51話 混血のサキュバス
「………っ」
なんだか、ゴソゴソと変な感触がする。
倒れてから数時間が経った頃、俺は下半身に妙な違和感を感じて目を覚ました。
「あ、起こしちゃった?」
声がした方に視線を向けると、そこには俺のズボンを脱がしてパンツに手をかけて今まさに脱がそうとしているアクリーナの姿があった。
「ア、アクリーナ!?な、何して……!」
ぐっ、なんだ?クソ、体が全く動かない!
手足に力を入れても指先すらピクリとも動かすことができなかった。魔法を使おうにも、今の俺には魔力がほとんどない。
いくら疲れきっているとはいえ、体が全く動かないなんてことはないはず……
「ごめんね、抵抗されたら困るから少しだけ動けなくさせてもらったわ」
「な、何をする気だ!」
俺は声を上げてなんとか抵抗しようとしても、全く動かなかった。
現在、クーラスは魔力切れによる疲労とアクリーナの拘束魔法で体をほとんど動かせず、ダルマ同然だった。
「……クーラス、私ね。嬉しかったの」
「な、なにがだ?」
「今まで、この右眼のせいでグロリア達にされてきたこと、知ってるでしょ?」
つい昨日も報復とばかりに掴みかかられていたしな。貴族様とやらは学習というものをしやしない。
「それで、私のこと何回も助けてくれて、ずっとお礼がしたかったの。ありがとう」
アクリーナが笑いかけながらそう言う。
「そんなの、友達だから当たり前じゃないか」
俺もアクリーナに対して笑いかけながらそう返した。さて
「そ、それで、これは一体何だ?それに俺の部屋で何を——」
「ここ私とシャロンの部屋だよ?」
「えっ」
俺は辺りを見回すと、周囲には女物の服やアクセサリー、化粧品などがそこら中に置いてあるのが目に入った。
どうやら間違えてアクリーナ達の部屋に転移してしまったようだ。
そんなことを考えていると俺はあることに気がついた。
「シャロンは?」
ここはアクリーナとシャロンの部屋なら、彼女がいないのはおかしいだろう。それに外ももう暗いし出歩いているとは考えられない。
「シャロンならクーラスの部屋にいると思うよ?」
「は?」
シャロンが俺の部屋に?一体何のために?
いや、それも気になるが今はそれどころじゃない
「ってか、この状況を説明してくれ」
「さっきも言ったでしょ?お礼がしたかったって」
「それと俺の……脱がそうとしてるのと何の関係があるんだ?」
なんだか嫌な予感がしてきた……
「男の人ってこういうの好きでしょ?」
そう言ってアクリーナが俺のパンツを脱がしにかかる。
「待て待て!それとこれの何の関係があるんだ!」
俺は必死になってなんとか抵抗をしようと声を荒げた。
「え、クーラスってもしかしてそっち……?」
アクリーナが俺のパンツから手を離し、少々引き気味になって言った。
「あ、違う!そういうわけじゃなくて、礼をするのに何でこんなことを……」
俺は慌てて否定する。俺にそっちの気は全くない。
「大丈夫だよ、お母さんのいつも見てたし一通りできるから」
一通りできるってなんだ!?というかいつも見ていたって何!?
思考が追いつかない、アクリーナは一体何を言っているのか全く理解できない。
「み、見ていた……?」
「うん、物心ついた時からお母さんからね『貴女も大人になったら生きていくためにしなきゃいけないことだから』って毎晩お父さんとしてるの見せてくれたんだ」
は?
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
えっ、み、見せた?見てた?それを?親が?というか『しなきゃいけないこと』ってなんだよ!?小さい子供になんてモノを見せてんだ!?
「それに、お母さんから気持ちよくさせる技も教わってるから」
気持ちよくさせるって何だよ!?
いや、わかるよ!?つまりは俺のあの……ナニを……ってそうじゃなくて
親が子供になんてもん教えてんだよ!
「は、初めてだから上手くできるかわからないけど私、頑張るから」
アクリーナが少し顔を赤らめながらそう言う。
いやいやいやいやいや
「や、ちょっ、待って待って!流石にさ、こういうのは順序ってものが……」
「……もう、少し口煩いよ」
「……っ!」
アクリーナが少しむくれたようにそう言った瞬間、彼女から甘い匂いが漂ってきた。
な、なんだ?この匂い……それに、アクリーナがすごく魅力的に……!
クーラスが気がついた時にはもう既にアクリーナの術にかかってしまっていた。
「『かの者を惑わし、我に魅了されよ』《夢魔の誘い》」
「あっ、くっ、アク…リーナ!」
クーラスは彼女の放つ妖艶な雰囲気に飲まれ、魅了されてしまい性欲が高まっていた。
「ふふふ、我慢しなくていいのよ?ぜーんぶ私に任せておけば大丈夫よ」
な、なんだ。このアクリーナの様子は……!ま、まるで……まるで……!
「サッ、サキュバス……」
「!」
今のアクリーナはまるでサキュバスのような雰囲気を放っていた。
「そうだよ?私の一族は、サキュバスとの混血で、だからお母さんは毎晩、お父さんとしてたし私も大人に、成人したら定期的に精気を取り続けなきゃ生きていけないのよ」
確か朱眼の一族は魔族との混血だったな。サキュバスも魔族だったはずだしそういうことになるか……ん?定期的に?
「だ、だから2、3ヶ月したらまたお願いするからっ!クーラスにしかこんなこと頼めないし、それに私、一族からも嫌われているし……」
アクリーナの表情が一変して悲しげな表情になる。
朱眼の『忌子』、一族から押されたその烙印を背負って10年近くも母親を亡くしてからたった1人で生きてきた彼女にとってクーラスの存在はとても大きかった。
「アクリーナ、俺もシャロンも絶対に離れない。それだけは絶対に約束する、だからそう落ち込むな」
「クーラス……」
クーラスがそう言うと少しの間を置いてアクリーナの様子がまた変わる。
「それじゃ、早速始めるね?」
「へ?」
スルッと自分の下半身から音がした。
その方を見ると、パンツを脱がされ自分のアソコが露出しているのが見えた。
「ちょっ!!ま、待て!」
「大丈夫、全部、私に任せて……」
「いや待て!待て待て待て!!」
ああああああぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
その日の夜、俺は一切の抵抗ができないままアクリーナに全てを絞り取られた。