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ローザの推理

アーディンは難しい顔をして、私を見つめた。


「君の方が詳しいと思うが、迷いの森の少し変わった動物たちは、滅多に人には懐かない。家紋に記されているような、人と心を通わせるとされる、加護を得ている動物でも、心を開くのはほんの一握りの人間に対してのみだ。あの王家の紋章に描かれた動物たちは、さらに輪を掛けて人間との距離を取ると言われている。父上の元にいた双頭の竜も、心を開いたのは父上だけだったからな。守護獣の側から認めた人間がいるなら別かもしれないが、そうでないなら、かなり飼育するのは難しいんじゃないかな。……どうして、そんなことを考えたんだい?」


私は、ダリル様の言葉を思い出しながら答えた。


「ダリル様の言っていた、守護獣の居場所がわかっているということが正しいとすると、可能性は二つあるような気がするの。一つは、彼らがその守護獣となる動物を、森などの生息場所で見付けていて、その動物のところに容易に辿り着ける可能性。さっきアーディンも言っていたけれど、彼らがその居場所を、私の部屋のように具体的に特定できているのなら、移動するのは容易いと思う。でも、守護獣を『見付けた』っていうだけだったら、その動物が同じ場所にいるかもわからないし、また探し当てるのは難しいと思うわ。その場合、その動物の位置の特定と、その場所への移動という、二つの魔法の能力が必要になるんじゃないかと思うの」

「なるほどな」


頷いたアーディンに、私は続けた。


「もう一つは、既に守護獣は捕まえられていて、どこかに一時的に閉じ込められているか、あるいは飼育されている可能性。この場合には、その動物が囲い込まれている場所さえ把握していれば、彼らなら簡単にそこに移動ができるはず。……何となくだけど、私はこの可能性の方が高いような気がするの」


ルシファー様が、私を見てにっと笑った。


「ローザは、野生の勘みたいなものが鋭いからな。まあ、守護獣を飼うってのも相当にハードルが高い話だとは思うが、ローザがそう思った理由は?」

「……昨夜、ダリル様は、私の口を割らせようとして、私に魔法を掛けようとしていたみたいだった。彼の瞳が光ったのを見たから。そうだとするなら、空間を歪める魔法を使えるのは、きっとデレル様。ダリル様の魔法は、あるものの場所の特定ができる力ではなくて、また全く違う種類の……よくわからないけれど、催眠魔法みたいな何かじゃないかしら。そう考えると、ダリル様のあの言葉は、どこか決まった場所にその動物がいるのを把握しているからじゃないかと思って」


カイル様が、顎に手を当てながら口を開いた。


「この王宮の中には、確かにそのような動物を飼育できそうな場所もありますね。王宮の医局に並ぶ薬草のいくつかは、魔法で温度と湿度が一定に保たれた、王宮の中庭の一画で栽培されているのですが、そのすぐ脇に、ひっそりと木立に隠れて佇んでいる小屋があります。聞くところによると、栽培されている薬草に惹かれてやって来た動物たちのうち、動物除けの魔法仕掛けの罠に掛かったものを、そこで保護しているとか。薬草に集まる動物たちには、一風変わった外観のものも混ざっているそうですよ」


(薬草を栽培している場所も、王宮内にあるのね! それに、迷いの森で見たような特殊な動物たちも、その側の小屋にはいるのかしら……)


カイル様の話に好奇心がくすぐられた私に気付いたように、アーディンが微笑んだ。


「まだ、午後までは時間がある。ローザ、もし興味があれば、一緒にそこに行ってみるかい?」

「でも、アーディン、いいの? お父上が倒れられて、次期王位も混沌としているこんな大変な時に、あなたの時間をもらってしまっても」

「ああ。打てる手は限られているし、ローザも言っていたように、そこに何かが隠されている可能性も否定できないからな。意外な発見があるかもしれない」

「それなら、是非行ってみたいわ。支度ができたらすぐに……」


その時、私はようやく、まだ自分が寝起きの格好のままでいることに気付いて、顔中に血が集まるのを感じた。


「お、お見苦しい格好で失礼しました。カイル様、ルシファー様」


カイル様とルシファー様が部屋を出て行ってから、アーディンには後ろを向いていてもらって、私は急いで身支度を整えたのだった。

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