11話 オリジナル魔法
夕食後、また魔術の書で練習するために部屋に戻ろうとすると
「あ、ク、クーラス先に行ってて」
「ん?ああわかった」
シャロンはそう言って母シーナの元へと駆けていき、何やら2人で話していた。
なんの話をしてんだろ?まあいいか、さっさと戻って《腹部破裂》以外の禁属性魔法を開発するか、考えただけでワクワクが止まらない。
先に部屋に戻った俺は、早速取り掛かった。さて、まずはそうだな、他人を操る——のは、1人じゃできないし、かといって人形なんかに使ったらなんか怖えことになりそうだし。1人でできそうなやつか。
あ、別に殺すとか嬲るとかそういうのに限定する必要はないか、それだったら化学系や物理法則とかを操る感じのものでも考えてみるか。
「えーと、そんじゃこんな感じかな?《結合崩壊》」
そう唱えると、目の前のテーブルが一瞬で砂のようになった。
「おお、上手くいったぞ」
これは俺のオリジナル、物体を構成している分子同士の結合を切り離し、バラバラにするというもの。使う時のイメージ次第でこのように砂状にしたり、鉄の棒などを簡単に切り離すこともできる。
流石に目に見えないくらい細かくすることまでのイメージは及ばなかったけどな。
「それじゃあ次、《物体構成》」
瞬間目の前のテーブルだったモノはお互いにくっついていき、椅子へと姿を変えた。
「うん、もう大丈夫だな」
これはバラバラになってしまったり、《結合崩壊》で切り離された分子同士を再構成するもの、このように別の物体へと作り変えることも可能だ。ただ材質は元のままだけどね、この椅子も、さっきまで木のテーブルだったのだ。
その時シャロンが戻ってきた。だが様子が少しおかしい、さっきから一体どうしたというのだ?
「あ、ク、クーラス」
「なぁシャロン、お前さっきからどうしたんだ?」
「えっ、な、なんでもないよ」
またしても顔を赤くして逸らす、熱でもあるのか?
「熱でも……」
「そ、それよりも!魔法!魔法やろ!ね!」
「あ、ああわかった」
食い気味にそう言ってきて、その勢いに押されるように俺は魔術の書を渡した。
いつものようにしばらく2人で自主練をした、その間シャロンは赤くなったり俺から顔を背けたりしていてやはり様子はおかしかった。そんなこんなで就寝時間となった。
「じゃー寝るか」
「う、うん私、今日からこっちの部屋で寝るから…」
「え?ああわかった、おやすみ」
「おやすみなさい」
そう言ってシャロンは部屋から出て行った。疑問には思ったものの、それより俺は内心少しショックだった。だって女の子と一緒に寝るなんて最高じゃないか。