表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第二章 スピカ王国編
107/119

103話 出発

103話



夜が明け、俺は布団を片付けると居間へ向かった。



「おはようクーラス」


「ああ、おはよう。フィリアたちはどうした?」



先に居間に来ていたのはシャロンとアクリーナ、そしてシーナの三人だけで、昨夜みたいに何やら談笑していたところだ。



「あの二人はまだ寝てるよ」


「寝てる?というかステラはまだ戻してないのか?」


「うん、ちょっとね……」



アクリーナが目を逸らし、シーナの方へと視線を向けた。それだけで何があったのか大体察しがついた。



「……ああ、そういう」


「明け方くらいまで話したわ!アクリーナちゃん達はその前に寝ちゃったみたいだけど」



シーナが満面の笑みで答える。こんな姿、見たことない。いい年してガキっぽいぞ、何かこっちが恥ずかしくなってくる。


まあでも、前世じゃ見られなかった両親の、新鮮な姿を見たと考えればいいのかもしれないが。



「ねぇ、クーラス?」


「なんだ?」


「アレスに旅行のことは話したの?」


「いや、昨夜はもう遅かったし、こっちもこっちで話をしていたからな」



明け方までとはいかないが、かなり遅くまで話し込んでしまった。両親の冒険譚なんて初めて聞いたうえに、フィクションじゃなくて現実だからな、俺は心が躍った。


結局眠気に勝てず俺もスヴェンも眠ってしまったが久々の家族団欒ができて楽しかった。



「昼くらいには《思念会話(テレパシー)》を飛ばしてみるよ」


「それまでに、私たちもできるところまで話を進めましょう?」


「ああ」



俺たちは昼前までにどうやって行くか、どこに行きたいかなどそれぞれ案を出し合い話を進めた。


なんていうか、前世でいうところの修学旅行の話合いみたいなノリでまた楽しいと思った。





「了解、そんじゃ現地で会おう」



昼過ぎに俺はアレスに《思念会話(テレパシー)》を飛ばして旅行計画について話した。



「アレスはなんて?」


「旅行に関しては快諾してくれたけど、『僕はちょっとやるべきことが残ってるから迎えに来て欲しい』と言ってた」


「そう、それならみんなで一度アルカイド王国に向かって集合してからにしない?」


「そうだな。それがいいだろう」



それなら皆で旅行に行くって感じがするしな。



「それで、結局現地にはどうやって向かうんだ?」


「さっき、クーラスのお母さんがアルカイドから直通の船が出てるって言ってたわ」


「皆で船の旅なんて楽しみだね!」



シャロンがワクワクした様子で言う。船か、そもそも海に出るのは転生してから初めてだな。


修学旅行とかで乗ったことがないし、なんだか楽しみだなぁ。



「よし、とりあえず日程に関しても進めておくとしよう」


「アレスの予定が終わってからがいいと思うけど、どのくらいかかりそう?」


「一週間以降ならいつでも大丈夫だそうだ」


「それなら一週間後でいいんじゃない?」


「あとで確認しておく、そんじゃ一週間後に出発する予定でいいな?」


「「異議なーし」」



こうしてスピカ王国への旅行計画は着々と進んでいった。





一週間後ーー



「忘れ物はない?」


「大丈夫だ。というか、あまり持っていくものなんてないけどな」



空間収納に剣を数本、王都で買った防具を身につけ、そして金貨や食べ物。あとは現地で地図やら名物やら買えばいい。



「それじゃ、出発しようか」


「いってらっしゃい。三人とも」


「「「いってきます」」」



こうして俺たちは《転移》を発動させ、一度アルカイド王国へと出発した。


視界が白くなり一瞬にして王都に到着する。俺の実家に帰るときに出発点とした路地だった。


アレスとはいつもの噴水広場で待ち合わせることになっている。



「なんだか久しぶりだな」


「まだ一週間くらいだけどね」


「休みは二ヶ月以上あるし、まだまだこれからよね」



さて、とりあえずアレスの奴を探さないとな。



「やぁ、一週間ぶりだね」


「おうアレス、久しぶりだな」



ちょうどアレスもこちらを見つけて声をかけてきた。一週間とはいえ、久々に友達に会えて嬉しく思える。



「船の時間はいつだったか?」


「あと一時間くらいね」


「少し早い気もするが、早いに越したことはないし行こうか」



そうして俺たちは船着場へと向かった。





乗船代を支払い、俺たちはスピカ王国行きの船に乗り込んだ。到着まではおおよそ三日、その間は船室に宿泊する。ゆったりとした船旅をお楽しみくださいってか。


フィリアは影に潜り込ませているので乗船代は浮くだろう。まあ従魔という括りだから多少は安くなるだろうけど、万が一のことがあったらまずいからな。



「まさか四人一緒の部屋になるとはな」


「予約客も多かったし、部屋が取れただけでもありがたいわね。それに三日間だけだから大丈夫でしょ」


「まあ他の客と相部屋じゃないだけマシか」



別にこのメンツなら特に問題はない。流石に他の客との相部屋とかであれば流石に男女別にしてもらっていたが。



「私はクーラスと一緒ならどこでも大丈夫だよ!」


「え?」



シャロンが笑顔でそう答える。俺は思わず戸惑った。


はい?その発言は一体どういう意味なのか?確かにシャロンと……みんなとならどの部屋でも綺麗にしたり作り変えたり、禁属性使えば簡単にできるからどこでも大丈夫ではあるけど。



「えっと、シャロン?」


「あ、えと……」 



シャロンは顔を赤くしてワタワタとする。



「今のは……」


「な、なんでもない!忘れて!」


「むぐっ!」



シャロンが俺の口を塞いでくる。どういう意味だったのか気にはなったが、この様子じゃ教えてくれなそうだし素直に忘れるとしよう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ