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異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第一章 学園生活編
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9話 大きな獣



一方その頃、1人残されたシャロンは



「1人……私、1人…」



その場から動かず半泣きでその場に留まって震えていた。



「酷いよ…置いていくなんて……」




そんな彼女のことを露知らず、クーラスは次々と獣を狩っていっていた。



「よっしゃ!また見つけたぞ!」



まず魔法で足止めをして、獣が怯んだところを空間収納から取り出した剣で首をはねる。今使ってる剣は魔法など付与されていないただの鉄の剣だがこれでも十分切れ味は良かった。



「ふぅ、これで3頭目だな。さて次はどこにいるかな?」



索敵魔法を発動させ、周囲の魔力反応を見た。


それにしてもこの《索敵》とやら、周囲の魔力を感じるというより、レーダーで探って見ている、という感覚に近いな。だから反応の大きさは同じなのか?二次元的に魔力の大きさを見ているから反応が大きくてもそれが何かまではどのみちわからないが。


ここで俺はふと思った。まてよ、これ俺を中心に周囲へと魔力を霧散させてるから二次元的にしか見えないが半球状に霧散させたら立体的に感じ取れるんじゃね?


物は試し、早速自分を中心に立体的に広がるように魔力を放出させた。


……すごいぞ、ついさっきまでレーダーで反応を見ているような感覚だったが、今じゃ立体的に捉えることができる。しかも姿までもはっきりとわかる、これなら効率良く探せる。



「っとシャロンはどうしてるかな」



意識をさっきまでの場所に移した時、俺は驚愕した。


「っ!」


俺は『ソレ』を見た瞬間に走り出した。これはマズイ、急がないとシャロンが危ない!



シャロンはまだ気がついていないようだが付近に大きな熊がいる。《索敵》で見ているんじゃなかったのかよ!



クーラスの発動していたのは立体型で、姿も捉えることもできるが母シーナが使っていた索敵魔法は通常のレーダーのようなものだったため、魔力反応は他の動物と変わらなかったのでただの獣としか思っていなかった。



「きゃああああ!!」



その時ちょうどシャロンの悲鳴が聞こえた。このままじゃ間に合わない!《身体強化》!



「シャロン!」


「ク、クーラス!」


「ガアァァ」




身体強化を使ってシャロンのもとへ駆けつけた。その時彼女は目の前の熊に対して腰が抜けその場にへたり込んで泣いていた。



「酷いよぉ…1人にするなんてぇぇ」


「ほんとにごめん、それよりも怪我はないか?」


「うん…大丈夫」



その時熊が俺らに向かって飛びかかってきた。



「グァァァ!」


「きゃああ!」


「チィ!このデカブツ風情が!!」




飛びかかってきた熊に対し、俺は即座に剣を腕めがけて振り抜いた。その瞬間、熊の腕から血しぶきがあがり、熊は苦しそうな声をあげた。いいぞ、もっとその声を俺に聞かせろ。


「クーラス!!」


「!」



そこで我に帰り、熊は再び俺めがけて飛びかかってくるのが見えた。一瞬反応は遅れたもののこの程度でやられはしない。



ガキィン!



「っ!」



腕と剣が当たった瞬間、先ほどのように熊の腕からは血しぶきがあがった。しかし同時に剣は折れてしまい、刃先が4分の1ほどになってしまった。これでは致命傷は与えられないだろうし




「シャロン!俺がここで足止めする、その間にお前は逃げろ!そして父さん達を呼んでこい!」


「え!でもクーラスは」


「このままだと俺ら死ぬぞ!いいから早く逃げろ!」


「嫌!クーラスも一緒に逃げようよ!」



声を荒げて逃げろと言うも、シャロンは断固として行こうとしなかった。こんなことをしていて、いつ、また熊が飛びかかってくるかわからない、こうなったら



「大丈夫だ!この服には防御魔法が付与されてる!」


「ほ、ほんとに…?」


「ああほんとだ!早く逃げろ!」


「わ、わかった。クーラス死んじゃやだよ!」



そう言ってシャロンはその場から走り出した。身体強化なしだと早くて10分といったところか、それまでコイツを生身で足止めしないとな、起きてすぐに着替えてここに連れられたんだ、魔法を付与する時間なんてない。


それと使ってる剣も折れた、ここからは魔法で遠距離からやるしかない。だが熊の速さは自動車並み、距離をとってもすぐに詰められてしまうだろう。


「へへ、この状況で楽しくなるなんてな」



いや、むしろだからこそ楽しく感じるのだろう。追い詰められた状況で、女の子を守るなんてカッコいいじゃないか、それに





————やっと、また『あの感情』を味わうことができる。



「喰らえっ!」


ボンッ



火属性の爆発魔法を打ち出す、だが直撃したと思ったがその瞬間に熊は前へ飛び出して俺に向かって飛びかかってくる。



「クッ!」


「グォォォ!」




咄嗟に横へ避けるも、すぐに軌道を変え向かってきた。


意外と素早い、少々なめていた。マズイな、頭を切り替えねえと、楽しんでいる場合じゃないぞ。距離をとることもできないし、どうすれば……




「そういえば、あの時見たページ……」



こないだ魔術の書で見た絵、あの魔法を使えばやつを殺せる、だが属性はなんだ?あんな魔法、基本属性のどれでも————



「禁属性か?」



あの時開いていたページはかなり後ろの方だったはず、前の方には確か基本属性しかなかった。となればそう考えるのが自然だ。

だったら問題はない、俺のイメージで、やつを殺す!




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