第五章 -転生編-
『西暦3276年-Atmosphere-』
桜「えーこの方向であってる?」
私は灯火をバイラヴィに乗せイズモに向かう。
セラ「はい、間違いないです。」
落ちてきてから別人のようにしっかりしたセラさん……いったい何が?
セラ「昔……人類に限界を感じ、このままではいずれ全滅してしまう……と考えた人達がいたんです。」
セラ「そして月の裏側で天帝を拾いました。」
桜「天帝……灯火をこんな目にあわせた奴……」
セラ「天帝を切り刻んで人間と混ぜてみたら……なんか凄い人が生まれました。」
桜「凄い人?」
セラ「裸で大気圏を突破出来る人々です。」
桜「それがアスラ……」
セラ「はい、混ぜ方によって色々なタイプを作る事に成功しました。」
桜「ふむふむ……でっでっ結局アスラって何なんですか?」
セラ「逃げ出した人、戦いの途中でアスラに捕まった人、勝ち残った人」
桜「それぞれ違うタイプのアスラになると……」
セラ「はい、多分昔の神々の姿を模して色々なタイプが造られたんだと思います。
セラ「素質のあるシュードラは混ぜられて観世音タイプに、アスラに捕まった人はセラフィムに……」
セラ「勝ち残った人は運営者に……または上位存在に転生させられます。」
桜「でっでっで?転生って何なんですか?はあはあ……」
セラ「天帝の因子を直に肉体に注入すると転生します。」
桜「転生……そういえばセラも前世がどうのって……」
セラ「前世というより生前です。私もバイラヴィも心臓は止まってしまっているので……」
桜「えっえって……バイラヴィも元人間だったのですかっ!!」
セラ「ええ、勝ち残った女の子です。美少女です。」
桜「なんとケシカラン事を……」
セラ「私は制御機械を埋め込まれたアスラ、バイラヴィは機械の船体に埋め込まれたアスラなんです。」
『西暦2155年-Mesosphere-』
星来「なるほど……つまり、全ては茶番だったという事なんですね。」
天帝「いえ、これは人類が戦争を捨てる為のシステムなのです。」
天帝「現にアスラに人類を襲わせる事によって戦争は無くなりました。」
星来「どこの国も戦争をしている場合では無くなった……」
天帝「ええ、そして地球連邦政府が誕生したのです。」
星来「何で今も戦わされ続けているのですか?」
天帝「貴方になら解るでしょう。人類は他人を見下したい。」
星来「………………」
天帝「そして人は残酷です……それを理解させる教育システム、
それがサンサーラ・システム」
天帝「自分たちが生き残る為にした選択……それを悔い罪悪感を持つ事によって、よりよい大人となる。」
天帝「子供たちはクシャトリアに成らない様に小さなころからコミニュケーション能力を鍛えます。」
天帝「親たちも子供をクシャトリアにしない為に必死で教育をする……」
星来「でも………先輩は…………」
天帝「自分の子供たちをクシャトリアにしない為に子供を買って来て、クラスに編入させる親もいたようですが……」
星来「先輩………先輩も売られたんですね…………」
天帝「ええ、母は他に男を作って出て行きました。父は飲んだくれて……僅かな酒代と引き換えに私を売りました。」
天帝「我が子を売るような人間の子も社会には不要な者だと、昔の人は思ったのでしょう。」
天帝「しかし……虐げられた魂は時として極限に至る事もあります。」
星来「先輩は……先輩は……それで良かったと………」
天帝「ええ、少なくとも自分で戦って生き残れる自由を手に入れたんですから……」
天帝「星来……貴方も貧困に苦しむ地域、家庭から売られたのでしょう?」
星来「いえ、私は自ら望んでクシャトリアに成りました。」
星来「クシャトリアは公務員なので、お給料も撃破ボーナスも沢山出るし……今頃家族は大喜びしていると思います。」
星来「これで弟、妹達は生き残って人並みの生活を送れます。」
星来「でも、死んでいった人達……多すぎませんか………」
天帝「結果、救われる人々の数に比べれば微々たるものです。」
天帝「貴方とこんな話をするのは初めてでしたね。」
天帝「ところで星来……これからどうしますか?」
天帝「貴方には選択権があります。このシステムを保守、運営する者として生きるか……」
天帝「それとも復讐者になるか……人類、選ばれた者達を守る存在に成るか……」
星来「選ばなければ……」
天帝「貴方の家族は全員シュードラに落とされます。」
星来「家族まで……」
天帝「当然です、この世界の理『サンサーラ・システム』に人間の情などという言葉はありません。」
天帝「または……私を倒して天帝になる道もあります。」
星来「先輩は……倒したんですね……私の腕をぶった切って……自分に移植して……まで……」
天帝「ええ、だから早めに卒業出来たんです。天帝を倒した者は即卒業。これが隠された裏ルールです。」
星来「私は………やっぱり許せません。」
天帝「では人類に復讐する道を選ぶのですね?」
星来「そこの6人のルシフェル……元クシャトリアなんですよね……なのに仲間を………」
天帝「なるほど……それも正しき選択なのかもしれません。」
星来「そして一番許せないのは……先輩、貴方です。」
天帝「私ですか……解ります。全て正解……それもまた人類の可能性です。」
星来「いつか私は先輩を倒して……このシステムを壊します。」
天帝「なるほど……では貴方はクシャトリアと人類を守り、私達と敵対する道を選ぶのですね。」
星来「はい……」
天帝「私はサンサーラ・システムそのもの…世界のシステムを変えられると思っているなら……挑んで来なさい。」
星来「はい……先輩、いずれ……楽にしてあげます。待っていて下さい。」
天帝「ブラーフマナ『星来』は選択した……彼女はドゥルガーに転生を希望した。」
星来「私がドゥルガー……」
天帝「天罰機と共に……サンサーラの風の吹く者を連れ…私に挑んで来なさい星来」
星来「はい、先輩。その日を楽しみにしていて下さい。」
その日、私は全ての記憶を封印されドゥルガー『セラ』として転生しました。
『西暦2265年-Stratosphere-』
空「よくも咲夜を………」
天帝「空……やはり私を倒すのは貴方なんですね。」
空「何で……何で咲夜を………」
天帝「空、よく聞きなさい。アスラはクシャトリアを……人間を殺します。」
天帝「しかし、それがサンサーラの理」
空「理………そんなバカな事………」
天帝「咲夜がクシャトリアになった時点で死ぬ運命だったのです。」
空「そんなっ、そんなバカな!」
天帝「選ばれし者として戦い死んでいった……明弘さんも同じです。」
バイラヴィのレーザーナイフが天帝を切り裂く。
天帝「これで貴方は卒業。」
天帝「ブラーフマナ『空』……いえ、天帝『空』…
あなたにサンサーラの祝福があらん事を……」
天帝「セラ、110年……意外と短かったですね、さようならセラ……」
セラ「えーっと、あすみ先輩。さよならです。」
天帝「貴方の本当の戦いはこれから……ですよ。」
セラ「そうなんですか?頑張ります。」
天帝は塵のように消えた。
空「うああああああああ」
セラ「ん?誰でしたっけ……レトリバー小隊の人。大丈夫ですか?」
空「そうか……そうだったんだ………セラ、君は………僕は……全て解ったよ………」
空「バイラヴィ、補給を……セラ、僕に着いて来て」
セラ「ラジャーです。レトリバー小隊の隊長!?」
空「ああっ、ぶっ殺してやるよクソ野郎ども……」
セラ「ん?なんだか……懐かしい感じが………!?」
西暦3276年-Atmosphere-
桜「こっコレ!?息は……息は出来るんですか?」
なにやら透明で丸い棺桶に水が満たされている。
セラ「大丈夫、肺が直接酸素を吸収するので大丈夫なのですよ。」
桜「ほっほほほう。」
セラ「さあ、灯火を入れましょう。三時間くらいで皮膚と内臓、眼球が再生しますよ。」
セラ「あ、服は脱がして下さいね。癒着しますから……」
桜「はい、でも丸見えですねコレ……」
セラ「元は壁があったんですけど、昔……壊れました。」
桜「まあ、見られて困るレベルのボディでも無いんで平気ですよ。」
ぼこぼこっ……ぼここっ。
沈めた灯火から何やらボコボコが……?
桜「しかし、なんという超科学……」
セラ「1200年くらい前からありますよコレ。それよりもお腹が空きました。」
桜「さっき……天空神社が財政破綻するほど食べたのに……」
セラ「乙女の胃には『別腹』、というシステムが内蔵されているのですよ。」
桜「ほほう……生前からそんなに!?」
セラ「私の家は兄弟が沢山いて、お父さんも早くに死んでしまいましたから……大食い賞金稼ぎで一家を養ってたんですよ。」
桜「そのダイナマイトわがままボディにはそんな秘密が……灯火にもご飯を沢山食べさせないとダメですね……」
セラ「そうですね」
ごぽごぽごぽーーー
ん?
何か聞こえたような?
桜「しかし、生身でそんなに食べれるなんて凄いですね。」
セラ「はい、あすみ先輩以外には負けた事がありません。」
桜「あすみ先輩?」
セラ「先代の天帝、空に倒され、お亡くなりになりました。」
桜「空………たまに聞きますねその名前。」
セラ「バイラヴィの元パイロットにして……レトリバー小隊最後の隊長。」
桜「ほほう……まあ、お弁当でも食べながら話を聞きましょう。」
セラ「なっなっなんですかーその四角くて巨大なキューブは?」
桜「天空神社特製!巨大5段重箱!!」
セラ「ほほほほーっ…これが天空神社の料理力……」
桜「灯火への差し入れが貯まりまくってたので、全力で作ってみました。灯火を助けてくれるご褒美ですよセラさん。」
セラ「………………………………………」
セラ「私には、食べる資格はありません……」
桜「何を?はらぺこセラさんらしくもない?」
セラ「灯火をこんな目に遭わせたのは……私……ですから………」
桜「まあ、治るんなら灯火も許してくれますよセラさん。灯火はアホですから、三歩あるけば忘れますよ。」
ボコボコっぼこっぼこっ……
桜「何やらメディカルマシーンから抗議のボコボコが聞こえたような……まあ気のせいですね。」
セラ「私が空を……止めなかったから………」
桜「まあまあ、話は食べながら聞きましょう。腐ってしまっては、もったいないですよセラさん。」
セラ「そうですね。仕方ないですね。やもーえないですね。いただきますー」
桜「ちょろいんめ……」
『西暦2265年-Stratosphere-』
バイラヴィから世界に放送が行われた。
アスラの正体、クシャトリアシステムの概要、天帝の事。
世界は一様に動揺した。
最も恐れていた事が今起きてしまった。
私は空を見上げため息をつく。
もうすぐここに天罰機が殺到する。
平和だった世界は今日から地獄と化す。
熊耳「あすみ様を滅ぼした者……空………」
天帝が敵に回れば勝ち目がない。
熊耳元帥は振り返り、副官に優しく指示を出す。
熊耳「全軍に命じる、裏切者バイラヴィとセラを捕縛せよ。」
副官「はっ」
どの程度の天罰機がこちら側に残るか……しかし知り過ぎている。
こちらが勝利しても後で抹殺せねばならんか……
熊耳は急に声を荒げる。
熊耳「人罰機カーリーに出撃命令!、敵対するクシャトリアを抹殺せよ。」
副官「はっ!」
天罰機カーリー………かつての恋人が姿を変えた存在。
熊耳「共に戦ったのは40年前……共に3年生き残り……」
熊耳「私はサンサーラシステムの維持と管理を……お前は私達を助けたいと願った。」
何かを察したのか副官は敬礼をし退出した。
熊耳「すまないな、許してくれ春香……」
熊耳「あすみ様……お傍にまいります。」
司令官室に乾いた銃声が響いた。
『西暦2265年-Stratosphere-』
殆どの天罰機がアスラとの戦闘を放棄してイズモに向かっている。
空「そうだ、これでいいんだ。」
空「どうしたのバイラヴィ?」
空「震えているのかい?」
空「セラ?なんだかバイラヴィが変なんだけど?」
セラ「変なのは…たいちょーの方だと思いますよ。自信は無いですが?」
空「僕が?」
セラ「世界中に通信が出来るなんて凄いですけど変ですよ、電波ですか?波動ですか?」
空「そういえば……そうなのかな?」
セラ「あれ?あれれ?」
セラ「たいちょー、天罰機が……どんどん減ってます。」
空「減っている?」
バイラヴィに通信が入る。
ナレーター「敵の欺瞞情報に騙されるな。我々の敵はアスラと天罰機バイラヴィ」
セラ「ありゃー、バイラヴィ何をやらかしちゃったんですか?」
ナレーター「そして壊れた結果、このような事態を引き起こした張本人、ドゥルガー『セラ』」
ナレーター「捕縛、出来ないときは撃破せよっ!」
セラ「ええええっ私もですか~」
基地のある島が見えて来る。
アスラ、天罰機同士が入り乱れて戦っている。
空「みんな聞いて……イズモを撃破すれば戻れるんだ……人間に………」
空「アスラは元々人類をコントロールする為に人類に作られた存在。」
空「アスラも僕らも戦う理由なんて無かったんだ。」
空「だから壊そう、このシステムを……」
空「そして、誰もが平等で平和に暮らせる世界を……」
クシャトリアシステムにより選んだ者達にも配信されている。
全ての大人達に真実を明かそう。
世界中のネットワークは掌握している。
さあ、世界中の人間達よ、僕の声を聴け。
空「咲夜……これで良かった……よね。」
空「サンサーラシステムさえ破壊すれば……咲夜は……人間として……死ねた事に………」
全身が燃えるように熱い。
何体かのアスラが接近してくる……ルシフェル?
セラ「あれ?変ですね…」
空「攻撃……してこない………」
空「変だね、まるで世界が変わってしまったようだよ……」
セラ「だから、変なのはたいちょーの方ですよ。たぶん」
空「えっ?」
セラ「なんだか金ぴかですよ。自信は無いですが。」
僕は人間じゃ無くなった……
空「そうか……僕は咲夜と一緒に死んだんだね?」
セラ「はあ?そーなんですか?変なたいちょー、金ビカたいちょーと呼称します。忘れなければ!」
PV動画
https://www.youtube.com/watch?v=aM6Gb1Wp8SM
プチのサンサーラ
https://www.youtube.com/watch?v=g0hoI7HoNLA
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