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異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第一章 学園生活編
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3話 七つ目の属性


次の日ーーーー


「ゼイ…ゼイ…」


「どうしたぁ!!この程度でへばってるんじゃないぞ!!罰として腕立て1000回!」



5歳児にやらせる内容じゃねえだろ!!



父の訓練は想像以上に厳しいもので、まるで軍隊のようだった。



「ちょっとあなた!5歳の子供にやらせる内容じゃないでしょう!」



母シーナも流石に内容が過酷すぎると思ったのか、父に意見申し立てた。



「何を言う!男子である以上、厳しくするのは当然だろう!」


「限度ってものがあるでしょう!これじゃあクーラスの体は持たないわ!」



2人がだんだんと嫌悪になっていくのを感じ、俺は喧嘩になる前に止めようとした。



「ちょ、2人とも落ち着い…」



「「お前は黙ってなさい!」」



「ひゃ、ひゃい…」



2人の剣幕に圧倒され、俺は黙るしかなかった。







「さぁ、クーラス、シャロンちゃん、最初は基本から教えましょうか」


「「はい」」



午前は夫婦喧嘩を黙って見ていただけで終わり、昼休憩を挟んだのちシャロンもやってきて一緒に母シーナの魔法の講義を受けることになった。



「最初は、そうねぇ、2人とも魔法ってどんなものだと思う?」


「火とか水を出して攻撃するもの、かな?」


「ええと…」


「落ち着いて、ゆっくりで大丈夫よ」



シャロンは少々引っ込み思案な性格をしており、親しい者にしか心を開くことはなく、大抵誰かの陰に隠れている。金色の長髪が特徴的で可愛い



「えっと、回復…?したり、する、のかな…」


「そうよ、火や水といった攻撃魔法に、回復といった治癒魔法もあるの、それで——」



俺たちは夢中になって話を聴いていた。簡単にまとめると、この世界には6と1種類の属性の魔法が存在するらしい。なぜ7種類という言い方をしないのか、理由はその7属性のうちの1つが、ここ数百年間で使い手が1人も存在しないからだという。


この世界に存在する魔法の属性は、火、水、地、風の四大元素に加え、光と闇の2属性、そして最後の1つ、"禁"属性と呼ばれるものがある。この禁属性が数百年もの間使い手の存在しない魔法なのである。


禁属性は名前に禁と入っているとはいえ、禁じられた魔法、というわけではない。



「ねぇ母さん」


「何かしら?」


「禁属性てどんな魔法なの?」




文献によれば、かつて大昔に禁属性を使えた魔法使いは、死者を蘇らせたり、魔族を一撃で葬り、蹴散らし歴史的な大活躍をしたという伝説が残っているらしい。このように高度な技術が必要なのと死者を生き返らせる、という宗教の教えに反するような魔法から、"禁"属性と呼ばれるようになった。



だがそれは古い文献に少ししか載っていないため、あまり信憑性はない。なので中には禁属性など存在しないと主張する人も少なくない。



「——と、今日はここまでかしらね」


「えーもう終わり?」


「魔法を使うにはまず、魔法とは何か、ということをしっかりと知る必要があるのよ」


「じゃ、じゃあ母さんの魔法見せて」


「わ、私も、見て…みたい」



まぁ、初日からいきなり魔法を使えるとは思ってはいなかったが、せめてこの世界の魔法がどんなものなのか見てみたかった。


「しょうがないわね、『魔力よ、我が手に集い一筋の炎となれ』!」



シーナが手を出し、詠唱をすると掌から小さな炎が出た。



「「おおー」」


「これが基本の魔法よ、そして魔法を使うための呪文を唱える。つまり『詠唱』よ」


「すごーい」


「無詠唱でやってみて!」


「え?」


シャロンは目を輝かせて掌で燃えている火を見つめており、俺も興奮して詠唱無しでやってみてと口走った。



「あ、いやなんでもないですはい!」


「い、いやできるけど、なんで知ってるの?」


「いや〜その〜」



漫画とかで知っていたのでついそんなことを言ってしまった。



「『むえいしょう』てなーに?」



俺が返事に困っていると何も知らないシャロンが質問をした。



「無詠唱ていうのはね、さっき魔法を使うときに唱えた呪文を言わずにイメージだけで火を出すことよ。見てもらった方が早いわね」


ボウッ


そう言い終わると同時に掌に火を灯した。なんの前振りもなく突然火がついたことに俺らは少し驚いた。無詠唱はとても難しいと思ってはいたがこの世界ではあまりそうではないのか?



「え、え、いきなりついたよ」


「母さんすごーい」


「でも無詠唱は簡単にできるものじゃないのよ、イメージだけで魔力を操るから使えるようになるまで大変なのよ」



やっぱ無詠唱は難しいのか、それをあっさりと火をつけた母は上位の魔法使いなんだな



「クーラスのお母さんてすごいね!」


「当たり前だろう?なんたって母さんはA1ランクの魔法使いだったんだからな」


その時父親が会話に混ざってきた。


「A1ランク?」


「それって何?」



話を聞くと、どうやらこの夫婦はかつて同じパーティで冒険者をやっていたらしい、冒険者にはランクというものがつけられる。簡単にいえば上位ランクほどその冒険者は強い、ということだ。ランクは下からF、E、D、C、B、A、Sの7段階だがA以上からA3、A2、A1、S2、S1とさらに細かく5段階に分けられている。A1ランクなら全体的に見ればかなり上位ランクだ。



「じゃあクーラスのお父さんのランクもA1?」


「いいや、俺はA2止まりだった。だってよぉ、母さんにいっつも手柄を横取りされてたんだぞ」


「それはあなたが遅いからいけないのよ」


「なんだと!そういうお前はいつも!」



まーた始まったよこの夫婦は、現役の頃も変わらなかったんだろうなぁ


「シャロン、いこ」


「う、うん」



喧嘩は一度でもう見飽きた。何回も同じこと言ってるし、時間の無駄だ。俺はシャロンと自分の部屋へと向かった。


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