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異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第一章 学園生活編
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17話 前世の食べ物



「えっと、試験を受けるにあたってっと」



俺らは馬車の中で見た試験に関する資料にもう一度目を通していた。馬車での移動中、景色に見とれたりモンスターが出現しないかと索敵をしたりで大雑把なところしか読んでなかったからな。



剣術では自前の剣を使う場合、通常の剣か魔法の付与された魔剣を使うか試験官に伝えておくこと、効果についても『必ず全て伝える』こと。


最後のところがやけに大きく書かれて強調されているな、効果によって試験に有利だったりするし当然の対策だな。



「んー、だったら試験は通常の剣を使うべきか?」


「それだったら新しく買うの?」


「うーん」



多めに金貨を持たされたとはいえ、あまり余計な出費はしたくない。それだったら剣についてる付与を取り除けば…



「よし、付与魔法を取り除こう」


「え、そんなことできるの?」


「禁属性だったらできるだろう」



そんじゃ早速付与を引き剥がしていきますか。そう意気込んで俺は空間収納から剣を取り出した。



「あっ!その剣…」


「え?」



俺が取り出したのは、かつてシャロンと2人で付与をしたあの剣だった。



「懐かしいな、自分で仕舞っておいてすっかり忘れてたぜ」


「その剣の、付与を剥がすの…?」



シャロンが心配そうな顔で剣を見つめる。



「いや、そんなことしないよ。さて別のやつを…」



その時俺は気がついた。出発の朝、俺は確かに剣を空間収納に仕舞った。だがその剣を詳しく見てはいないし効果なんか確認すらしていない、つまり俺が仕舞った剣というのは……



「……この剣しか持ってきてなかった」


「じゃあ買いに行くの?」


「そうだな、その前にシャロンの剣の付与を剥がしてからにしようか」


「う、うん」



シャロンは自分の空間収納に手を入れ、剣を探す。だが



「わ、私も忘れたみたい……」


「……鍛冶屋探すか」


「うん…」



宿屋で一息ついた後、俺らは宿屋の人に聞いてこの街で1番良いとされる鍛冶屋へと向かった。




「ここか…」



宿屋から20分ほど歩いたところに教えてもらった鍛冶屋があった。賑わっている通りの方とは裏腹に路地を曲がった先にあるので人通りがあまりない。


けど質は結構良いな、さっき取り出したあの剣と比べて切れ味も良さそうだ。値段もあまり高くないしこれは結構お得なんじゃないか?


これに魔法を付与すればかなりの威力が期待できる。しかし試験では付与をせずにいきたいのだが



「うーん、どうするかな」


「どうしたの?」



試験に魔剣で挑んだ場合、おそらく試験官の方も何かしらの魔法が付与された魔剣を使ってくるだろうな、そうでなきゃ効果も言えだなんて強調しないだろう。


相手の剣の効果によってはこちらが逆に不利になる。それならば何も付与しないで通常の剣を使った方がいいし、だが付与無しで挑むと最悪刃こぼれしたりして剣の質が落ちる、どうするべきかな。



「クーラス?」



しばらく剣の前で悩んでいるとシャロンに声をかけられた。



「なんだ?」


「さっきから何を悩んでるの?」



俺は先程から悩んでいることをシャロンに伝えると、彼女は少し考える動作をして口を開いた。



「だったら、刃こぼれしたり傷つかないような魔法を付与しておけばいいんじゃない?」


「それだ!」


「わっ」



つい俺は大きな声をあげてしまった。なんでこんな簡単なことに気づかなかったんだ。そんな効果、俺らだったら簡単に付与できるじゃないか。



「ああすまない、俺はこの剣にするけどシャロンはどうする?」


「私もこれでいいよ」


「それじゃ、すいませーん」



俺は店主を呼び、目の前にある剣を2つ注文した。完成するまで少し時間がかかるというのでしばらく街をうろつくことにした。





「どこか行きたいところあるか?」


「ううん、特に何も」

グーキュルル


その時シャロンからお腹が鳴る音が聞こえてきた。



「あっ…」


「どっか食べ物屋でも探すか」




そう言って大通りの方へ出て少し歩いていると、屋台の店主から声をかけられた。



「そこの兄ちゃんたち!うちの店は美味しいぞ!ちょっと食って行かないか!」



店主が持っていたのは今川焼きのようなもので、出来立てのようで湯気が上がっていて何やら甘そうな匂いがしてとても美味しそうだった。



「二個で銀貨1枚!安いよ!」



この世界の相場がどうなってるのかよくわからんが、時間的にもそろそろ昼食時だし俺も腹は減ってきた。



「それじゃお願いします」


「あいよ、まいどあり!」



店主から品を受け取る。出来立てでとても暖かいな、とても美味そうだ。



「ほい、シャロンの分」


「ありがとう」


「いただきまーす」



かぶりついてみると中からカスタードのようなのが溢れ、甘い味が口の中に広がった。というかこれは完全にカスタードクリームの今川焼きだ。



「美味しいね、クーラス」



シャロンもこの今川焼き風の食べ物を気に入ったようだった。笑顔で頬張る姿がとても可愛いな。



「クーラス、あの店も美味しそう!」


「あそこか…」



しばらく食べ歩きをしているとある店が目に入り、シャロンが指を指した。その店からも先程の店と同様に甘い匂いが漂ってきており、何より客が列を作っているほど人気の店のようだった。


だがその店の客層は女性が多いようで列に並んでいるのはほとんどがそうだった。



「あーシャロン、お金渡すから俺の分も買っておいてくれ」


「うんわかった」


「俺ちょっとあっちの方見てくる」



そう言って俺はその場から離れ、少し先に行くことにし、他にどんな店があるのか気になっていた。

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