暴走
「おーおー...派手にやってんじゃねえの、ありゃダメだ、帰ろうや」
「憲史郎、君はいつもそうやって...うん?アレ、能力を放っているのは女の子の方じゃないか。」
「あー??....そうだな、能力の出所はあの嬢ちゃんのようだ、あの様子から見ると...産まれたてだなぁ」
「....呑気にしている暇はないようだ、行こうか」
「はいはい」
____止まらない。怖い、怖いよ......______
体が言うことを聞いてくれない。わたしの体が誰かに支配されているみたい。
力が溢れて、誰か、誰か.......助けて....!!
「よお嬢ちゃん、元気か?」
誰....?男の人の姿がぼんやりわたしの.目の前にうつる..。お兄ちゃんをまた、傷つけに来たの...?
そんなこと.....させない......!
強く睨み付けると視線の先へ鋭く尖った電気で出来たナイフが、勢いを付けて何本も向かっていく。
が、その瞬間そこにいたはずの男の人の姿がゆらり、と揺らめいて消えてしまった。
「おおっと、あっぶねー.....」
「!?」
何時の間にか、男の人はわたしの背後に立っていた。振り向くと同時に、頸動脈の辺りに違和感が走る。
得体の知れないものが首回りにある。....どんどん体の力が薄れていく。
「っ...あ、ぐ、....」
息が苦しい。息ができない。
いやだ、こんな、どうして、なんで、
「ちーっと、我慢しててくれや、まあ、一瞬だけだ」
男の人の声がする、もう姿が見えない、視界が定まらない。
お兄ちゃんの手からも、温もりが感じられない。
お兄ちゃん、お兄ちゃん、
やだ、おにいちゃ、おにいちゃん.......いやだよ...............こんなの.....