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怠惰な冒険者の日常  作者: 黒芋
2/2

ある冒険者の食事(蛇肉編)

「今日はどうすっかなぁ」


と、いつもの様に空を見ながら呟く。もう朝ではなく昼の時間だ。


「昨日の魔物討伐で疲れてるし、今日はのんびりするかぁ」

(昨日メチャクチャ頑張ったしな!うんうん)


とそこまで疲れてない自分に言い聞かせる。

今日は昨日臨時パーティーで魔物討伐の依頼を受けたので懐が暖かい。この様子だと2日は懐事情は問題無いだろう。


「腹が減ったし食いながら考えるかぁ」


と頬を少し緩ませながら足早に飯屋に向かう。


「今日は何を食うおうかなぁ久しぶりに奮発するか」


とウキウキしながら良い匂いを漂わせてる飯屋の扉を開ける。


「いらっしゃいませ!鉄腕亭へようこそ!空いてる席にご自由にどうぞ!」


と看板娘のカーラが大きな声で接客する。くすんだ茶色の髪を後ろで縛って一本にしてる。髪がフリフリしてて可愛いい。

今は丁度昼時で一番忙しい時と言っても過言ではない。カーラが行ったり来たりと世話しなく動いている。


(空いてる場所がカウンターしかねぇな)


とカウンター席に座る。

ここは通称()()()()亭。

ここがゲンコツ亭と呼ばれる理由は、騒いでる客や迷惑な客が居れば厨房から店長自ら出て来ては、客に鉄拳制裁を加えるからだ。

ここの店長は熊の様な大男でその腕はまるで丸太のようだ。

一回酒が回って騒いでる所に鉄拳制裁を貰った事があるが、あれは死を覚悟いした。


(あれは頭が吹っ飛ぶかと思ったな、つか酔ってる時に頭殴るのはマジで死ねるからやめてほしい)


そんな店に人が多く俺も頻繁に通うのは飯がとても美味いの一言だ。

ぶん殴られてもここの店に通う奴等は多い。他の飲食店も悪くないが、やはりここが一番だ。


「おう!フィル!らっしゃい、今日は何にする?」

「ブルアンさん邪魔するぜ。オススメはある?」


この熊の様な店長の名前はブルアン。ブルアンさんとは、ぶん殴られる前からの知り合いである。つか知り合いを手加減なしに殴るかね普通。


「そうだな。今日は朝に仕入れたブラック・サーペントの肉を入れたシチューなんてオススメだぜ?」

「お、いいねぇ。じゃそれをお願いするぜ」


ブラック・サーペントは簡単に言えばデカイ蛇である。

戦闘になればD級冒険者ならまず負ける事が無いが、コイツは普段木の上で潜んで獲物が来れば上から奇襲をしてくる狡猾な魔物だ。


(ブラック・サーペントか、今日はツイてるな)


そしてコイツは美味い。そう美味いのだ。普通蛇の肉は淡白でクセがなく水っぽいのだが、コイツの肉はコクがありジューシーなのだ。牛や豚かと思う程噛めば噛むほど肉汁が溢れてるくる。魔物だから魔素を含んでいる肉はとにかく美味い。獣系や爬虫類系の魔物の肉は美味いってのが世界共通の認識だ。人系や昆虫系は道楽の世界ではあるが。


「ブルアンさんブラック・サーペントとは随分奮発したんじゃねぇのか?それも今の時間売り切れてねぇ所を見るに1匹丸々買ったって事か?」

「おう、わかるか。昨日と今日でブラック・サーペントやらワイルドボアやらの魔物が市場にゴロゴロと置いてやがったぜ。そのおかげで安く買い叩けたぜ」

「安く?魔物がそんなにか?」


と調理中のブルアンさんと談笑しながら考える。

魔物の肉は皆がこぞって買いにくるから基本部位事に取引される。それを安く買えるって事は市場に大量に出回ってるて事だ。


(そういえば昨日も、だいぶ遅い時間なのに魔物の討伐依頼が沢山あったな。)

「もしかしたらスタンピードの前兆かもな。なんてな!ハハハハッ!」


とブルアンさんが厨房で笑いながら答える。


「もしそうなったらこの街出て安全な街に避難するかぁ」

「おいおい、フィルそれでも冒険者かよ。っと出来たぜ」


と目の前に出来たてホヤホヤなシチューが出される。


「お、来た来た!待ってました!」


ブラック・サーペントの肉がゴロゴロ入ってるのを見て思わず頬を緩める。そして匂いが素晴らしい。今すぐ食いつきたい衝動を抑えつつ匙で大きな肉と一緒にシチューを掬った。

喉が鳴る。そして匂いの誘惑に負け、口に入れた。


美味い。


肉の味とミルクとバターがとても合っている。肉は噛めば噛む程美味くそして肉汁とバター、ミルクが混ざったスープはかすかに甘く、こってりとした味だ。


美味い。この一言に尽きる。


「ブルアンさんこのシチューとても美味いよ。たぶん今まで食った中で一番だ」

「またまた大げさな奴だな。いつも一番美味いって言ってるじゃねぇかよ」

「そうだっけ?」

「そうだよ」


と言いつつ目はシチューに釘付けだ。脇目も振らずシチューをがっつく。


ああ、美味い。


シチューの旨みをたっぷり含んだポテトを口に入れるたびに脳と胃袋が喜んでいるのがわかる。

今度は肉とチーズを一緒に頬張る。これも美味い。

塩気がしっかりしてコクが強めな超濃厚チーズと何時間も煮込まれトロトロなジューシーな肉これが合わないハズがない!

ものの数分でペロリと平らげる。


「ブルアンさん、あんた天才だよ!。おかわり!」

「はいはい、ありがとよ」


俺は数分至福の時間を過ごした。


「ふ~ごちそうさま!美味かったよブルアンさん」

「おうよ、いい食いっぷりだったな。料理人冥利に尽きるってもんだぜ」


少し食休みをして店を出る事にした。


「お~いカーラ会計頼む」

「は~い今いきまーす!」


と奥のほうからトテトテと小さな体を揺らしながら近づいてくる。


「えーと、シチュー3皿で銀貨2枚と大銅貨4枚です」

「う、やっぱり食いすぎたか。あいよ銀貨2の大銅貨4な」

「はい丁度です。ありがとうございました!またのご来店お待ちしております!」

「ああ、また来るよ」

「お~また来いよ。だけど騒ぎには来るんじゃねぇぞ」


ゲンコツ亭を出てのびをする。


「さ~て今日はどうするかな。」


今日もいつもの日常が来る。

貨幣と日本通貨の換算例

  銅貨  10円

 大銅貨  100円

  銀貨  1千円

  金貨  1万円

 白金貨 10万円

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