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異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第一章 学園生活編
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85話 両手に花


路地裏でフィリアを引きずりながら俺はシャロンたちの待つ噴水広場へと向かう。



「ったく、お前さ、一体何をどうすりゃあんなんに捕まってんだよ。お前ほどの手練れなら逆襲できんだろ」


「キサマがわれの力を封じたのではないか!」


「はいはい、スミマセンネー」



フィリアの言葉に適当に相槌を打ちながら聞き流していると、路地裏から表の通りへと差し掛かった。

ここから出たらまたフィリアを見失わないように《魔力鎖》かなんかで繋いでおくか。


そんなことを考えていたので横から走って近づいてくる人影に気がつかなかった。


ドカッ!


「うおっ!」


「きゃあ!」



左側に衝撃を感じ、その勢いで俺は右側へと倒れ込んだ。

なんだ?何がぶつかってきた?人の声がしたから誰か走って来てたのか?



「痛たたぁ」


「えっと、大丈夫ですか?」



俺はぶつかってきて、尻餅をついた女性に手を差し出す。

あ、この人の服、ルードルフ学園の制服だ。

ということは同級生かーー


そう思っていると女性が顔を上げる。それを見て俺は驚愕した。



「ありがとうございますですわ」


「っ!あ、貴方は……!」


「あら、どこかでお会いしましたか?」



会うも何も、貴方を知らない人などこの国でほとんどいないはずだ。そもそも、貴方とは同じクラスだ。



「え、エル……王女」



先日編入してきた、この国の王女。エルルーン王女殿下だった。


やばくね?どっちに非があるなし以前に、王女とぶつかって向こうが倒れてるとか、俺が悪者にされるんじゃ……



「おや、その制服……、ルードルフ学園の方ですわね。ということはグロリアさんのお知り合いかしら?」


「え、ええ一応、はい」


「ふうん……」



王女が俺をジロジロと何か見定めるように全身を見つめる。



「貴方、なかなか秘めた才能でもお持ちで?グロリアさんより実力がありそうな感じがしますわ」


「は、はぁ……」


「殿下!急に走ったら危ないですにゃ!」



王女の後ろから召喚授業でフィリアの攻撃を防いだネコミミ娘が走ってきた。



「あらミカ、随分と遅かったですわね」


「遅かったではないですにゃ!殿下が急に『美味しそうな匂いがする』って言って勝手に居なくなったのが原因にゃ!」



美味しそうな匂い?あ、もしかしてこれのことか?


フィリアの手にはさっきそこらの店で買った焼き鳥が握られている。なんかの魔物の鳥みたいだがもも肉に変わりはないからな、何本かシャロンたち用に買った。


もちろん、フィリアが勝手に食べないように、捨てないように命令を何重にも課している。



「えっと、よかったら食べます?」



俺は焼き鳥を一本、王女へと差し出す。



「あら、いいんですの?」


「ぶつかってしまったお詫びということで……」


「それでは遠慮なく」



王女が焼き鳥を受け取ってすぐさま口に放り込む。



「ん〜、これはスノウバードの肉ですわね!とても美味ですわぁ〜」



王女が恍惚した様子でスノウバードという魔物の焼き鳥を頬張っている。なんだろう、この人リアクション芸人か何かなのか?いちいち大袈裟な反応をしているからな。


スノウバードね、直訳で雪の鳥か。

となると寒い地域もしくは寒い時期にしか取れない魔物とかそんななのかな。


今の時期的には貴重な素材かな?段々暖かく、というか暑くなってる感じがするし。



「お前!殿下に対して馴れ馴れしいのにゃ!」


「え、あ、その……すみません」



ミカというネコミミ娘が俺に対して殺気だった様子で叫ぶ。

コイツも何なんだ。グロリアとの絡みに対しては何も言わんくせに、貴族だからか?それとも何かアイツとは関係が特別だったりするのか?


いずれにしても俺とはカーストの天と地の差がある奴らだ。あまり関わらないようにしておこう。


そう思っているとミカの頭に付いているネコミミに目がいく。



「殿下、あまり外を無闇に出歩くのは控えて欲しいのにゃ。民衆も注目していますし、何より護衛がミャーだけなのはあまりにも危険にゃ」


「あら、それほど貴方を信頼しているってことですのよ。ミカ」


「にゃにゃ!嬉しいのにゃあ」



………………ネコミミが、感情によってぴょこぴょこ動いているのが、物凄く愛らしい。


前世でも犬を飼っていたが、その時も動物が尻尾とかが動くのが愛らしかった。まあその犬は最終的に俺が殺しちまったが、それでも荒ぶるケモ耳を見ると、触りたくなってくる。



「お前、にゃにか無礼なことを考えてるにゃ?」


「いいや?」



相変わらず勘が鋭いことで。



『クーラス!どこなの!?』



その時ちょうど《思念会話(テレパシー)》が頭の中に響いた。シャロンだ。



『どうした?シャロン』


『いつまで経っても来ないから、心配で……』


『それは、すまない。少し寄り道していた。今からすぐ向かうよ』



そう言って俺は《思念会話(テレパシー)》を切る。さて、早く合流しないとな。



「そ、それでは俺たちはこれで失礼します……」


「ご機嫌よう」



俺はフィリアの腕を掴むとまた引きずりながら噴水広場を目指した。なんだか抵抗されているような力を感じるが、首輪の効果で非力になってるので大したことはない。


というか、最初から魔法とかで繋いでりゃ良かったな。それならこうするか。



「《隷従鎖》」



黒い鎖がフィリアの首輪目掛けて伸びて繋がる。そして反対側を俺の腰に繋げて絶対に逃れられないようにする。


鎖は俺とフィリアを繋いだ途端に消え失せる。正確には透明になっただけだが。


オリジナル魔法、自らに隷属する対象をペットのように繋ぎ止める。これで二度と逃げられないぞ。


さて、改めて噴水広場を目指しますか。








「遅れて悪かっ……ふぼぉ!」



噴水広場でシャロン達を姿を見つけ、そちらへ近づいていくとシャロンが俺に気がつくなり走り寄って抱きついてきた。その際にシャロンの頭が鳩尾にクリティカルヒットした。



「だ、大丈夫!?」


「……大丈夫だ。気にするな」



実際、大丈夫ではないが。流石に鳩尾に当たって平気なわけがない、すごく苦しい。



「で、そっちはどうだった……って」



俺はシャロンの格好を見て思わず息を飲んだ。

すごく、可愛らしい……あ、やばい鼻血が出そうかも。



「どう、かな?」


「あ、ああ……ものすごく、可愛いぞ……」



シャロンはいわゆるゴスロリという格好をしており、頭にはヘッドドレスをつけて、より一層可愛さを引き立たせていた。


長いこと一緒にいたが、改めて見るとシャロンってすごく可愛いよな。今まで異性としてあまり見たことがなかったが、めちゃくちゃドキドキきてるぞ。


なんていうか、まだ幼さの残る顔にこの格好は俺の性癖にどストライクだ。まずい、勃ちそう。



「あ、ありがとう……」



シャロンは顔を真っ赤にし俯いてモジモジとしている。俺もシャロンを直視できずに顔を背けていた。多分、俺も顔が赤くなっているだろうな。



「と、ところで結構かかったんじゃないのか?その服」


「ちょっと、女の子にそんな事を聞くのは野暮じゃないの?」


「そ、そういうものか?」


「そうよ」



アクリーナがジト目で俺を見つめる。う、たしかに服を褒めてそれで金の話をするのはダメだな。



「ねーねー、ところで私はどう?クーラス」


「ん?ああ、アクリーナも似合っているぞ」



アクリーナは……なんていうか、普通だ。いや、可愛いとは思うが、シャロンの衝撃が強すぎて目立ってないのだろうか。


アクリーナの格好は、一言で言うならばエロい。

真紅色のオフショルダーにヘソが出ている格好、そしてショートパンツだ。なんていうか前世でも見たことのある服装だった。



「えー、シャロンには可愛いって言ったのに?私にはそれだけなの?」


「ど、どうしたアクリーナ?なんか随分とグイグイとくるな……」



なんていうかアクリーナに夜の意味で襲われた時のような雰囲気を放っていた。



「別にー?」


「!?」



アクリーナが俺に体をくっつけたと思うと、皆から見えない角度でズボンの上からアソコを触ってきた。



「ふふ、なんだか硬くなってきてるわね?」


「ぐ……」



そりゃ、そんなエロい格好で体を押し付けられたら元気にもなるだろうよ!というかこんなところでやめてくれ。



「か、からかうのもいい加減にしろ!」



俺はアクリーナからバッと離れる。やばいやばい、マジで勃つところだった。今現在、俺のアレは半勃ちくらいにまでなっていた。



「もー、冗談なのにー」


「アクリーナ?」


「なんでもないわよ。シャロン」



シャロンが首を傾げながらそう言う。

それによりシャロンの髪からいい匂いが漂い、俺の鼻腔をくすぐった。


おお、いい匂いだな。甘くて心地の良い匂いだ。ヘアサロンとかでもしてきたのだろうか?というかこの世界にそんなのあるのか?



「服を選んで時間が余ったからついでにメイクとかもしてもらったんだ」



なるほど、それでうっすらと香水の香りとかするのか。よく見たら唇もぷっくりとした桃色に染まっているな。



「それで、クーラス達の方はどうだったの?」


「ああ、俺たちはーー」



俺はアレスとヘラへの誕生日プレゼントを選んでいたこと、フィリアを探したことを伝える。



「た、大変だったんだね……」


「それで、その女の子が喜びそうなのは見つかったの?」


「ああ、エルフの絆とも言っていたし、これが一番かなって」



アレスは一つの髪飾りを取り出す。七色の丸い装飾が北斗七星状に並べられ綺麗に輝いている。



「喜んで、くれるかな?」


「大丈夫よ。その好きな子のために選んだんでしょ?それなら絶対に喜んでくれるわよ」



アクリーナが自信を持って言う。まあ、喜ぶことは喜ぶだろうが、テンプレなツンデレをかますだろうとは思うな。それでアレスが勘違いとかしなきゃいいが。


正直、プレゼントに関しての心配は全くないが、それ以外のところで心配だ。



「う、うん。それじゃあ明日さっそく、渡してくるよ」


「頑張ってね。私たちも応援するわ」


「そんじゃ、改めて午後はみんなでどこか行こうか」


「まずはお昼にしない?私もシャロンも、何も食べてないからお腹空いたわ」


「それなら、ちょうどいくつか買ってきたから皆で食べよう」



さっき王女に一本焼き鳥は渡したが、それ以外にも焼き魚とか揚げものとか、そしてハンバーガーもどきとかも買っている。空間収納に仕舞ってるので出来たてホカホカだ。



「それじゃ、あっちで座って食べようか」


「そうね、さっそく行きましょ」


「な、なんだ?」


「何かしら?」



アクリーナが俺の右腕に抱きついてきた。シャロンじゃあるまいし、なんなんだ?



「むー」


「シャ、シャロン?」



シャロンも空いていてる左腕へと抱きついてくる。まあこちらはいつも通りだが……、何やら不満げな表情をしている。こちらも今日はどうしたんだ?



「それじゃあ、僕は一足先に行ってるよ」


「え、ちょ」



そう言ってアレスは足早に去っていった。

なんだ?一体なんなんだこの状況は!



「じゃ、私たちはゆっくりと行きましょう?」


「クーラス、もうちょっとこっち」



左右から引っ張られるように歩かされる俺。

一体、今日は何なんだ……

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