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聖冬祭の話

 今更ながらゲームの世界そのものでは無いと思い至った私は悩んでいた。つまり、各々のトラウマも違うのかもしれない。少なくともクロードとクリストファーには私へのトラウマを感じない。どう対処していくべきか・・・。


 悩んでいても学校には通うし、授業は進む。そしてイベントもやって来るのであった。そう聖冬祭である。


 聖冬祭は前世で言うところのクリスマスのようなもので、しかし、宗教色は強くない。みんなでワイワイ騒ぐのである。学校ではダンスパーティーが開かれる予定だ。


「アンリは誰と行くの?」

「決まってません。カトレアは?」

「私も決まってないんだ。まあ、エスコートが必ず必要な訳ではないから・・・」

「そうですね」


 気軽に参加できるパーティーだ。カトレアとでも一緒に行こうと思っていたら


「アンリ先輩。僕と行きましょうよ」


 クロードが現れた。


「1年生のお友達は?」

「それよりアンリ先輩と行きたいんです」


 どうしよう。クロードの考えていることはよく分からない。でも・・・


「良いわ。エスコートを宜しく」

「本当!やった~。当日は寮まで迎えに行きますね」


 このままではいけない事だけは分かっている。エスコートを受けることによって、クロードとの関係が変わるなら・・・と思った。


 聖冬祭には変わった決まりがある。女性は白のドレスを着るのだ。みんな白いからデザインで差をつける。肩を出したり、リボンを付けたり。その点、私のドレスはシンプルであった。そして、今カトレアと話しているのは髪型についてであった。


「アンリ。今度こそその三つ編みを改造してあげるわ」

「・・・髪は下ろしたくありません」


 ヘンリエッタを思い出す人がいるかもしれないからね。


「髪は下ろすだけじゃないのよ!ハーフアップとか」

「それなら結い上げたいです」

「アップスタイル?まあ、いつもと違う髪型が見れるなら良いわ」


 そして当日。髪を結い上げ、白のドレスを着た私は待ち合わせでごった返す寮の前に立っていた。


「アンリ先輩!!お待たせ」

「そんなに待っていません」

「そう?良かった。今日の髪型すごく似合ってるよ」

「ありがとうございます」

「・・・眼鏡も取れば?」

「何も見えなくなってしまいますから」


 クロードのエスコートでパーティー会場に入った。


「会長の挨拶で始まるから、それまで何か飲んでる?」

「今は大丈夫です」

「そう?」


 話している内にクリストファーが壇上に現れた。


「生徒諸君。堅苦しい挨拶は無しだ。聖冬祭を楽しんでくれ」


 音楽が流れ始める。ダンスをする生徒はフロアへ進み出る。


「僕たちも行こう」

 

 クロードのエスコートで私もダンスの輪に加わった。踊っていると夏休みに王宮でカイムと踊った事を思い出した。


「何考えてるの?」

「・・・夏休みのパーティーを思い出してました」

「ああ。あの時は踊ってくれなかったよね」

「そうね」

「でも今は違う。僕、楽しいな。アンリ先輩は?」

「ダンスに集中してます」

「つれないな」


 つれてたまるか!!なんて思っている内に一曲目が終わった。


「次はどうする?」

「休みましょう」


 私とクロードはダンスの輪から離れた。


「何か食べる?」

「そうですね・・・クロード君。1年生の女子からの視線がスゴイのですが」

「あはは。僕、人気あるから」

「自分で言いますか」

「今日は留学生のサポートをする生徒会の仕事って言ってあるから。アンリ先輩、離れないでね」


 カトレア達の方へ行こうと思っていたのに封じられてしまった。しかし、クロードに聞きたいこともあったし、丁度良いかもしれない。


「クロード君。少し2人で話がしたいんですが」

「・・・聞かれたくない話?」

「そうです」

「じゃあ、中庭に出ようか」


 クロードの自然なエスコートで中庭に出る。


「それで?話って?」

「確かめたい事があって」

「何の事?」

「文化祭の時、私に・・・」

「うん」

「あ、愛してるって言ったわよね?本気?」

「・・・まだ信じてくれてなかったんだ」

「信じられないわ。私が貴方にした仕打ちを思い返せばね」

「だから、あんな無視とか嫌がらせなんて、僕にとっては大したことじゃないんだよ」

「大したことじゃないって・・・」

「僕はね、母親に殴られない日は無かったよ」

「え?」

「それに比べれば本当に可愛いものだった」


 ゲームと違ってヘンリエッタのイジメはクロードのトラウマでは無いの?


「どう?解決した」

「もう一つ聞きたいのだけど・・・」

「何?」

「貴方の言う『愛』って何?」

「・・・どういう意味?」

「貴方が私に家族愛を求めているなら、私は姉として応えるわ」

「・・・」

「愛情だって種類がある。貴方は何の愛を求めているの?」

「そんなの・・・決まってる・・・僕が求めているのは・・・僕の愛は・・・」


 クロードは言葉を選んでいるようだった。


「あの時、本当に綺麗だと思ったんだ。だから、僕の愛は・・・真実の愛で・・・だから・・・」 


「僕はあの瞬間。君に恋したんだよ。ヘンリエッタ」

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