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【コミカライズ企画始動!】あやかしダンジョン配信記~底辺配信者の俺、妖怪の地遠野にて美少女座敷わらしと共にダンジョン配信したらバズって大変な事に~  作者: 十凪高志
第三章 妖狐と殺生石ダンジョン

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第54話 狐たちの宮

「来たか」


 声が最奥の広間に響く。

 そこは煌びやかな装飾に彩られ、金箔で飾られていた。

 巨大な御簾の奥に、大きな影がある。声はその巨体から発せられていた。


「思うてたより……早かったな」

「私の使った殺生石の回廊を見つけ出し、使ったのでしょう、御前」


 妖狐・玉鋼が言う。


 かつて玄翁和尚が破壊し、各地に飛んだ殺生石。

 それが落ちた場所はその妖力によって空間が歪み、簡単なダンジョンと化している。

 ダンジョン……迷宮と言うよりは、次元回廊といった方が正しいだろう。

 この那須の殺生石と、各地を繋ぐ道だ。


「欠片の跡地か……忌々しい」

「ええ。他所の殺生石の欠片は無事回収できたのですが……」


 玉鋼とその仲間たちは、各地に散った殺生石の欠片を回収していた。


 欠片たちはその地その地で殺生石と崇められ、注連縄を飾られ社を建てられたり、史跡として保護されたりしていたので発見と回収は簡単だった。

 全ての殺生石の欠片が集まれば、悲願たる大妖怪、玉藻前の復活は成る――



 はずだったのだ。


 だが。


「おのれ遠野……! あろうことか「水田作るのに邪魔」という一言で、殺生石の欠片を壊して捨て去るなど……!

 奴らには伝説に対する畏敬というものがないのか!!」


 御簾の奥で怒りに総身を震わせる影。


 必死に探させたが、遠野の殺生石の欠片の行方は知れなかった。

 小さく砕かれて河原の石にでもまじったか、あるいは――アスファルトやコンクリートの材料にでもなってしまったか。


 そうまでなってしまえばもはや取り戻す事など不可能であった。


「殺生石だぞ! かつてこの国を震わせた伝説の大妖怪、金毛白面九尾狐玉藻前のその遺骸だぞ! 毒を吐いて生き物を殺す石だぞ!? まともな人間なら畏怖と畏敬を持って大事にするだろうが!!」

「遠野の人間は、まともではないのではないでしょうか」


 玉鋼が言う。

 確かにまともとは思えない。


「……まあよい。しかし計画は変更を余儀なくされたとは言え……順調だ」

「はっ、全ては御前の意のままに」


 玉鋼は頭を下げる。


「この娘、鈴珠……彼女こそが」


 そして鳥居に磔になっている少女、鈴珠を見る。


「玉藻前復活の鍵……生贄。彼女を捧げる事で我らの大願が成就する」


 その言葉に。

 控えていた狐たちが沸き立つ。


「復活! 復活!」

「玉藻前の復活!」

「我らの悲願!」

「そして我らの新たなる主!」


 歓喜の声を上げる。


「そうだ。我らの主、偉大なる九尾の狐、玉藻前様の復活こそが我らが悲願、我らが大願!

 そのための準備は整った!」


 玉鋼は宣言する。


 今日、この日こそが大願成就の日であると。

 そして妖狐の一族が――人間の大半を支配し、君臨するのだ。

 そのために必要な生贄が――


「あの小僧の死。それこそが、望まれている」


 御簾の奥で影が言う。


 そう、玉鋼たちに力を貸す人間達。彼らは、あの菊池修吾という少年の破滅を望んでいる。

 自分たちが探していた、あの妖狐の少女――鈴珠を手に入れた人間たち。連中と交渉し、手を組んだまではいいが、菊池修吾がその鈴珠を逃がしてしまった。


 最も、奴はネットで愚かにも自分たちの行動を配信していたので、見つけるのは実に容易だった。所詮は人間、愚かな生き物だ。

 人間たちは菊池修吾の破滅を依頼してきた。そのためには更なる協力、支援を惜しまないとのことだ。

 これは利用できる。


「人間達にも、存分に見せつけてやろう」


 そして玉鋼は幻術を発動させる。


 人間社会で知り、そして学んだ配信というもの――それを幻術に応用したものだ。

 幻を電波に乗せることで、配信をジャックすることが出来る。

 菊池修吾の姿を使い暴れたせいで、人間たちの注目も大きくなっている。

 人間たちの使う機械の端末に、幻覚を映し出す。


『ん?』

『なんだこれ』

『画面がおかしい』

『ウイルス?』

『なんだこいつ……』

『あれっこいつこないだの偽キチクじゃん』

『おい配信者、お前なんかしただろ!』

『マジかよ……』

『乗っ取られた!?』


 あっという間に混乱するコメント欄。


「ふはははははは!!!」


 玉鋼は高笑いする。

 これでいい。


「さあ、始めよう」


 そして、惨劇が始まる。


「ようこそ人間達よ。私の名は妖狐玉鋼。

 大妖・玉藻前様の復活の儀を執り行う祭祀である!」


『え?何これ』

『たまご?』

『玉藻って九尾の?』

『何が起きてるの』

『イベント?』

『はぁ?』

『何を言ってるんだコイツ』

『とうとうイカれたか』

『病院行けよ』


 空中に幻術により投影された画面にコメントが流れてくる。

 それを見て玉鋼は満足そうに笑った。


「さあ……菊池修吾よ。人々はお前が無様に苦しむ姿を楽しみにしているぞ」

「玉鋼よ。首尾は上々か?」


 御簾の奥から影が問いかける。


「はっ。この宮殿には数多の罠が仕掛けられております。狐の術を巧みに使い、人心を惑わし発狂させ、心を壊す大迷宮。

 彼奴めは此処にたどり着く事なく、壊れて倒れゆくでしょう。

 それを肴に、玉藻前の復活の儀を――」


 そう言い、玉鋼は幻術による映像を浮かび上がらせる。


 菊池修吾の姿を映し出すためだ。

 迷宮に入り込んだ修吾は、きっと迷宮の罠に翻弄されていることだろう。


 そこには――



『うおりゃああああっ!!』



 ひたすらに、壁や窓をぶち破って一直線に進んでいく修吾の姿。


「えっ」

「えっ」

「え」


 玉鋼や狐たちが啞然とする。


 そしてコメントには……



『知ってた』

『知ってた』

『知ってた』

『知ってた』

『知ってた』

『知ってた』



 彼を知るリスナーたちが、平常運転だなあ、と語っていた。

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― 新着の感想 ―
それこそ 伊弉冉様激おこ案件だぞ変態狐
[一言] やばい、シリアスさんが息をしてない。
[一言] 知ってた
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