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第六章 -再生編-

西暦3276年-Atmosphere-


挿絵(By みてみん)


桜「セラさん、よくその体にあれだけの食べ物が入りますね」


セラ「はい、あすみ先輩ほどでは無いですが…沢山食べると評判でした。」


桜「ちょくちょく出て来る『あすみ先輩』って誰なんですか?」


セラ「えっ桜知らないのですか?」


桜「知らないと、おかしい事?」


セラ「灯火の神社に祀られている神様ですよっ」


桜「えっえええ?セラさん天帝様に会った事があるの?」


セラ「はい、昔は仲良しでした。100年以上のお付き合いでした。」


桜「セラさん意外と年増ですね。おばあさんですね。」


セラ「いえいえ、私は享年18歳です、少女です!未成年です。」


桜「おばあちゃん……」


セラが急にビクンと跳ねた。


桜「えっいきなり何?」


セラ「そんなっ……何故?」


空が輝き始める。


桜「あれは?」


挿絵(By みてみん)


2体の光り輝く少年の姿…


セラ「ルシフェルZ……なんで………」


桜「あれがアスラ?」


セラ「はい、灯火が倒したのはボロボロでしたけど……アレは新品です。」


桜「灯火はまだ治らないし……私が戦うしか無いようですね。」


セラ「えっ……まあ、天罰機は基本的に誰でも運転出来るように出来ていますが……」


桜「セラさんサポートよろしくっ」


セラ「はい、でも気を付けて下さい。アレはアスラの王とも呼ばれる強敵です。」


桜「なるほど……王、帝、つまり宇宙の帝国!……なんとなく解りました。」


セラ「今となっては天帝と王4体しかいませんが……」


桜「私達は悪の帝国と戦う『聖なる騎士』なんですね、

そうですね。そうだと言って下さいセラさん」


桜はセラをかっくんかっくん揺さぶる。


セラ「おっ落ち着いて下さい桜……いつもどおり変ですよっ。」


桜「赤や緑のビームの剣とか無いんですか?もって振り回せる奴。パープル希望ですっ。」


セラ「いえ、そのような物は……拳銃じゃダメですか?」


桜「飛び道具などっ邪道。」


桜の危険スイッチが全部ONになった。

桜は凄い勢いでバイラヴィをよじ登り搭乗した。


桜「『フォース』と共にあらん事をっ。」


挿絵(By みてみん)


セラ「桜………。不思議な事に勝てそうな気がしてきました………」


バイラヴィは上昇し、ルシフェルへ向かって行った。



西暦2265年-Stratosphere-


挿絵(By みてみん)


セラ「わーわーわーーーなんだか警告が沢山で大変な事になってますよ、金ぴかたいちょー」


空「そうだね、力を合わせたアスラとクシャトリア……彼らだって、そう簡単には……」


セラ「え?たいちょー、こっちに向かって来る機体があります。凄い速度です。」


周辺にいたアスラや天罰機が次々と吹き飛ぶ。


挿絵(By みてみん)


真っ黒で天罰機より一回り大きい姿。


セラ「あれは……」


空「……あの機体は?」


セラ「人罰機カーリー。たいちょー彼女は危険な香りがします、悪女です。」


タラ「セラっ停止しなさい。」


セラ「えっ……ああ、タラお久しぶりですねー。たぶん。」


タラ「セラ貴方に反逆罪で捕縛命令が出ています。」


セラ「え-牢屋はもうイヤですよ-ご飯美味しくないですよ。」


空「下がれ……」


タラ「バイラヴィ……卒業したのですね………空」


突如現れた光がバイラヴィを貫く。


エンジンに直撃を受けたバイラヴィは降下を始める。


空「あれは……何?」


挿絵(By みてみん)


未希みき「この方は人罰機カーリー。人を裁く最強の存在」


空「君は確か……牢屋で会った………」


未希「クシャトリアは全て滅ぼす。アスラはもう用済み。」


空「なぜ……」


未希「クシャトリアに成った時思った……私は必ず生き残るんだって………」


未希「あの変態達の玩具になってでも………必ず……………」


空「奴らを倒せば君も人間に戻れるんだよ……」


未希「嘘だっ。」


未希「お前たちだって勝てば私を……」


未希「それにクシャトリアを全て倒せば卒業させてくれる」


未希「今度は私が全てを支配してやるんだっ。」


空「君は……それでも………運命に………抗う…………」


空の口から美しい歌が発せられる。


空「本当は……誰よりも…………世界を………愛してるのに…………」


未希「だまれっ」


カーリーから光の束が放たれる。


バイラヴィの手前で光の束が捻じ曲がる。


推力を失ったバイラヴィは地上へと落下する。


未希「お前………」


空「君は………本当に…………うつくしいね………………」


光り輝く光臨を持ったアスラの帝。


天帝『空』の姿がそこにはあった。


挿絵(By みてみん)



西暦3276年-Atmosphere-



桜「R2っ右、弾幕薄いぞっ、ファランクスを撃つときは3連正射っ基本だ覚えておけっ!」


セラ「私はR2では無いですよ。セラですよ」


桜は超人的な操縦でバイラヴィを操る。


二体のルシフェルを翻弄し、確実にダメージを与えている。


セラ「桜さん凄いです!まるで、あすみ先輩みたいです!!」


桜「奴ら、いくら金ぴかでも地上では重力に縛られている。なので軌道を読めば勝てる。」


桜「考えるなっグラビティーを感じるんだっ!」


セラ「はっはい……」


桜「レーザーナイフ起動、R2っもう一体をけん制、座標3っ、25の4、射角32.5度、ファランクス撃てっ」


セラ「ははっ。ファランクス三連正射。」


バイラヴィは一体のルシフェルZの腹をレーザーカッターで切り裂いた。


挿絵(By みてみん)


桜「もう一匹っ」


セラ「凄いのです桜……」


桜「私の事はマスターと呼べ、R2」


セラ「御意っ!マスター桜。」


バイラヴィは残ったルシフェルZを突き刺したまま大気圏を超える加速を行う。


大気圏を突破すると熱と摩擦でズタズタになったルシフェルZが砕け散る。


桜「さてさて、暗黒面に落ちたラスボスのご登場ですよセラさん。」


光り輝く光臨を背負った天帝「空」がそこには居た。


空「驚いたよ……ああ、この子なんだね………世界に選ばれし者………最後のクシャトリア…………あすみの子孫なのかな?」



西暦2265年-Stratosphere-



セラ「天罰機がどんどん落とされてます。」


空「ああ、アスラの数も減ってる……」


セラ「イズモ……陥落しました。」


空「君は……それでも………たたかい………続ける…………」


カーリーの中から女性の声が沸き起こる


ナビゲーター「カーリー、モード……ハルマゲドン。クシャトリアを抹殺しろ。」


未希「えっ……何………これは……………」 


未希の体が光り始める。


未希「タラっこれは……」


タラ「アスラ、クシャトリアを殲滅するために設計されたカーリー」


タラ「そのお方は……あすみ様の因子を最も濃く受けつぐお方。」


天頂にいたるもの……その姿は……美しくも醜い………


さあ、虐げられし魂よ、天頂に至る絶対者に挑みなさい。


サンサーラの風の……遥か彼方に至るものであると……いまこそ示しなさい。


未希「天帝を倒せば……私が絶対者………もうだれにも虐げられない。」


未希「私が神に……」


タラ「さあ、カーリー今こそ、その力を……」


挿絵(By みてみん)


タラの首が飛ぶ。


セラ「だめですよタラ。油断しすぎです。昔から?そうでしたっけ???」


タラ「セラ……いえ星来………お別れですね…………」


セラはファランクスをタラの体に打ち込んだ。

タラは砕け散った。


未希「貴様っ!」


セラ「さようならタラ。」


未希「まあ、いいか………全部滅ぼす。クシャトリアもアスラも世界も」


未希「私を選んだ奴らも………私に跪かない人類は皆殺しだ、カーリー」


カーリーは軽く振動し答える。



西暦3276年-Atmosphere-



桜「しがみつけR2。バイラヴィ・オーバーブースト!」


セラ「はいっ」


バイラヴィは急加速をし、地球の衛星軌道を高速で飛行する。


セラ「えっ、この戦い方は?」


桜「これが古代の文書にあったスイングバイっ!」


セラ「おおっと、ルシフェルZが追跡して来ますよ!!」


桜「こりないアホめ……」


セラ「でもこの方法は危険なのです。」


バイラヴィは地球の周りをくるくる回転している。


追いつけないと思ったかルシフェルZは急に逆回転を始めた。


桜「ふふふふふふっおバカさん。」


バイラヴィはルシフェルZに突っ込んでゆく。


セラ「えっえっえ、桜、危険なのです。正面衝突しますよっ。」


桜「レーザーナイフ起動。レーザートマホーク発射。R2っ、ファランクス乱射、当たらなくてもいい。」


セラ「ふぁいっ、だだだだだっとやります!」


連射される光線と銃弾を避ける為にルシフェルZは少し軌道を変える。


桜「やっぱり……しょせん素人。」


セラ「えっえっえー」


バイラヴィはまっすぐ突っ込む。


すれ違いざまルシフェルの肩から股にかけて真っ二つに切り裂いた。


セラ「あのルシフェルが一撃でっ!!」


桜「F=bt二乗÷d二乗=(-x′cos-x′ωsin--y′sin-y′ωcos)」


セラ「えっえっえ?桜何を言ってるんですか?」


桜「ニュートンの物理運動方程式。コリオリの力。回転ベクトルの計算も出来ぬようでは」


レーザートマホークとルシフェルに衝突した影響で速度が落ちたルシフェルZがバイラヴィに後方から迫る。


桜「赤点ですよ学生さん。」


バイラヴィは狐を描いて反転する


桜「グラビティブラストっ」


超重力の球がルシフェルをかすめる。


途端にルシフェルは螺旋状に回転を始めた。


桜「一般相対性理論は絶対の法則。アインシュタイン先生とニュートンさんをうやまえ、金ピカっ」


螺旋運動を続けるルシフェルZはグラビティブラストに吸い込まれる。


桜「切り裂け特異点!シュヴァルツシルト・スラッーシュっ」


ルシフェルZは高速回転するバイラヴィに粉々に切り裂かれた。


挿絵(By みてみん)


桜「落第決定!ふふふふっ」


セラ「なっなっなっ……何なんですか凄すぎです。」


桜「考えるんじゃ無い。感じるんだR2」


セラ「いやっ……なんか凄く考えている気がするのですよ桜……」


桜「R2、生前の偏差値、あるいは数学のテストの最高点は?」


セラ「テストの点数は43点がMAXです。絶頂です。」


桜「落ちこぼれ学生達の戦いだったと……」


セラ「えーでも記録によると、あすみ先輩は60点も取った事がっ!昨夜はなんと80点!!」


桜「…………………」


空「そう……相対性理論って正しかったんだ。」


桜「なっ……いつの間に…………」


高速飛行するバイラヴィの横を天帝「空」が並走する。


空「重力とは時空の歪み、その歪みの反力がこの宇宙には満ちている」


桜「えっ……アインシュタイン方程式…………の先……………」


空「うん、世界のすべての法則が形を成した物。それが天帝」


桜「形を得た法則……それが真理という事ですか?では貴方は……」


空「そう、真理の反力、それが僕なんだ。」


桜「事象の地平面の歪みから生まれた反物質、概念物質と言った方が正しいのでしょうか?」


セラ「何語ですか?インド語とかですか?」


桜「ちなみに空さんの偏差値は?」


セラ「データによると85です。えっとテストで85点も取ったって事ですか?空凄いです!!」


桜「ポケコンR2め………しかし、なるほど、これは強敵ですね。」



西暦2265年-Stratosphere-



空は音速を超える速度で飛び回る。


セラ「たいちょー。敵……倒さないんですか?」


空「僕らは……アスラはアスラを殺せない。そういう風に出来てるんだ。」


空「自殺も出来ない、ただ本能的にクシャトリアを殺す……それがアスラ」


セラ「たいちょーは殺さないんですね?」


空「直接手を下してないだけ、他のアスラには止まれって命令してるけど、衝動に抗えない奴も沢山いる。憎しみが深い個体は特に………」


セラ「たいちょーは誰の味方なんですか?」


空「僕は……アスラを消し去りたいんだ。」


セラ「だから……悪女の人から逃げ回っているんですね。わかります。自信は無いですが」


空「彼女は沢山のアスラを倒してくれる……」


セラ「でも天罰機も相当数落としてますよ………」


空「うん、ある程度アスラが減ったら彼女を………」


空は背中に痛みを感じた。


空「アスラでも痛いんだね……」


後方からカーリーが迫る。


空「セラ、大気圏を超えるよ」


セラ「はい、たいちょーは……息とか出来ますか?」


空「僕は死んでるから息なんかしないよ」


セラ「ああ、そうでした。宇宙へ帰りましょう」


空「うん、咲夜と明弘に出会った宇宙へ…帰ろう………」



西暦3276年-Atmosphere-


逃げ回る


桜「なんてスピード。その体で……」


空「バイラヴィをここまで操るなんて……君はなんて凄いんだ。」


桜「空さん、貴方を倒せば終わるんですよね?」


空「僕が知る限りアスラは僕だけのはずなんだけど……」


桜「なら、あっさり、ちゃちゃっと…やられてくれませんか?」


空「そうしたいのは、やまやまなんだけど……生存本能だから僕にもどうしようも無いんだ。」


桜「それに貴方を普通の人が倒すと天帝になってしまうと…そういう事ですね。」


空「あの子はダメだった……でも君ならひょっとすると………」


桜「あの子……灯火………」


桜「なんで灯火にあんな酷いことを……」


空「僕もあの子が何であんな反応を起こしたか解らないんだ……

  あの子は普通じゃない、何かが拒否反応を起こしたんだ」


桜「拒否反応?

  空さんが何かした訳じゃないんですね?」


空「うん、でも僕の力に過剰反応したのが原因なのは間違いない、

  彼女には申し訳ない事をしたと思ってるよ。」


桜「貴方は……ずいぶんと優しい人なんですね……

  人類の99%を滅ぼした元凶のイメージはありませんね」


空「怒りに任せてサンサーラシステムの秘密を全人類に送信し、

  結果として世界中で戦争が起きた……僕は最も罪深き魂………」


桜「空さん……ひょっとして貴方は……

アスラを抑え込みながら自分を殺してくれる相手を1000年以上も……」


空を光の束が貫く。


空「がっ………え?」


桜「何?」


セラ「えっ???どういう事ですか?」


空「そんな……なぜ彼女が……生きて…………」


挿絵(By みてみん)


未希「油断したな……天帝。」


未希「近衛が居なくなる一瞬を1000年以上待ち続けた……お前の力。頂くぞっ」


空「あれは……人罰機?カーリー?そんな……?」


未希「我々は神罰機シヴァ……貴様を倒す為だけに作られた最強の機体……」


未希「月の裏側で待ち続け……1000年かけて最強の存在となった。」


神罰機シヴァから放たれた黒い光がバイラヴィを貫く。


桜「………こんなエンディングありなんですか?クレーム物ですよ、まったく。」


セラ「桜っ!!」


空「逃げるんだセラっ。」


空はセラを蹴り飛ばした。


セラは地上へと落下する。


大気圏を落下している時、バイラヴィが爆散するのが見えた。


挿絵(By みてみん)


セラ「桜っ……さくら…………」



西暦2155年-Mesosphere-


挿絵(By みてみん)


あすみ「燈火とうか、私の命令を厳守なさい。もし背けば一族郎党、国ごと地獄に変えますよ」


燈火「ははっ、あすみ様の御意向に歯向かう者など世界のどこにも存在しません。」


あすみ「そういえば琢磨は……」


燈火「先日セラフィムに撃たれ殉職しました。」


あすみ「そうですか……もはや私には思い人の死を痛む心も残っていないと……

そういう事ですね。」


あすみ「でも……せめて、あの子には何か安定した職を与えなさい。

そうですね……神社の神主が良いでしょう。」


燈火「御意。」


あすみ「私は……世界を裏切ったのですね……

いったいどのくらいの人を殺すのでしょう?」


燈火「それもサンサーラの理かと……」


あすみ「神社にはIFFアイエフエフ敵味方識別装置を設定しなさい。

攻撃不可フラグを立てよ。」


あすみ「そして、お前は未来永劫、あの子と神社に尽くしなさい。」


燈火「はいっ我ら一族……永久に、あすみ様の御子様、ご子孫をお守り申し上げます。」


あすみ「天帝の子……その因子はDNAに刻まれ……

いずれ……再生の道しるべとなるでしょう。」


燈火「あすみ様に未来永劫の忠誠を………」


あすみ「あの子を産むには……天帝となるしか無かった………」


あすみ「母の業とは凄まじいもの……星来、あの子が人生を全うした遠い未来……

私を魂の牢獄から解放して下さいね。」



西暦3276年-Atmosphere-


挿絵(By みてみん)


空が蒼い……まるで吸い込まれそう………


素っ裸で怪しい機械に放り込まれて……どのくらいたったんだろう?


乙女をこんな格好で荒野に放置とか……とりあえず殴ろう。


桜は返り討ちにあいそうなので、セラで……


体が……熱い………治っているのかな?


あれ?

誰かの声が聞こえる??


これは歌?


あの人……今も……苦しんで………神さま………そろそろ許してあげて…………


誰?



急に体が床に押し付けられる。


あれ?


水が抜けた?


あれセラ?


挿絵(By みてみん)


セラ「灯火……あかり………桜が、桜が…………」


ぼろぼろ泣くセラ。


灯火「桜が……死んだの?」


セラ「はい、バイラヴィは大気圏外で爆散………ごめんなさい、ごめんなさい」


心臓の鼓動が速くなる。


セラ「天罰機は………もう無くて………」


セラ「このままじゃ……みんなみんな…………死んじゃいます。」


灯火「私は……空を祓いたい。」


セラ「でも私じゃカーリーの後継機を倒せません………絶対に………」


灯火「ねえ、セラ………誰だろう?あの子……」


セラ「えっ?」


灯火「ちょっと不器用だけど、優しくて…」


セラ「どうしたのですか?灯火?」


灯火「天帝様………」


セラ「灯火、天帝は……今の天帝はきっと勝てないのです。あの人は優しすぎるから……」


灯火「あすみ様……なら………」


セラ「えっ?何であすみ先輩の事を………」


灯火「あすみ様は……彼氏との間に子供が出来て……」


セラ「それは特級機密事項ですよっ。危険情報なのですよっ。」


灯火「私の家に代々伝わる伝説………」


セラ「天空神社はあすみ先輩の子孫を守る為の組織だって事は知ってますが……」


灯火「あれ?…………なんだか…………ねむ………い」


挿絵(By みてみん)

灯火「灯火……そう、この子はまるで、冥府を照らす燈火ともしび、良き名前です。」


セラ「灯火?どうしちゃったのですか???」


セラ「灯火がおかしくなってしまいました。」


セラ「ぬっ?これは、しかたない、そりゃっ」


セラは灯火の頭に斜め45度からチョップをしてみる。


灯火「イタッ……何するんです星来……それは宣戦布告ですか、そうなんですか?」


セラ「へっ??」


灯火「次やったら頭カチ割りますよ星来。」


セラ「はい、ごめんなさい先輩……って先輩?」


灯火「今こそ再生の時、甦れ……我が最後の同士にしてかたき……

   儚く愛しき日々の続きを………あなたに贈ります。」



西暦2265年-Stratosphere-



空「セラ、銀河水準面67度3分を維持しつつ回転しながらファランクス正射」


セラ「はいっだだだだだっ!とやっちゃいます!!」


セラのファランクスがカーリーに正確に命中する。


天帝『空』から光の塊がカーリーに突き刺さる。


空に付き従うルシフェルΖの光の矢、カーリーを傷つける。


未希「くっ……天帝………セラ………………こんな……こんな………」


セラ「カーリーはクシャトリアを狩る為に生まれた機体。」


空「そうだね、天帝と戦う事は想定されてない。」


未希「まだっ、私はまだ負けられない。」


空「カーリーを捨てて……地球に帰りなよ……君はまだ引き返せる……僕と違って………」


未希「黙れっ黙れっ黙れっ……私は……私は勝って……」


未希「勝って帰るんだっ、パパとママの処にっ」


空「君は……べつに負けたわけじゃ…帰りなよ地球へ……」


未希「パパとママは勝ち組しか愛さないっ。妹みたいなっ。」


空「……………」


未希「天帝………オマエには……オマエには負けない。」


空「もう……やめようよ………」


宙域に美しい歌が響く


傷を……かばい………生きる………そんな…………姿は…………みに……くいね。


空「えっ?何これは………」


宇宙に一筋の光が走る。


空「アスラ……ルシフェルZ…………生きていたんだね……………」


ボロボロに傷付いたルシフェルZがカーリーに衝突する。


空「明弘………帰って来たんだね…………」


セラ「あきひろ…………誰でしたっけ?」


空「…………セラ、君は地球に帰るんだ。」


セラ「えっ?」


空はセラを蹴り飛ばした。

セラは地球の重力に引かれ落下する。


セラ「たいちょーひどいですよーーーー」


空「セラ、バイラヴィをよろしく。」


カーリーはルシフェルZを取り込んだ。


空「まいったな………これじゃあ手が出せない。」


空「天帝ですらアスラを殺せない設定だったね…………」


未希「そうだ、思い出せアスラの王達よ。蔑まれた日々。お前たちを選んだ者達のにやけた表情を!!」


空「駄目だっ止まれっお前たち!」


ルシフェルZは小刻みに震えている。


空「この四体の王だけでも…………人類を殲滅出来る。」


未希「微かな希望を抱き、戦い、惨めに死んでいった者達を!!」


空「お前たち、カーリーから離れろっ」


天帝『空』とルシフェルは地球軌道から離れる。


空「ダメだっ止まれお前たち!!」


空は必死にルシフェルZを止めようとする。


未希「愛すべき人々の死をお前らは忘れられるのかっ」


空「ルシフェルZ……王は戦い抜いた後……憎悪により転生した存在………まずい…………」


空は4体のルシフェルZを抱きかかえる。


空「ダメだっ、今の彼女は僕らにとっても、人類にとっても危険すぎる」


空「この王達は僕が抑える……ずっとずっと………永遠でも………」


空「咲夜………僕は…………君の処には………いけないね……………」


天帝『空は』火星軌道に至り、永遠にも近い時間、ルシフェルZを押さえつける道を選んだ。


空「セラ、バイラヴィ……いつか王達と………僕を……………殺して…………………」




西暦3276年-Atmosphere-


空「未希……もうやめて………僕らはもう戦う理由を無くしてしまったんだ。」


未希「ふん、なんだ天帝……私の名前を知っていたのか?」


空「明弘が……君の事………話していたのを思い出した。」


未希「明弘さんが……ふーん。」


空「1000年以上、ずっとずっと昔の事を考えていたから……思い出したよ。」


未希「私……明弘さん好きだった。」


空「そうなんだ………」


未希「でもあの女……あいつが邪魔で………」


空「あいつ?」


未希「うるさい、死ね天帝!」


神罰機シヴァから無数の黒き光が放たれ、空に吸い込まれる。


空「ぐっ凄い痛み……痛み?死んでるのに?これは?この力は?」


挿絵(By みてみん)


未希「サンサーラシステム維持に回った科学者達…勝ち残った者達……」


未希「あの戦いの後……月へ逃れた………そしてお前を倒す方法を考え続けた。」


未希「カーリーに乗った時点で、あすみ様の因子、春香と同化した事により不老ではあったが……オマエがいる限り安心は出来なかった。」


未希「そして、1000年以上かけて作り出された天帝を殺す為の機体『神罰機しんばつき』シヴァ」


未希「お前を倒して私は天帝になる。そしてサンサーラシステムを再建する」


空「バカなっ……僕らを苦しませ続けたサンサーラを何故君がっ…………」


未希「私が帝、王達を従え、世界を従え、輪廻を超える。私こそがサンサーラ」


未希「さあ、死ね天帝!その力の全てを私に差し出せっ。」



西暦3276年-Atmosphere-



神罰機シヴァは天帝に黒い光の塊を打ち続ける。


未希「どうした天帝、動きが鈍くなってるぞ。」


空「もっもう……僕は………誰も………殺したくない…………」


未希「天帝を殺すために作られたシヴァ、いくらお前でも……」


未希「さあっ、とどめだっ、よこせっ、その力の全て!!」


空「くっ、もうダメなのかな………」


咲夜/灯火「なにあきらめてんのよっ!」


空「えっ?」


咲夜/灯火「対神誘導弾、全弾発射っ。」


挿絵(By みてみん)


空「そっそんな……パールバティ………なぜ?」


咲夜/灯火「ホーミング時空弾装填開始っ。」


未希「天罰機っまだ残っていたのかっ」


灯火「桜のかたきっ!絶対に許さない!!」


空「咲夜……咲夜なんだね………」


咲夜「まったく1000年以上、海の底にほったらかして、再会のセリフがそれ?」


空「咲夜……また会えるなんて………」


咲夜「話は後、まずシュードラ女を片付けるわよっ」


未希「シュードラ女だと………昔からお前が気にくわなかった…………」


未希「いつも明宏さんの側にいて、勝ち誇った嫌な奴」


咲夜「何?アンタ明宏が好きだったの?

   私は何も思ってなかったってのに自意識過剰?

   そもそも1000年以上前の事、根に持ってるんじゃないわよ、根暗女」


未希「粉々にしてやるっ!」


咲夜「灯火、オーバーブースト用意、合図したら武装をパージ、全速で月へ向かうわよっ」


灯火「はい、パールバティ!!」


未希「パールバティ……お前………パールバティに転生したのか…………」


咲夜「あの金ピカゴスロリに殺されて、気がついたらこうなってたのよ。」


未希「そうか、お前も……あすみ様の因子を打ち込まれたのか…………」


あすみ「そのとおりです未希。私は一部を温存していました。」


空「おっお前は……前の天帝なのかっ!?」


あすみ「そう、咲夜と共に1000年以上、海の底から見守っていました。」


空「見守ってた?」


あすみ「あの子…あの子の子孫たち……そして灯火を…………」


咲夜「私は……空の事も………見守ってたんだからね……………」


空「咲夜…………」


セラ「咲夜、ツンデレは置いといて、早く助けに向かいましょう。」


咲夜「誰がツンデレかっ……しかし、そうね………もう、誰も死なせない。」


あすみ「ええ、あの子の一族は遺伝子改造までして私の子孫を守ってくれた……忠誠には報いるべきですね。」


咲夜「いちいち偉そうね……アンタのそういうところ……私、大ッキライ。」


あすみ「私は咲夜の恐れを知らないところは嫌いではありませんよ。愛してはいませんが。」


咲夜「ふんっ、灯火、行くわよっ。」


あすみ「灯火、行きましょう。」


セラ「行くって……どこへ行くんですか??」


咲夜「空、セラ、足止め宜しく。」


空「うん、まかせて咲夜」


セラ「らじゃー、よろしくお伝え下さい。」


あすみ「空、貴方は、優しすぎて天帝には向いていません。この戦いが終わったら引退なさいね。」


灯火「………………」


咲夜「目標、月軌道基地ニルバーナ!」


あすみ「貴方の大切な人が待っていますよ。灯火。」


灯火「はいっ………」


セラ「さあ、レトリバー小隊、作戦開始です!」


【ここ声を合わせて下さい。】


灯火・咲夜「パールバティ・オーバーブースト」


灯火・咲夜・セラ・空「レトリバー小隊、出撃っ!」


挿絵(By みてみん)


西暦2265年-Stratosphere-


私は目を覚ましたはずなのに……

暗い、何も見えない。


挿絵(By みてみん)


あすみ「咲夜………私の声が聞こえますか?」


咲夜「えっ……あんた、天帝?」


あすみ「元、天帝です。今は空が天帝です。」


咲夜「なにそれ?何かの冗談?」


あすみ「いえ、空は私を倒しました。天帝としての力を受け継いだのです。」


咲夜「じゃあ、私に話しかけてるアンタは誰なの?」


あすみ「私は斎藤あすみ。」


咲夜「えっ、名字を持ってるって事は……卒業したって事?」


あすみ「ええ、天帝として即位した事により、人権を認められました。」


咲夜「何?どういう事?」


あすみ「サンサーラシステム、行き詰まった人類を繁栄させる為のシステム」


あすみ「アスラも天帝も全ては選ばれしもの」


あすみ「貴方も理解できるはずです。サンサーラDBにAdministrator権限で接続されているのですから。」


咲夜「はあ?」


咲夜「あれっ?何……これは…………この知識、記憶……………」


咲夜「そうか……全ては茶番だったって事ね。」


あすみ「しかし、サンサーラシステムのおかげで戦争は無くなり世界は平和になりました。」


咲夜「その代わり私達みたいな犠牲者が出たと…………」


あすみ「ええ、しかし、サンサーラシステムにより未来を選択出来る存在……」


咲夜「天帝が変革を望んだ場合はシステムの方針変更が可能…………」


あすみ「しかし世界は再び大規模な混乱と慢性的な戦争状態になりました。」


咲夜「空はルシフェルを押さえ込むのに必死……」


あすみ「そうなのです、困った事になりました。」


咲夜「全部アンタが悪い気がするんだけど…………」


あすみ「もちろん、責任の一端はあるでしょうね。」


咲夜「んで、これからどうするの……」


あすみ「どうするも何も………パールバティは動きません。」


咲夜「ここには死人しかいないからか………セラが誰かを連れてきてくれれば…………」


あすみ「ああ、あの子は、バイラヴィと共に温存します。」


咲夜「何?天空神社?この情報はいったい何?」


あすみ「私の娘を守る組織、そして遠い未来………いつか世界を変えるために………」


咲夜「娘?DBには無いわよ……」


あすみ「クシャトリアが妊娠をして子供を産むとどうなると思いますか?」


咲夜「問答無用でシュードラ確定ね。生体実験……

   えっアスラと混ぜられて観世音タイプに?そんな事まで……」


あすみ「DBの通り、でも一つだけ例外があります。」


咲夜「全てのルールを変える権限を持つ天帝に成ること……

そうなんだ………そういう事か」


あすみ「きっといつか………灯火ともしびが生まれます。

世界をやさしく照らす灯火が……」


咲夜「だといいけど……で、これからどうすんの?」


あすみ「成績の割に頭の悪い娘ですね……」


咲夜「あん?アンタ私を殺したカタキだって解ってる?」


あすみ「カタキ……でも今は何も出来ません。天罰機は死人では動かせませんから。」


咲夜「うげっ、アンタと一緒に待つの?やだなー」


あすみ「仕方ないですね。でも……再び空と会える日も……来るかもしれませんよ。」


咲夜「何?そんなんで私を誤魔化せると思ってんじゃないでしょうね?」


咲夜「空の事とか言われても懐柔されないんだからね。勘違いしないでよねっ!!」


あすみ「ツンデレとかいう奴ですね。昔、星来が何やら熱く語ってましたが……」


咲夜「誰がツンデレかっ!!」



西暦3276年 Atmosphere



天罰機シヴァは天帝を追い詰める。


セラ「空っ……どうしたのですか?あなたほどの人が…………逃げ回るばかりで………」


空「あの子……アスラの遺伝子が組み込まれてるから、僕からは攻撃出来ないんだ。」


セラ「なんとっ、そうだったのですね!!」


空「パールバティが帰ってくるまで時間を稼がなきゃ……」


セラ「では、空………地球をくるくる回りましょうか」


シヴァの放った重力弾が的確に空を捕らえる。


空「くっ……かわし切れない……」


未希「当然だ!天帝を倒す為だけに作られたシヴァ……

オマエのスペックなど知り尽くしている。」


空「くっ……」


未希「歴代最強と言われた先代天帝あすみ様を倒した男…………」


未希「ふん、レトリバー小隊もこんなもんか……

昔は明弘さんに憧れたけど……しょせんザコか………」


セラ「ああん?」


未希「なんだ?ドゥルガー、文句でもあるのか?」


セラ「明弘は……未希みたいな弱虫ではないのです。」


未希「ふん、破損したカーリーにすら手も足も出なかったオマエが

……私に意見するなど………」


未希「身の程を知れザコがっ!」


セラ「だまれクソがあああああああ」


セラ「空っオーバーブースト出来ますかっ!?」


空「うっうん……ルシフェルZくらいのスピードなら出せるよ」


セラ「では私を掴んで限界まで超加速お願いします。」


空「うん、解った!」


未希「逃がすかっ!」


セラ「ぽちっとな………」


セラを閃光が包む。


挿絵(By みてみん)


未希「くっなんだこれは……目が…目が………」


セラ「天罰機鎮圧用の閃光弾です。イズモに落ちてました。」


セラ「天帝を倒す為の兵器……さすがに対応はしていなかったようですね」


セラ「さあ、空……行きますよ!スイングバイで超加速です。」


空「うん……セラ、なんだか変わったね……」


セラ「はい、今の私は宇宙のエースです!」



西暦3276年 Atmosphere



咲夜「あれよ灯火、あれが月の基地……」


あすみ「灯火……注意なさい。酸素はあるようですが……

   サンサーラシステム再建の為、1000年以上何世代にも渡って

シヴァを作り上げた科学者達……私達ではどうしようもありません。」


咲夜「なら、セラを連れてくれば良かったんじゃない?」


あすみ「いえ、一人では空は負けます。セラなら……セラが……あの子が一緒なら………」


パールバティは月面に降り立つ。


灯火「じゃあ、行ってきます。」


咲夜「気をつけてね、灯火」


あすみ「もし、危険な事が起きたら私の名前を呼びなさい。」


咲夜「はい。」



西暦3276年 Atmosphere



空は高速で地球を周回する。


神罰機シヴァはセラと空を追う。


空「この戦い方………」


セラ「そう、明弘………あの人の戦い方………」


空「セラ………」


セラ「空、私を思いっきり投げて軌道を変えて。シヴァを引き付けて下さい。」


空「了解、セラっ気をつけて……」


セラ「はい。」



西暦3276年 Atmosphere



灯火「えっ……何これ?」


月面基地……至る所に死体が積まれている。


灯火「生きてる人はいないの?」


灯火は基地の中心へと走る。


灯火「お願い……無事でいて…………」


挿絵(By みてみん)

PV動画

https://www.youtube.com/watch?v=aM6Gb1Wp8SM


プチのサンサーラ

https://www.youtube.com/watch?v=g0hoI7HoNLA


http://kaze-no-sansara.net/

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