『はじめに』
以下は、報告書の作成にあたり、協力していただいた新月栄都からの伝言である。
「ノリだけで書きましたので、テキトーに楽しんでいってください!」
うむ、その通りである。
なろう読者、なろう作家の諸君、いきなりだが、ナーロッパというものはご存知であろうか。
ナーロッパという言葉には、様々な印象をもつ方々がいるはずである。薄っぺらいだとか、ご都合主義だとか、わかりやすいだとか、使いやすいだとか、そもそも何かわからないだとか。
ただ、どうやらその知名度は一部の界隈では高いようである。
ご存知ない方に一応説明しておくと、ナーロッパとは、『小説家になろう』で頻繁に舞台となる、必要最低限のみの描写で許されるファンタジー世界の総称である。
この報告書では、ナーロッパとは一体何なのかということから、『小説家になろう』の作品からはあまりみられない実態までを、私の独断と偏見で語っていこうと思う。
まず言っておきたいのは、ナーロッパを管理している私としては、その知名度の高さは喜ばしい、ということである。
そこは誤解しないでいただきたい。
ナーロッパという用語に悪い印象を持つ者もいるだろうが、私としてはこの世界にも愛着はあるのだ。ゆえに、作者諸君、読者諸君に対しては、私の名においてこの世界を存続させるよう努めることを約束しよう。無論、この世界のことを完全に忘れ去られてしまった時には元も子もないのだが、少なくとも私にナーロッパを根絶させようなどという過激な意図はない。
しかし、最近困ったことが出てきたのである。
というのも、他の管理者からの批判が増えてしまったのである。
他の世界の管理者や、ナーロッパの中のそれぞれの世界の管理者、それからナーロッパや他の世界を統括する管理者からは、どうも私は過小評価されているようである。
ああ、そういえば、まだ私の立場について詳しく説明していなかったな。この辺りではじめのうちに私の境遇について理解していただきたい。
まず私は、簡単にいえば中間管理職である。
他にも管理者は大勢いるのだが、全てそれは物語の世界を管理する、いわゆる神のような存在である。正直神というほどのものでもないような気もするし、それぞれの世界の思想もあるので何とも言い難いのであるが、とりあえず私の通称は『ナーロッパ神』ということになっている。
上司には、ファンタジー世界を管理するファンタジー神がおり、同僚にはナーロッパ以外のファンタジー系物語の神、例えば中華ファンタジー神、超本格ファンタジー神などがいる。そして部下にいるのは、それぞれの作品ごとに作られたナーロッパのジャンルに属する世界一つ一つの管理者達である。
しかし現状は、上司にも同僚にも、部下にすらも、私は見下される始末である。上司や同僚からは世界内の文化や法則についてなじられ、部下にはナーロッパを嫌うものが現れ、他の世界へと移転していく者もいる。
つまり、正直に言ってしまえば、今のナーロッパ界には、現状に満足して留まっている管理者が多くなってしまったのだ。
私はそれをとても悲しく思う。
ナーロッパにはナーロッパなりの良さがあるのではないか。
もちろん私とて自分の管轄する世界に不満がないかといえばそうでもなく、愚痴を漏らしてしまうことも多々あるかもしれないが、ナーロッパの水準を上げられるよう、努力していきたいと思う。
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