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異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第一章 学園生活編
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47話 黙らせる



教室に向かう途中、背後に衝撃を感じた。



「クーラス!」


「うわっと!」



思わず後ろを振り返ると背中に抱きついたシャロンの姿があった。

もう見慣れた光景だ。何回目だろうか。



「なんだ?シャロン」


「昨日部屋に戻ってなかったから、心配で」



まあ昨日は色々あったからな、あのまま気絶しちまったしな。



「ああそりゃ……ん?てことはシャロン、俺の部屋で待ってたのか?」


「!!!」



そう言うと途端にシャロンの顔が赤く染まる。

というか何で男子寮に来ていたんだ?別に異性の寮に行くことは禁止されてはいないが。



「シャロン?」


「な、なんでもないっ!なんでもないから!」


「そ、そうか?」



このやり取りも何回目だ?


結局この後も教室に着くまでの間、こないだと同様に俺の左腕にシャロンが抱きついた状態で歩いていた。

周囲の目は気になるが、女の子に抱きつかれるのは悪くない。




◇◇◇




「今日は、治癒魔法の基本について話そうと思います」



教壇に立って授業をしているこの教師は、入学試験の時に俺らの魔法試験の試験官だったカレンだ。



「まず治癒魔法とは、簡単に言えば傷を癒したり病気を治すための魔法です。代表的なものだと《回復(ヒール)》《治癒(ヒーリング)》などがそうですね」



そういえばそんなのあったな、魔術の書にも載っていたとは思うがほとんど使ったことがない、治癒魔法なら禁属性でほとんど治してたしな。

再生魔法でグロリアの信者共(あいつら)の腕とかくっつけたな。



「そして、この治癒魔法は2つの属性に分かれています。1つは今言ったような《回復(ヒール)》といった光属性の魔法と、欠損したり千切れた身体の一部を再生する"禁属性"の魔法です」



カレンがそう言った瞬間、教室がどよめいた。


禁属性魔法、クーラス含む数人を除くほとんどの人間にとってその魔法は実在するかもわからない魔法を、カレンはあると断言するような言い方をした。



「先生、もしかして禁属性魔法の存在を信じているんですか?」



1人の男子生徒が手を挙げカレンにそう意見した。



「一応、教師として知識に偏りなく教えなければいけないので、信じていない先生もいますが…」



一瞬カレンがこちらをチラ見したような気がした。

まぁ、目の前で俺が使えることをゴットハルトと話したしな。



「じゃあ先生はどうなんですか?」


「私は存在する、とは思っています」



カレンがそう言うとまた教室がざわついた。

教師がおとぎ話のような存在を信じていると公言したのだから。

当然信じていない生徒、つまりほとんどがカレンを嘲るような目を向けたりヒソヒソとしていた。



「明確な根拠もないのに決めつけて、教師が間違った知識を教えるんですか?俺たちみたいな優秀な生徒に間違った考えを植え付けるんですか?」



自分でそう言うか、思わず俺はそうツッコミたくなったが抑えた。確かに言われてみればここはAクラスだし学年で優秀な生徒、というのはわからんでもない。

なんにせよ授業が止まってるし、少し静かにしてもらいたいところだが、《声音奪取》を使って黙らせたところで解除したらまた同じことを言うだろうしな。



「だったら存在しないという根拠をお前は示せるのか」



そう発言したのは銀髪の男子生徒だった。



「根拠?そんなもの使い手が1人もいない、これだけで充分だろう」


「じゃあ実は使い手がいて、それを隠していたとしたらどうする?」


「ハッ」



存在しないと主張する生徒に対して反論すると鼻で笑ってさらに反論する。



「なぜ隠す必要があるんだ?使えるのなら公表すればいいじゃないか、俺だったらそうして金儲けとかするね」



ゴットハルトの言っていた子供みたいな発想をする奴の1人か。



「存在しないという根拠がないなら存在するとも言えるだろう。本当にないというのなら、文献や記録にだって載っていないはずだ」



悪魔の証明ってやつだな。仮にここに使える人間がいたとしても、それを言わなければ存在しないということになる。まあ俺は使えるがアイツみたいに公表するようなバカな真似はしない。



「そんなもん作り話じゃないのか?そっちこそこんなふざけた魔法を信じているとかいくつだよ」


「俺は存在しないと言い切るには根拠が少ないと言ってるんだ」


「そこまで言うならお前は使えるのかよ、どうせ————!!」



急にその男子生徒の声が途切れた。



————《声音奪取》

さっき使わないと言ったが、それは嘘だ。

いい加減、こちらも侮辱されているような気分になってきたからな。



「————!」


「おいどうした?」



急に声が出なくなり焦る男子生徒を見て銀髪の生徒も戸惑う様子を見せた。



「先生、彼の様子がおかしいので医務室に連れて行った方がいいのでは?」



俺はそう指摘してそいつを外に連れ出すように誘導する。



「え、あ、はい」


「あ、じゃあ俺が連れて行きますよ」



銀髪の生徒がそう言ってさっきまで言い争っていた男を教室の外へと連れ出した。



「えっと、それじゃあ授業を再開します」



そう言って授業は再開された。

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