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双誓のカランコエ  作者: 刻の昏
23/51

治療


全員を瓦礫から救出し、怪我の酷い人間から順に

能力を使用して状態を回復させた。


瓦礫の中に埋まっていた皆さんの怪我は、

凄まじいものだった。

目も当てられない程の、姿。

辛うじて息をしている状態。

血を帯びた体と瓦礫に、唯々負の感情が募る。

尚更、直ぐに治る自分の手のことなど

ばかばかしく思えた。


「....ん、助かったよ、ありがとう蕪くん。」


「.......三途の川を渡りかけちゃったよ、おじさん」


「.......死んだかとおもったよぉ.......うぅ....ありがとう...」




「二階堂さん....聊さん....まなちゃん....」


意識を取り戻した三人を見て、

雫が嬉しそうに顔を綻ばせる。


全員、助けることが出来た。

その現実を確認して安堵した瞬間に、

体の力がぐっと抜け落ちるのを感じた。


「危ない」

「.....あ、す、すみません...!御迷惑お掛けしました!」


ふらり、と地面に倒れ込みそうになった瞬間を二階堂さんに助けられた。助けていただいたのが申し訳無く、すぐに慌てて体を離す。


「迷惑なんてそんな...でも本当に助かったよ、ありがとう。」

「あ...俺の方が...俺の方が皆さんに助けられて...」


深々とお辞儀をされ、慌てる。助けられたのは俺だ。

俺は助けられた皆さんの怪我を治しただけにすぎない。

それは当然のことであって、うん、そうだ。

そうなのに。


「御礼どうこうはとりあえず後にしようや。

おじさん達、敵の陣地の真っ只中。

 此所から逃げ出さなきゃあ、

まーだ無事とは言えないのさ。」


「憲史郎...そうだね。蓮、聞こえるかい?」


二階堂さんが、誰かに向かって話し掛けている。恐らく猫耳フードの、あの印象的な男性、椎名さんだろうか。


『...聞こえてる。お前らの状況もなんとなく読めた。

オレは今お前らの居るすぐ下の階にいる。

合流すんぞ。』


「ねぇ、でも敵とか....なんで誰も来ないの..?」


此所は敵の本拠地だと言うのに、確かに誰も来ない。

むしろ天井が崩れた時点で、此所は敵で埋め尽くされていても正直可笑しくなかったと思う。

その疑問を、俺には聞こえないけどどうやら椎名さんが答えてくれたらしい。


『お前らを襲った奴、すぐ下の階で暴れてるんだよ。

それを取り押さえに集合してる。

それに、奴、降りる時にエレベーターを壊していって

移動経路は階段だけになったし、お前らは重傷なのが

分かってたからそっちを優先してるって感じだな。』


「不幸中の幸いってことだねえ。

あれ、じゃあ今下降りると危ないんじゃないかい?」


『安全経路は見つけてある。取り敢えずそっちに行くから待ってろ。』


「頼りになるね、待ってるよ蓮」


どうやら、今はとりあえず此所は大丈夫なようだ。

後は此所に椎名さんが来てくれるの待つだけらしく、少し疲れを感じたので壁に体重を預けた。


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