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異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第一章 学園生活編
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69話 土下座


グチャ、グチャ、ビチャ


クーラスは既に息のない、先ほどまで人の形をしていたモノの中に手を突っ込み、搔き回したり引き千切ったりしていた。


目は抉られ、胸や腹は裂かれ、手足が逆に繋げられたり、内臓は全て飛び出し、骨も粉々に砕かれていた。



「ふんふふ〜ん」



やはり、魔族と人間の体内の様子はあまり大差がないんだな。心臓の位置、構造含め骨の数も多少の差異はあるがほとんど変わらない、そのため急所なども同じでそこを突くと心地の良い悲鳴をあげていた。



「ん?もう死んだのか、案外早かったな」



サタンがもう死んでいることに今更気がついた俺は、遊ぶのをやめて周りを見渡した。



「誰もいない?」



おかしいな、これだけ無防備に音を立ててたのに魔族が一匹も襲ってこないどころかいないなんて。


まあいいか、とりあえずサタンの首を持っていくとするか。それを見せつければ魔族たちは退散するだろう。



「……せーの」



ザシュ

サタンの首と胴体を切断し、髪のところを掴む。



「さて、とりあえず戻るか」



行くあても特にないので避難所に向かいつつ、この首を受け取って貰えそうな人を探すとするか。


ピキッ


「んー?」



何だか右腕に痛みというか違和感があるような感じがした。

けど見ても特に異変はない、気のせいか?



「ま、異変がなきゃ別にいいか」



俺は右手にサタンの首を持ちながら歩き出した。




「う、うわああああ!」


「サタン様がやられたぞ!」


「逃げろぉぉおお!」



ニタニタと笑いながら歩いていると、魔族が隙を見せたと言わんばかりに何体か飛びかかってきたものの、全てが表情を恐怖に染めて叫びながら逃げ出して行った。


サタンが倒されたことが他の魔族にも伝播していったのか、あちこちから魔族が逃げるように飛び立って行くのが見えた。



「クックック」



撃ち落としてもいいが、流石に体力も限界だ。

それに、まだサタンを殺ったときの余韻に浸りたい。



しばらく歩いているとやがて避難所が見えてきて、シャロン達が何やらゴットハルトに何か訴えているような姿が見えた。



「おーい!」



大声で手を振りながら呼びかけると、シャロンがこちらに気づき一目散に駆け寄ってきた。



「クーラス!!」


「うおっ、ととっと!」



シャロンが勢いよく抱きついてきたので思わず尻餅をついた。



「クーラス、クーラスぅう!!」


「シャロン、落ち着け」


「うわぁぁああん!」



俺はシャロンに声をかけるも全く聞こえておらず、抱きついたまま大声で泣き叫び続けた。

うーむ、流石に強制的に転移させるのはやりすぎだったかな。



「参ったな」


「ヴィルヘルム……」



するといつのまにかゴットハルトが近づいてきており俺に声をかけた。



「お前……それ……」



何やらゴットハルトは信じられないというような表情をして指差す。



「ん?ああ、かなりギリギリだったが何とか倒せた。コイツの胴体は向こうにある」


「違う!お前、その腕はなんだ!?」



切迫した表情で俺の右腕を指差した。

何だ?俺の腕がどうしたんだ。さっき違和感を感じたぐらいで何もなかったぞ。



「腕?一体なん……」



言われるがまま、もう一度俺の右腕を見ると俺は思わず言葉を失った。


俺の右腕は、肘から先がドス黒く染まっていて、さらに上へと段々と侵食していた。



「な、何だよこれ……っ!ぐ、ぐぁぁぁぁぁああああああ!?」



その瞬間、右腕に激痛が走り思わず絶叫する。


痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!

何だよこれ!何なんだよ!?


まるで内側と外側を同時に鋭利なもので抉られながら、高圧電流を流されているようなものだった。



「がぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」


「クーラス!?クーラス!」



シャロンが必死になって声をかけてくるも、俺にそれに答える余裕は全くなかった。

そして、侵食より先に激痛が全身に回った。



「ーーーーーーー!」



声にならない絶叫を上げたのちに、俺はあまりの痛さに意識を失った。









「……ぐ」



次に目が覚めたのは、周りには何もない真っ白な空間だった。



「なんだ?ここ」



立ち上がって周囲を見渡してみると、辺り一面が白く果てもなく広がっていた。


さっきの激痛と腕が黒くなってたのはなんだったんだ?

というかここはどこだ?

もしかして死後の世界ってやつか?

となると、俺は死んでしまったのか……?


思考が追いつかない俺は思わずその場で放心する。


状況から判断して、死んでしまったと考えるべきなのだろうか……

右腕は黒くもなければ痛くもない、そして服装はさっきと同じだが破れや返り血も一切付いていない。



「あ、ああ……」



段々と俺はこの状況を受け入れつつあった。

サタンとの戦闘の時にも感じたが、これが死ぬという感覚なのか。あの時とは違い、死後に気がつくという感じがまた絶望感を感じさせる。



「は、ははは……何やってんだろ、う?」



思わず後ずさるとコツンと、足に何かが当たった。



「何だ?」



振り返って見てみると、そこには背中に真っ白な羽を生やした女性が俺に向かって土下座をしていた。



「……え?な、何してるんですか…?」


「……この度は」


「はい」


「この度は、本当に申し訳ございませんでしたぁぁああ!」



俺が思わず女性に質問すると、女性は土下座をしたまま叫ぶようにそう答えた。



「え、え、え?」


「何とお詫びしたら!本当に、許されないことを……!」



わけがわからなかった。

思考が追いつかず、困惑していると女性は謝罪の言葉を続ける。

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