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第四章 -破獄編-

『西暦3276年-Atmosphere-』


挿絵(By みてみん)


金色に輝く少年のような姿……


4体のルシフェルタイプを従える姿はまるで神々を従える最高神のようだ。


灯火「セラ……こいつって……さっきの金ぴかより強い?」


セラ「はい、比べ物にならない程に……」


灯火「逃げ切れる?」


セラ「無理です……」


灯火「戦っても負け、逃げても負け……そんな時は……」


セラ「そんな時は?」


灯火「ねえ、ちょっとアンタ名前は?」


セラ「えっ?灯火?」


灯火「一か八か……当たるも八卦当たらぬも八卦……交渉あるのみ!」


灯火「アンタの要求は何?」


天帝「セラ……」


灯火「えっ?」


セラ「お久しぶりです………」


天帝「この子が選ばれた子?」


セラ「…………」


灯火「セラ…どういう事?」


セラ「灯火……思い出したのです……全てを……」


天帝は瞬時にバイラヴィに接近した。


灯火「なんて速さ……」


天帝「バイラヴィ……この子なのかな?」


灯火「えっ?」


バイラヴィが震える……怯えているの?バイラヴィ?


灯火「セラ?バイラヴィ?これはどういう事なの?」


天帝「サンサーラの風を感じるかい?」


天帝と呼ばれた少年が一際輝きを増した。


灯火「えっ?」


あまりのまぶしさに目の前が真っ白になる。


なっ……


次の瞬間、全身に燃えるような痛みが走る。


灯火「いやあああああああ、何?これは何?体が…体が燃える………」


挿絵(By みてみん)


灯火「セラっ……セラ助けて………」


セラ「灯火……ごめんなさい………こんな事になって……」


灯火「バイ……ラヴィ………たっ……たすけ………」


バイラヴィが振動する……


セラ「バイラヴィ・リミッター解除。」


天帝「そうか、天帝……あすみ……あの子なんだね……」


目の見えない私にもバイラヴィが勝手に急加速したのが解った。


落ちて行く……地球へ………




『西暦2155年-Mesosphere-』



星来セイラ「タラ……今回の作戦……生存者は?」


タラ「死者3万3千432名、生存者は21名です。」


タラ「この基地の生き残りは……星来だけです。」


挿絵(By みてみん)


星来「私達……勝ったんだよね……」


タラ「はい、アスラを成層圏から追い出せました……」


星来「クシャトリアは……いくら死んでも。変わりはいくらでもいるものね……」


タラ「はい。」


星来「………」


タラ「しかし、3年戦い抜いた星来はこれで卒業になります。」


星来「卒業………本当に出来るんだ………」


タラ「星来、貴方は人類の英雄、選ばれた存在の中でも最後まで勝ち抜いた真に価値ある人間です。」


星来「……………」


タラ「胸を張って下さい星来。あなたは真のエリート。これからは人類を守り導く立場に就くのです。」


星来「いったい何人死んだと思っているの……みんな……みんな死んだのに………私だけ…………」


タラ「価値のある人間には……価値のある義務が課せられます。」


星来「学校へ……みんなの処へ帰れるの?」


タラ「貴方を選んだ生徒たちは無事ヴァイシャとなり成人式を迎えます。」


タラ「でも貴方は彼らのような下層階級では無く、人類を導く神と成るのです。」


星来「私は……普通に生きられれば………」


タラ「神たる貴方には、貴方を選んだ人間の生殺与奪は自由自在です。」


タラ「全員シュードラに落とす事も、皆殺しにも出来ますよ」


星来「そんな…………」


タラ「彼らは貴方が死んでも構わないと判断して選択したのですよ、遠慮する必要はありません。」


星来「……………………」


タラ「サンサーラの風が貴方には吹いています。」



『西暦2265年-Stratosphere-』


挿絵(By みてみん)

私達は有りっ丈の弾を天帝に撃ち込み続けている。


女性の姿をした神々しいその姿……

ありったけの弾を撃ち込んでもビクともしない。


咲夜「さすがアスラの皇帝……」


空「………」


空「だめだ……このままじゃ………」


セラ「もう……逃げるしか………」


咲夜「逃げ切れるの?」


セラ「………」


脳の芯に声が響く


天帝「あなた方……なのですね?」


空「君は……誰?」


天帝「貴方は……空……ですね」


何?


話が通じるのコイツ?


全ての弾を撃ち尽くしパールヴァティが静止する。

パールヴァティが震えている気がする……恐れているの?


咲夜「ねえ、天帝……アンタ達何がしたいの?」


咲夜「人類を皆殺しにして、何か良いことあるの?」


天帝「苦しみ、悲しみ、全てから救ってあげたい……」


咲夜「はあ?」


天帝「守ってあげたい……」


咲夜「何を言ってるの?」


天帝「もう、苦しまないで良いのです。」


天帝「セラ……」


セラ「はい?」


天帝「セラ……どうしたのですか?」


セラ「えっ?誰でしたっけ?」


天帝「悲しみ苦しみに耐えきれず……記憶破壊を起こしたのですね。かわいそうに……」


空「バイラヴィ……怯えるな……震えを止めろ。」


天帝「…………!?」


天帝「空……貴方の活躍は熊耳くまがみより聞いております。」


天帝「最も不幸な魂は、時としては極限へと至る……そうでしたねセラ」


セラ「そうでしたっけ?自信は無いですが…そんなような気がします。」


空「僕が……不幸?」



天帝「貴方は自分の子供をクシャトリアにしたくない親に買われ転校したと記録にはありました。」


天帝「育児放棄された挙句……母親に売られた子……それが貴方ですね、空」


咲夜「空………」


空「バイラヴィ………オーバーブースト!」


咲夜「ちょっ何を?大気圏内でオーバーブーストなんて……空気抵抗があるのよっ。」


バイラヴィは気圧の渦に翻弄され無秩序に回転する。無秩序な軌道を空は完璧にコントロールする…


天帝の胸にバイラヴィが突き刺さった。


天帝「さすがです。その虐げられし魂……」


空「僕は世界一幸せだよ。」


天帝「幸せ?」


空「咲夜とキスをしたんだから……それにこれからも毎日キスをするんだから………」


咲夜「空……」


天帝「やはりサンサーラの風は貴方に吹いているのですね。」


天帝が腕を振る。


次の瞬間、パールバディのコックピットに光の矢が突き刺さった。


咲夜「ごほっ……」


光の矢が私の肺を貫いた。


挿絵(By みてみん)


パールバティは推力を失い、ゆっくり落下を始める。


急激に血を失い、目の前が暗くなる。


空……空………どこにいるの?


私はクシャトリアシステムのカメラを見る。


咲夜「ゴっごほっ……ご、ごめん……ね……みん…な……」


告白してきた彼……


咲夜「人を……好きに……なるのが……こんなに、こんなに……せつないなんて……」


クラスの女子……親友……


咲夜「しら……知らなかった……から……」


みんなを傷つけちゃったんだね、私………


目の前が真っ暗になる。


これが死ぬって事なのかな?


この結果……みんなも見てるのかな?


咲夜「そら………ごめんね………もう………キス……してあげられないね……」


挿絵(By みてみん)


パールバディは海から落ち、深海へと沈んでいった。



『西暦2155年-Mesosphere-』


挿絵(By みてみん)


星来「ここがイズモ……ひどい有様ですね……」


タラ「99%は死にました……でも勝利は我らに……」


私はイズモにたどり着いた。


人類の最後の砦……周りは破壊された天罰機やドゥルガーが横たわっている。


三年間連れ添った愛機バイラヴィを降下させイズモの空港に着陸させる。


私はバイラヴィを降りる……


星来「これで貴方ともお別れですね。今までありがとう。」


バイラヴィは別れを惜しみ、涙を流している……ように感じた。


タラ「さあ、星来……元帥がお待ちです。」


イズモの職員達が一斉に並び、私に敬礼をしている。


タラ「ひざまずきなさい。この方はブラーフマナ『星来』、あなた方ごとき下級市民が対等に相手出来る方ではない。」


全ての職員達は頭を地面にこすりつける。


星来「………」


タラ「戦い抜いた貴方…戦わなかった者ごときと同格ではありません。」


タラ「如何なる命令も可能です。気に食わない者があれば、死を命じて下さい。」


星来「そんな事…………」


タラ「気にする必要はありません。彼らも一人を選択して生き延びた者達なのですから……」


星来「…………」


イズモの地下区画の巨大な扉の前に着いた。


この区画は本来立ち入り禁止区画……


タラ「貴方にはこの扉を開く資格があります。」


星来「この中に……何があるんですか?」


タラ「その答えは私の記憶にはありません。」


星来「そう……」


タラ「では私はこれで失礼します。」


星来「タラ……今までありがとう。」


タラ「共に戦えた事、光栄に思います、ブラーフマナ『星来』」


挿絵(By みてみん)


タラは敬礼をすると、きびすを返して去って行った。


今時、手で開ける扉なんて……


私は扉を開ける。


黄金の光が溢れ出した。



『西暦2265年-Stratosphere-』


挿絵(By みてみん)


頭の中が真っ白になる……


明弘……咲夜………あれ?


誰でしたっけ?


私は私は誰でしたっけ?


目の前の金色の………あれ?


セラ「せんぱい……せんぱいですよね?」


天帝「セラ……かわいそうに………記憶が狂って……プロテクトまで効かなくなったのですね。」


セラ「セラ?私の名前は星来だった気がしますよ。自信は無いですが……」


天帝「心を守るプロテクトまで……急いで修理をしてもらいなさい。」


はて?


私は壊れてしまったのでしょうか?


先輩の胸に突き刺さったバイラヴィは抜け出そうとして、もがいているようです。


セラ「バイラヴィ?」


懐かしい戦友の姿がそこにはありました。


セラ「えっ?バイラヴィ?何を言っているんですか?」


セラ「彼を助けたい?」


セラ「むむっ!いつの間に彼氏とか作ったんですかバイラヴィ?抜け駆けは禁止ですよっ。」


セラ「そんなに怒らないで下さいよバイラヴィ。」


セラ「空?そんな名前でしたっけ貴方?」


空「セラ………咲夜が………咲夜が…………」


セラ「咲夜?なんだか聞き覚えがあるような……無い様な……誰ですか?」


空「セラ、咲夜を忘れるなんて……」


なんだかプルプル震えるバイラヴィ……


いったい彼らは何がそんなに気に食わないのでしょうか?



セラ「あれ?バイラヴィ……私が乗っていた時より弱くなってません?」


セラ「ああ、リミッターですね。そんな気がします。」


セラ「えー……バイラヴィ、リミッター解除。」


バイラヴィがガクンと震える。


空「えっ……」


天帝「セラ……貴方、自分が何をやっているか解っているんですか?」


セラ「はい、さっぱり解りません……自信は全くないです。金ぴかの先輩。」


セラ「レーザー・バタフライ起動」


セラ「あ、……死ぬかもしれないですけど……我慢して下さいね。」


バイラヴィの先端から短いナイフのような光の刃が飛び出す。


セラ「そうそう、私はコレでアスラを狩りまくったんでした。」


セラ「飛び道具なんて要らないんですよ。」


セラ「アスラと同じ素材のカッターで突っ込んで、ざっくりザクザク。それが私達の戦い方でしたよね」


空「これなら……戦える………」


セラ「裏技でリミッター外れてるんで、無茶するとバイラヴィごと死にますよ、空さんでしたっけ?」


バイラヴィはあり得ない速度で無秩序に旋回する。


旋回するたびに天帝が切り刻まれる。


セラ「凄い……さすがにバイラヴィの彼氏。ひょっとすると私より上手いかもしれませんねー。」


天帝「やはり……サンサーラの風は貴方に吹いているようですね……空………」


セラ「先輩より強い人、私初めて見ましたー、私以外?自信は無いですが。」


挿絵(By みてみん)


『西暦3276年-Atmosphere-』



桜「灯火……大丈夫?まだ痛む?」


灯火「…………」


空からバイラヴィが降って来て2か月……

灯火はまだ喋れない、目も見えない。


挿絵(By みてみん)


あれ以来ミサイルは降ってこなくなった。

桜「灯火……空を祓ったんだよね。」


天空神社の巫女が千年にも渡って降り注ぎ続けた厄災を祓ったのだ。

島の人たちも灯火に感謝している。


天空神社には毎日、魚や野菜が届けられる。


でも灯火は、お粥みたいな物しか食べられない。


灯火「うっうううう…………」


桜「灯火、大丈夫?痛むの?どこが痛むの?」


灯火は答えられない。


突然、耳を劈くような爆音が響く


ミサイル?


私は頭を抱えて灯火にしがみ付く。


目の前で両親が吹き飛んだ時の記憶がよみがえる。


足が腕が……全身が震える。


灯火の手が私の頭を撫でた。


ミサイルが降り注ぐたびに灯火はこうして頭を撫でてくれたっけ。


違う、今は私が灯火を守ってあげなきゃ。


バイラヴィ、私も乗れるかもしれない。


私は精一杯の勇気を絞り出し、外に出た。


あれ?


何かが庭に突き刺さっている。


えっ?


挿絵(By みてみん)


桜「セラ?」


セラ「いててー、いやはや酷い目にあいました。」


桜「あれ?なにか雰囲気が変わった?」


セラ「えー元カレの記憶とか、先輩の事とか、色々思い出したみたいです。自信満々です。」


桜「そっか……死んじゃったと思ってたから………」


セラ「おなかペコペコで死にそうです。で、桜……灯火は元気ですか?」


桜「命に別状は無いけど……まだ喋れない………」


セラ「それはいけませんね。イズモのメディカルマシーンならすぐ治ります。」


桜「えっ?本当に?」


セラ「ええ、私も生前に両腕ぶった切られた状態から治してもらった事があるのですよ……」


桜「生前?」


セラ「まあ、ゆっくり説明しますよ……でもその前にそーめん……補給をさせて下さい。」


桜「よしっ任せとけっ。見るのもイヤってくらい、たっぷり食わせちゃりますよ。」


セラ「やったー、そーめん、そーめん、ひさしぶりなのです。」


私もバイトとはいえ…天空神社の巫女。


神様的な物体にお供え物をあげましょう。



『西暦2155年-Mesosphere-』



巨大な扉が開く。


大きさに比して簡単に開く……さすがにパワーアシストは付いているのですね。


星来「えっ?」


目の前に黄金に輝く女性………あれ?


挿絵(By みてみん)


星来「先輩?あすみ先輩ですよね?」


あすみ「久しぶりね星来。でも今の私は天帝。転生したのよ。」


星来「天帝………でもどうしたんですか?そんなに金ぴかになっちゃって……」


星来「卒業してから色々あったんですか先輩?」


天帝「うん。まあね。」


星来「大人の階段昇ったんですね……それ以上の階段を昇っちゃった感じですが………」


天帝「星来は相変わらず面白いわね」


星来「先輩こそ……金ぴかで丸いわっか付いてて……なんだかアスラみたいですね……」


天帝「そう、私はアスラのみかど


星来「えっ?」


私はあまりの事に辺りを見回す。


同じく金色の少年……あれは……ルシフェル?


6体のルシフェルが跪いている。


星来「ルシフェル!?」


天帝「そう、貴方は6体、私は5体、競って狩ったよね。結局勝てなかったね。」


星来「なっなんで……」


天帝「今の私はアスラの帝、これらは手下達。今の貴方の同僚ですよ。」


星来「えっ……?同僚?」


天帝「私と貴方が狩り過ぎて6体しか居なくなってしまいました。」


天帝「彼らはレアで、稀にしか生まれないのに……」


星来「アスラ……こいつら……許せない奴らなんですよ。先輩……」


天帝「気持ちは解ります。仲間が何人この者どもに殺されたか……」


星来「先輩、そもそも……何でアスラがイズモにいるんですか?」


天帝「サンサーラの風が貴方には吹いています。」


星来「サンサーラ?」


天帝「最も不幸な魂は、時としては極限へと至る……」


天帝「貴方は選ばれた不幸な魂、そして生き延びた最も高尚な魂。」


天帝「そう、貴方には全てを知る資格があります。サンサーラの……この世界の真実を……」


星来「真実……」


挿絵(By みてみん)

PV動画

https://www.youtube.com/watch?v=aM6Gb1Wp8SM


プチのサンサーラ

https://www.youtube.com/watch?v=g0hoI7HoNLA


http://kaze-no-sansara.net/

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