夜行さんの『予想外な一日』 1
夜行さん視点で進みます。過去回です。
―夜行さん視点―
一瞬にして噴水の水が無くなった。
多少ではあるが、これで注目されるはずだ。
そう信じてわざわざ河童に徳島まで来てもらい、商店街にある噴水の水を無くしてもらった。
今、妖怪が集結している場所は徳島県の商店街。ポッポ街にある「愛の泉」。
噴水はハートの形になっており、下には大吉・中吉・小吉と文字が書かれている。ほんの少し前までは、恋人が小銭を投げて、二人の運勢を占っていた。
それにしても、河童と会うのは久しぶりだ。昔に着ていた着物ではなく、今どきのスタジャンを着こなしている。
さすが、人間に「名のある妖怪」だ――。
着ている服装から違う。それに妖怪としての力も。
俺が感心していると、ふいに山童が羽織の袖をギュッと掴んできた。山童の顔には不安の色がありありと浮かんでいる。
俺は「大丈夫だ」と山童の頭を撫でた。
山童はほんの少し前に仲間になったばかりだ。消えそうになっていたところをちょうど拾ったのだった。
――噴水の水が無くなったとあらば、原因を解明しにくる。そして、その原因が分からなければ正体の分からないモノ。つまり妖怪のせいにする……。それが人間というモノだ。
これで大昔ほどではないけれど。多少は妖怪が認知されるはず。
そう思っていたが。
「…………」
数日経っても人が来ない。
「夜行さん……」
「…………大丈夫だ」
山童の顔色はさらに悪くなっている。俺は山童の問いかけに、努めて冷静に答える。
これまで、妖怪は人にいたずらをすることで存在を認知させてきた。だから今回も同じことを。
そう考えていたところに。
「なんだ。これまた珍しい妖怪の集まりだな」
いつの間にいたのだろう。
――――巫女服を着た女が噴水の真ん中で仁王立ちしていた。
番外編はじまりました!今のところ、三話くらいで終わるお話かなと思っております。
ちなみに徳島県の商店街、ポッポ街とは実在する商店街です。
私は徳島県に住んだことも、行ったこともないので。ここからはネットの受け売りになってしまいますが。
昔はアニメイトやメイド喫茶があったらしく、秋葉原的な立ち位置だったようです。
今ではシャッターが下ろされているお店もあって、ちょっと寂しい雰囲気になってしまっているのだとか……。




