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32年ローン  作者: 部屋ズボン
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汚れて、汚れて。:32

大晦日。

町中は新しい年を迎える準備をし、

テレビは残り少ないこの年を楽しもうとしている。

そんな中、俺は一人でオフィスにいた。

もう32になるというのに、俺を待つ家族なんか誰もいない。

だから、俺が一人で仕事をさせられていた。

もういい。慣れた。

入社したころは、理不尽な扱いを受けても、将来は違うと思って耐え続けていた。

だけど、このザマだ。

プライドの高い上司のために、下げる必要のない頭を下げ、

仕事に慣れない後輩のために、手伝う必要のない仕事を手伝い、

承認欲求が高い彼女のために、食べる必要のないただ派手な料理を作った。

だが結果は、

プライドの高い上司が、より自分に威張るようになり、

仕事に慣れない後輩が、俺を利用してより上の立場に上り、

承認欲求が高い彼女が、俺自身を見なくなってほかの男と付き合いだした。

最初は泣きもしたが、今は何も思わない。

そうして、今年もキーボードの乾いた音とともに、年を越した。


年が明け、初売りの商品が消えだしたころ、

俺はやっと家に帰れた。

この職場の唯一いい点は、家から近いことだ。

冷たいフローリングで足を冷やしながら台所へ向かう。

人生に絶望していても、食欲は人並みにある。

即ち腹減った。

実は少しでも正月気分を味わおうと餅を買ってある。

軽く雑煮を作り、こたつに入り、テレビを見ながら、餅をすする。

考えたら去年は嫌な年だったな。

「田中君!!早く取引先の社長さんにそのゴミみたいな頭を地面につけてこないかね!!」

「草太郎、お前またミスってるよ。ゴミしか作れない無能が。」

「え?あいつ?あっ...知らない!!他人!!それより早くりゅーくんの料理食べたいな!!」


きっと今年も嫌な年なんだろうな。

ズズ...


そして来年も

ズズズ...


死ぬまで

ズズズズ....


その時、白いブツは原形をとどめたまま、喉へと滑り落ちていった...


「!?」

必死に回り、必死に咳をしようと試み、

必死に、必死に、必死に、

必死必死必死必死必死必死

死死死死死死死死死死死死死


死。


こうして俺の無意味な32年は幕を閉じた。

さて、非常に後味の悪い終わり方ですが、いかかでしたか?

部屋ズボンです。

今回、何も良いことがないまま、あっけなく死んでしまったわけですが、

果たしてここからどうなるのか。

できるだけ頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。



ちなみに、異世界転生のジャンルはそこまで好きじゃないです。

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