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異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第一章 学園生活編
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70話 回ってきたツケ



「へ?ちょっと、もうわかりましたから、勘弁してください!」



その女性は俺がもういいと言っているのにも関わらず、土下座と謝罪の言葉を述べ続けていた。



「というか貴女は誰なんですか!」



そもそも何で俺は見知らぬ女性に頭を下げられているのだろうか。

そう言うと女性はハッとしたように顔を上げた。



「これは申し遅れました。ワタクシ、女神フェネアン様に仕える七大天使の長、ミカエルと申します。この度は本当にご迷惑をおかけしました」



ミカエル……、前世でも聞き覚えのあった天使の名前だな。

ってことはこの人は天使なのか、というか七大天使と言ったな。


ミカエルと名乗った天使のような女性はそう言うと、再び頭を地面につけようとした。



「も、もういいですから!頭を上げてください!」


「いえ!こうでもしなければワタクシの気がすみません!」



10分ほどそんなやり取りをしていると、ようやく気が済んだのかミカエルが頭を上げた。



「……えっと、なんで俺は貴女に謝られていたのでしょうか…?」


「っ!これはまた失礼しました!」



俺はなぜミカエルのような偉大なる存在に土下座をされなければならないのか。それを聞くとまた地面に頭をつけようとしたので、俺は肩を抑えて頭を下げられないようにする。



「本当にもういいですって!」


「いいえ!こうでもしなければ……!」



もう勘弁してくれ、ここまでされることに覚えが全くない。



「本当に、何で俺は謝られてるんですか!?それだけ聞ければ十分ですから!」



そう言うとミカエルは頭を下げようとするのをやめ、俺を見る。



「それは……」



ミカエルがそう言いかけたとき突如、俺に向けて黒い弾丸のようなものが飛んできた。



「うおっ!」


ズドドド


咄嗟に後ろへと跳びそれを避ける。俺が立っていたところに無数の、高威力の弾丸撃ち込まれた。


直撃していたら死んでいただろう、いやもう死んでるか。

そんなことを考えていると何処からか声が聞こえてきた。



「罪人め、裁きを受けよ!」



すると、足元に魔法陣が現れ俺を拘束した。



「なっ!」


「今度こそ、裁きを受けるがいい。罪人め」



正面からさっきと同じ黒い弾丸が俺めがけて飛んできた。

マズイ、動けない!これじゃあ避けられない!



「っ!」



思わず目をつぶると、ズドドドと弾丸が当たる音が聞こえた。

だが俺自身にはまったく感触がなかった。

何だ?何が起きたんだ?


恐る恐る目を開けると、目の前にミカエルが仁王立ちして結界を張っていた。

弾丸は全て結界に命中し、攻撃を防いでいた。


助けてくれたのか。



「あ、あの」



お礼を言おうとする前に、ミカエルが口を開き大声で叫んだ。



「メタトロン!一体何の真似ですか!」


「……ミカエル様、これは看過できない問題ですよ」



何もない空間からスーッと現れたのはまたしても天使の姿をした女性だ。

ミカエルの言動からしてメタトロンというのか。



「我は規律を司る七大天使、メタトロン。天使の威厳を表した存在だ」



メタトロンと名乗った七大天使は、黒髪で長さはミディアム、長い前髪で右目が隠れており、口元もマスクのようなもので隠している。そして右手には三叉槍みたいなものを持っていた。



「そいつは大罪を犯した、裁きを受けて当然の罪人。いくら貴女といえど、これだけは譲れません」



鋭い目つきで俺を睨みつけながらメタトロンはそう言った。


罪人って、俺のことか!?

大罪って何のことだ?俺が何をしたっていうんだよ!



「惚ける気か?忘れたとは言わせぬぞ」


「ほ、本当に何のことだか……」



そう言うとメタトロンは怒りに表情を歪ませ、禍々しいオーラを放ち始めた。

相当腹を立てているようだが、本当に心当たりがない。



「貴様……死者を冒涜する行いをして、それを惚けるとは、《裁き》だけでは生温いな!!」



死者を冒涜?そういえば前にゴットハルトがなんか言ってたな……


俺は記憶を辿り、思い出した。




『死者を生き返らせることは死者を冒涜する』




「……あっ」


「今さら思い出したか、この大罪人が」



そうだ。俺、テミスを生き返らせたじゃないか。

あの時は境遇に同情してしまい、そんなことをしたが、そのツケがここで回ってくるとは……



「なら、とっとと裁きを受けるがいい!」


「させません!」



メタトロンが三叉槍のようなものを振りかざした瞬間、ミカエルが対峙するように俺の前に立つ。



「……ミカエル様、貴女はその愚かな罪人を庇うというのですか」


「確かに彼は許されない行いをしました。けれど、それ以上にワタクシ達は彼にとって許されないことをしたのを貴方はお忘れなのですか!」


「っですが……」



ミカエルがそう一喝すると、メタトロンは一瞬だけたじろいだ。

俺にとって許されないこと?なんだ?一体何の話をしているんだ?



「それでも、奴には裁きを与えねばなりません。これは規律を守るためでもあります。どうしても庇うのいうのでしたら、貴女ごと《裁き》を放つことになりますよ」


「ワタクシの力を貴方は知っているでしょう?やれるものなら……っ!?」



突然ミカエルがバランスを崩したかのように、ガクンと地面に手をついた。



「ち、力が……抜け…!」


「いくら貴女のような天使といえど、このように不意を突いてしまえば大したことはない」



メタトロンはそう言うと改めて三叉槍を俺に向ける。



「罪人め、無に帰すがいい!」



無数の光の弾丸が俺に向けて飛んでくる。

今度こそ俺は死んだ、魂ごと滅され無になってしまう。


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