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異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第二章 スピカ王国編
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115話 ラファエル

あけましておめでとうございます。


シャロンが倒れてから数時間が経過したが、一向に目を覚ます気配はなかった。


その間も変わらず、シャロンの体は青白く発光したままで何が起きてるのか把握できないでいた。


「シャロン……」


俺は彼女の寝ている布団の横で、目を覚ますのを待っていた。


シャロンが倒れた後も祈祷は変わらず続いていたが、俺はシャロンを抱えて別の部屋へとチヨに案内されて、そこに布団を敷いて彼女を寝かせた。


その時、部屋の障子が開いてアレスを始め他のメンバーが入ってきた。


ようやく祈祷が終わったらしい、だいぶ時間がかかったな。


「シャロンの様子はどう?」


「相変わらずだよ。一向に目を覚さない」


「本当に大丈夫かしら……?」


アクリーナ達も心配そうな表情でシャロンを覗き込む。


本当にどうしたんだ……


頼む、目を覚ましてくれ。


「にしても、さっきからずーっと光ってるが、こりゃいったいなんだ?」


ププが眠っているシャロンを見てそう言う。


本当にその通りだ。こんな、青白く発光しながら眠るなんて何が起きてるんだか。


誰もがこの現象に首を傾げる中、チヨが何かを考え込むような仕草をしながら、シャロンの体を調べ始める。


「…………この力は……」


「! 何か分かったんですか?」


「……シャロンさんの体から、神力のようなものを感じます」


神力?


「キュア!」


その時、シャロンの体に魔法陣が浮かんだと思うと、そこから彼女の従魔であるミリィが飛び出してきた。


「キュアア!」


「な……!」


ププが面食らったように言葉を失った。


「ミスリルドラゴン、ですか」


「お、おいおい……もしかして彼女の従魔だったりするのか?」


「ええ、シャロンが卵を召喚してそれが孵ったんです」


「本当にどーなってんだよお前らは……従魔が魔族だったり、伝説生物だったりと……」


それに同意。


本当に俺の周りにはすごい人が多い。


「キュアキュア!」


ミリィが何かを訴えるように鳴き声を上げ続ける。


仮に何かを言ってたとしても魔物の言葉なんぞ分かるわけがない。


「……ん」


すると、その時シャロンの様子に変化が見られた。


「ラフ……あれ?」


シャロンが、目を覚ました。


「シャロン!」


「ここは……?」


シャロンは目を擦りながらゆっくりと起き上がり、周囲を見渡した。


「大丈夫か!?」


「……クーラス?」


「シャロン、大丈夫?」


「うん、大丈夫だよ」


ようやく目を覚ましたことに誰もが胸を撫で下ろした。


「シャロン、何があったか分かるか?」


「えっと……」


「キュアッ!」


シャロンに何があったのか聞くと、彼女は思い出そうとする仕草をとり、そこへミリィが胸元へと飛び込んだ。


「ミリィ……」


「キュア〜」


ミリィも自身の主人が目を覚ました事に安心したのか、シャロンの胸元で何度も鳴き声をあげる。


「…………」


そんな中、チヨはシャロンのことを訝しげな視線で見つめていた。


「チヨさん?」


「……シャロンさんの体から、微かに神力……いえ、神力に近い、なんらかの力の残滓を感じます」


「神力に……近い?」


「なんていいますか、天使……そう天使様の加護のようなものを感じます」


神力の次は天使の加護だと?


一体シャロンの身に何が起こったというんだよ?


「あ、そうだ。確かさっきまで、ラファエル?って人から話を聞いてたよ」


シャロンの発言にその場の空気が凍る。


ラファエル……前世で聞いたことのある天使の名前だ。


ミカエルやメタトロン、サンダルフォンといるのだから何となく予想はついていたな。


となれば残りはガブリエル、ウリエルという名前の可能性が高いな。


これで六体だと、あと一体は誰だろう?


心当たりのある名前は記憶にないな。


というかシャロン、ラファエルから話を聞いてたって……


「ラ、ラファエル様から話を聞いていたというのですか!?」


「は、はい」


「それで、何と!?」


チヨが何やら取り乱したかのように、シャロンを問い詰めた。


「この神社にはかつてラファエルが降り立ったとされて、それから信仰されるようになったんだ」


ププがそう補足した。


「え、ええと……」



祈祷の最中に眠りにつくような感覚で意識が落ちたあと、目を覚ました先は辺り一面が真っ白で果てもなく広がっている空間だった。


「ここは……?」


シャロンは何が起きたのか把握できず、その場に立ち尽くしていると、ふと背後から声をかけられたという。


「初めまして、シャロン=フレンツェンさん」


「あ、あなたは?」


「ボクはラファエル。女神フェネアン様に仕える七大天使の一体さ。急に呼び出してゴメンネ?」


気さくな感じで話しかけてきたのは、七大天使の一体のラファエルだった。


「今、君の意識は特殊な空間……この世界の(・・・・・)人間にとって、天界といった場所と言えばは分かりやすいかな?」


「天界……え、じゃあ……」


この時、シャロンは自分は死んでしまったのではないかと思ったらしい。


俺もそう思ったからな、あの時は状況が状況だったから本当に死んだかと思った。


「ああ、違う違う。君の意識だけをここに招待しただけで、君自身の魂や肉体はちゃんと生きてるよ」


話を聞く限りマトモな方の天使なんだろうな。


本当に性格に色々とあるんだなぁ、天使って。


「実はキミをここに呼び出したのはね。千本神社の方で祈祷をしてるだろう?ボクらに祈りを捧げる儀式なんだけど、ボクら七大天使を呼び出す儀式でもあるんだ」


つまりさっきの祈祷は本当に祈りが通じていたことか。


「それで偶然にもミスリルドラゴンの幼体を連れているキミを見つけてね、それで詳しい話をしようと思って、呼び出したんだ。今、神社ではキミが急に倒れたと皆が慌ててるよ」


ラファエルは申し訳なさそうにそう言ったらしい。


本当に心配したんだぞ。


俺は思わず上を見上げた。


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