については、まず声を出して読むこと。テストに出てくる話は教科書に載ってるものしか出ないから、声を出して読むことで、頭に入ってくるわ」


 俺たちの得意分野でもあるので、昨日以上にやる気に満ちていたのか、3人とも頭がショートしたかのように、うなだれながら勉強をしていた。



 ***



「今日はこれくらいにしておきましょうか」

「そうだな。これ以上詰め込んでも、3人とももう無理そうだしな」

「もう……、現国は十分です……」


 大体3時間ほどみっちり勉強したのだが、3人とももう限界と言わんばかりに集中力が切れていたので、今日の勉強会はこれで終わりとなったので、それ以降は普通にだべっていた。


「あれ? みーちゃん、なんか顔赤くなってない?」

「え? うーん、そういえば少し顔が熱いかも? 勉強疲れかな」

「知恵熱なんていう冗談はやめてくれよ? 仮に風邪の前兆だとしたら早めに帰ることを進めるぞ」

「そうだな。真昼に風邪が移っても困るし、早めに帰った方がいいんじゃないか?」


 おいこら、俺たちはいいのか、俺たちは……。そんな眼差しを雄太と一緒に高橋に向けると、俺たちの視線に気が付いたのか、さっと視線を逸らしやがった。


(ん? 何やら藤原さんと山口の俺たちに向ける視線が若干《《生暖かい》》ような……)


 まぁいいか。若干《《視線》》が気になったが、それはまた今度調べてみればいいさ。そういった調査をするのもなんか楽しそうだし……。


 風邪については気になるので、そろそろ解散にした方がいいと話がまとまってきたので、最後に明日と休日についてどうするかを聞いてみた。


「明日はまたファミレスでいいよな? それと休日はどうする? 俺は土曜、埼玉にいる友人に会いに行くから勉強会には参加できないんだが……」

「うーん、私たちも土曜日は無理かなぁ。私は土曜日、サイン会に行きたいし……」

「なら、明日はファミレスで、土曜日はみんなお休み! それで日曜日にまたみんなでやるってのはどう?」


 山口が日曜までの予定をざっと決めてくれたので、俺たちはそれで了承した。日曜だと、ファミレスで長時間席を占領するのはお店に悪いし、ここは……。


「だったら、日曜日は俺の家で勉強するか? 一人暮らしだし、そこそこ広いんだ」

「お、マジで!? 葉桜の家ちょっと気になってたんだよな!」


 そう高橋は食いついてきて、雄太も雄太でどんな部屋なのか気になっているようで、俺も見てみたいかもと同意していた。


「葉桜君のお家かぁー。まひるの部屋みたく本がいっぱいありそうだね! ねぇまひる!」

「え、ええ! 私もどんな本があるのか気になるわ!」

「おいおい、勉強しに来るんだぞ? まぁ息抜きで部屋を見せる分には構わないが……」


 そんなこんなで日曜日どこで勉強会を行うかが決まったので、俺たちはファミレスを出ることになった。その際、藤原さんは高橋にサイン会について聞いていた。


「ねぇねぇ健斗、さっきも言ったんだけど、明後日いつも行ってるショッピングモールで私の好きな作家の先生のサイン会があるんだよね。だから……ね、一緒に行かない?」

「はあ? なんで俺が……。いやだよ、サイン会なんて絶対つまんないじゃん」

「えー、でも私と久しぶりに出かけられるんだよ? 来てくれるよね?」

「ぐっ……。ま、まぁ真昼がどうしてもって言うなら付き合ってもいいぞ」

「ふふふ、じゃあ約束ね」


 くっ、なんて羨ましい上目遣いで高橋を見つめるんだ……。あんなの絶対に恋に落ちるだろ! いつか俺にも向けてもらいたいものだが、いかんせん俺は彼女にとってただの友達枠でしかない……。この無情な現実からなんとか脱却せねば。


 そんなことを考えていると、俺の視線に気が付いた雄太が、『真夜頑張れよー』と笑いながら言うので、俺は背中を軽くどついた。


 そうして俺たちは互いに家へ帰っていったのだが、翌日山口は熱を出したようで学校を休むことになった。南無……。


 なお、サイン会についての結果については既にご存知の通り、まぁお察しだ。高橋が軽口でやらかして、俺が藤原さんを励ました。着々と好感度が上がってると信じたいものだ……

今回のお話は何かが進展するとかではなく、普段のよくあるようなテスト期間の日常として書かせて頂きました。


一応、ここで既に投稿済みのサイン会について、幼馴染との約束を入れています。


本編に入れていない設定として

彼女は真夜のアドバイス通り、2日前に予定をねじ込むことに成功したので、そのことを夜、嬉しそうにLIMEで報告するというエピソードを入れようと思っていましたが、蛇足と思い、入れませんでした。


エピソードには入れませんでしたが設定上、報告された側の彼は内心悶えてつつも、必死に平常を装って「よかったな」と彼女の行動を褒めています。


また、藤原さんが葉桜君に対して、サインを書いてきてもらおうかと提案する話についてですが、既に別の話で言及しているので、わざわざ書く必要もないので割愛しました。

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