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異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第一章 学園生活編
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76話 シエル学園


アレスから魔力病の話を聞いてから数日が経った。俺もすっかり体調の方は良くなり無事退院することができた。



「あ、見えてきたよ」


「アレがシエル学園……」



ルードルフ学園の復旧が終わるまで、シエル学園というところで授業が行われることをゴットハルトから聞いた。


シエル学園は王都にある三大学園の一つで、三大学園はそれぞれ魔法、剣術、またはその両方の教育に特化した学園のことで、シエル学園は主に魔法教育に力を入れている学園である。


シエル、グラディウス、ルードルフ、それぞれ魔法、剣術、その両方の教育に力を入れている三大学園である。



「なんか雰囲気が全然違うよな」


「魔法に力を入れているらしいし、魔法関連の施設しかない。唯一、グラウンドが両方できるスペースだね」



そう考えると剣とかやらない分、筋肉とか劣るからヒョロヒョロしてるやつが多そうなイメージがするな。まあ、それは相手方に失礼だろう。


それにしても、辺りを見渡す限り人間があまりいないように見えるな。いや人は人なんだが、耳が尖ってたりケモミミだったり、前世で言うところの亜人とやらが多く見受けられるな。



「種族によって得意な魔法も変わるからね。だから、ここは亜人が多いらしいよ」


「得意な魔法?」


「例えばエルフだったら精霊魔法とかね」



アクリーナからそう説明をされる。

精霊魔法、精霊と契約を結びその精霊を使役して強力な魔法を発動させるとかそんな感じだったか?てかこの世界には精霊がいるのか。



「……」


「あ、ごめんアレス。そんなつもりじゃ……」


「大丈夫だよ。そう気にしないで」



少し悲しげな表情をするアレスにアクリーナが慌てて謝罪をする。無理もないな、話を聞く限りそのヘラってエルフの子にアレスは惚れてたみたいだし……



「それにしても詳しいな、アクリーナ」


「う、うん。私、元々こっちに入学する予定だったから……」


「そうなのか?」


「私、一応あの一族だし……」



そういえば冷静に考えてみりゃアクリーナは朱眼の一族、魔族とのハーフの一族だったし亜人といえば亜人だ。それに入学試験に見たあの魔法、アレも一族特有のものと、今思えば考えられる。



「何でルードルフの方に来たんだ?」


「ここの方が学費が高いのよ。お父さんが『出来損ないに金は出さない』って言って、仕方なくね」


「あ、すまない……」


「気にしなくていいわよ、そのおかげでこうして皆に会えたんだし、それに……ね」


「!?」



アクリーナが俺の正面に回ってきたと思うと、皆から見えない角度で股間を触ってきた。



「ちょ……!アクリーナ!」


「ふふ、また近いうちに……ね?」



アクリーナは俺の耳元でそう言うと、フーッと息を吹きかけてパッと離れてシャロンの方へ向いた。


……こりゃ、覚悟を決めておこうか。






「やっと来たか」


「げっ」



校門に立っていたのは、担任のゴットハルトだった。いや、ルードルフ学園ではそうだったがここでも同じになるとは限ら…………、フラグになりそうだな。



「む、何だその態度は」



お前の方こそ何だ。まるで校門で校則に沿った服装、もしくは持ち物検査してる体育教師かっつの。てか実技担当だし半分はその通りだな。



「まあいい、ルードルフ学園の者は第二亜人クラスと合同で授業を行うことになったからな、教室の場所をちゃんと見ておけ」


「はいはい」



そう言って俺たちはゴットハルトの横を通り抜けて、中へと入った。





亜人クラスね、それもまた得意系統の魔法がとかで分けられているのだろうか?にしても亜人かぁ、さっきも見たけど色々な種族が通ってるんだなここ。



「この教室みたいだね」


「そんじゃ、失礼しまーす」



俺たちはドアをガラリと開けて中へ入る。中は講堂のような教室で教壇を中心に、円状に広がり階段状に座席があった。その中で『ルードルフ学園生』と書かれた席へと座る。



「広い教室だね」


「そうだな、二つの学園の生徒が集まるのだしちょうどいい」



さて、教室には俺らより先に来ていたシエル生がいるが亜人クラスと聞いて様々な種族がいるものかと思ってたが、ほとんどがエルフだな。


亜人の中でも種族別にクラスが分かれてたりするのだろう、得意系統の魔法があるといってたし。というか今はそれよりもーー



「クーラス、体調は大丈夫?」


「ああ大丈夫だぞ」


「無理してない?」


「してない」


「本当に?」



シャロンが俺の右隣に座ったと思うと、右腕に抱きつくとまではいかないもののピッタリとくっついて、俺の体調を気にしてきている。


いくら俺の身が心配とはいえ、ここまでくると逆に過保護すぎる。こうなったのは俺の責任でもあるが、勘弁してほしい。



「あ、あのさシャロン……」


「何?どこかまだ痛かったり……」


「違う違う。心配してくれるのは嬉しいんだけどな、少し近いというか場所を考えてくれないか……?」


「…………うぅ」



途端にシャロンの目に涙が浮かぶ。



「わ、わかった。大丈夫、大丈夫だ!心配してくれてありがとな!」



俺は慌ててシャロンの頭を撫でる。

何をしているんだろうか。俺は一体、他校まで来て何をしているんだ。



「相変わらず仲がよろしいことで」


「……はは」



渇いた笑いしか出てこない。


そんなことをしていると教室に人が集まり、席が埋まる。これでほぼ全員だろうか?


第二亜人クラスだっけな、やっぱここはエルフの……いや、端っこに猫や狐みたいな姿をしたのが数名いた。


そんな感じで周囲を見渡していると、ある人物に目がいった。


う……あまり直視するのは失礼だな。


俺はその子からすぐに視線を逸らした。なぜなら彼女は顔面の右側が火傷で爛れ、痛々しい傷を体に負っているのが目に入ったからだ。


特に右腕だ、アレは多分義手なのだろう。

エルフかな?無事な左耳が尖っているし。


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